なぜ光回線の卸売りが始まるの?

少々脱線となるが、光回線の卸売りについても少し解説しておこう。NTTは電気通信事業法によりユニバーサルサービスが義務付けられており、交換機ベースの加入電話(いわゆる固定回線の電話)は日本全国どこでも、誰もが利用できる料金でのサービスが義務付けられている。ところが近年は携帯電話の普及により加入者回線数が減少しており、わずか20年弱でピーク時(約6,150万回線)の4割弱(2,300万回線)にまで減少してしまった。これにより、ユニバーサルサービス提供の負担はNTTに大きくのしかかり、毎年1,000億円近い赤字事業となっている。

NTTとしては、多大な負担となっている加入電話を光回線などのIPベースに移行させ、ユニバーサルサービスの根拠となっている加入電話自体を早く廃止してしまいたいのだが、まだ2,300万回線近くが残っている。そのためにはほかのサービスが加入電話を置き換え、廃止してもいいという議論ができるところまで減らしてしまいたいという思惑があるはずだ。光回線卸売りがスタートすれば、NTTドコモも販売に参加できるようになるため、何かと規制の多いNTT東西から、NTTドコモへと回線の販売主体が変わるのも、大きなポイントだろう。

フレッツ光の加入者数は現在約1,800万回線まで増えているが、ここ数年は横ばいとなっており、整備率が人口の98%近くまで到達した光ファイバー網も、利用率は50%前後にとどまっている。法の穴をついたともいえる卸役務を持ち出して光回線卸売りを可能にし、他社の力を借りてまでも、光回線の普及を促進して次のステップへ進みたい……事業体質の変換を目指すNTTにとっての第一歩が光回線卸売りというわけだ。

U-NEXTに続き、本日はBIGLOBEも光回線卸売りへの参入を発表した。昨年はMVNOが一般にも普及した年だったが、2015年は光回線とMVNOのセット販売により、固定・モバイル双方の通信コスト削減が進む年になりそうだ。