日本ヒューレット・パッカードは26日、都内で発表会を開催し、業種別専用端末を含む法人向けタブレット8製品を発表した。注目は独自のペンにより、紙に書いた内容をダイレクトに取り込める8型「HP Pro Slate 8」と12型の「HP Pro Slate 12」。いずれも4月中旬の発売を予定する。

モビリティに重点を置くHPの製品戦略

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆文氏

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆文氏は冒頭であいさつに立ち、「今年は2012年に立てた5カ年計画の4年目に当たる。成長を加速する年であり、矢継ぎ早に手を打っていく」と述べ、「インフラベンダとして業界のリーダーになることを5カ年計画のベースと考えている」と意気込みを見せた。

製品開発については、「現在」「最新トレンド」「未来テクノロジー」の3つをキーワードに、ユーザーニーズに合った製品、あるいはユーザーニーズを掘り起こす次世代の製品や技術の開発に投資していくとし、いま最も力を入れている分野は"モビリティ"であり、同社のモビリティ戦略に基づき、法人向けのタブレット8製品とアクセサリを投入すると語った。

IDCを出典とする市場予測。同社では市場の伸びを支えるキーワードとして「ワークスタイルの変革」「業種・業務活用の浸透」「教育ICTツール」の3つを挙げる

続いて、プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 テクノロジー・ソリューション統括本部 本部長の九嶋俊一氏が、製品戦略について発表した。同社の考えるモバイルデバイス・ポートフォリオでは、企業向けや教育現場向けに、業務フローのモバイル化やノートPC活用のニーズ拡大へ向け、汎用端末だけでなく特定業務に特化した専用端末もそろえた。

同社では企業におけるモバイルデバイスの用途とニーズを「コンテンツ閲覧とコラボレーション」「業務フローのモバイル化」「ノートPC活用のニーズ拡大」と分析する

今回発表した8モデルとその概要

ノートに書いた文章などをデジタル化できるタブレット

特に注目したいのが、セキュアAndroidとHPデュエットペンを搭載した「HP Pro Slate 8」と「HP Pro Slate 12」の2モデルだ。これらは2015年1月22日に米国で発表された製品の日本向け商品となる。

「HP Pro Slate 12」を手にするプリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 テクノロジー・ソリューション統括本部 本部長の九嶋俊一氏

セキュアAndroidは、Androidの弱点とされるroot化の防御に優れたセキュアブート、やりとりするデータに対するハードウェアレベルでの暗号化、セキュアキーストレージなど、高度なシステム構成で企業の情報流出を防ぐ仕組み。

「HP Pro Slate 8」と「HP Pro Slate 12」の概要

HP Pro Slate 8

HP Pro Slate 12

また、HPデュエットペンは、独自のスタイラスペンで、本体に内蔵した音波センサと組み合わせて、高さを含めた3D空間でペンの位置や角度を認識するため、タブレットの画面上はもちろん、近くに場所にある紙のノートなどに書いた内容がダイレクトに電子化される。

HPデュエットペンは8インチと12インチで共用。ペンの角度やペン先の階調なども細かく認識する

紙に書いた内容がそのまま取り込まれ、記録されるので、画面上では描きにくいと感じていた人も使いやすい。タブレット上ではインクの色を変えたり、線の太さを変えるのも自由自在だ。取り込んだデータはただのベクタデータではなく、あとからOCRをかけたり、テキストを変換したりといったこともできる

例えば、紙のノートに文字や図形を描くと、描いているそばからタブレットに取り込まれていく。打ち合わせや営業先との商談などでイメージワークフローが格段にやりやすくなりそうだ。

いずれも4月中旬の発売を予定し、希望小売価格は「HP Pro Slate 8」が税別69,800円、「HP Pro Slate 12」が税別79,800円。

"全部入り"の2in1「HP Elite x2 1011 G1」

HP Elite x2 1011 G1

「HP Elite x2 1011 G1」は、11.6型フルHDディスプレイ搭載のタブレットとキーボードドックによる2-in-1デバイス。CPUはIntel Core Mを採用し、携帯性とパフォーマンスを両立したいというユーザーを対象とする。ワコム製のデジタイザペンに対応する。オプションとして、キーボードドックはバッテリなしモデルとバッテリ搭載モデルから選べるほか、LTE対応モデルもラインナップする。

また、「HP Elite x2 1011 G1」では周辺機器との接続向けに、「HPアドバンスドッキングステーション」を用意する。本体とドッキングステーションの間は「WiGig」(IEEE802.11ad)で接続を行う。

HPアドバンスドッキングステーション

3月中旬の発売を予定し、希望小売価格は「HP Pro Slate 8」が税別99,800円から。