「江戸川乱歩賞」を受賞した傑作ミステリー小説『翳りゆく夏』が、WOWOWプライムにてドラマ化される。放送は1月18日(日)22時よりスタート。毎週日曜放送で全5話構成だ。第1話は無料で視聴することができる。そこで、連続ドラマW『翳りゆく夏』の放送を記念し、江戸川乱歩賞受賞作品についてマイナビ会員を対象にアンケートを実施した。その結果、人気1位を獲得したのは東野圭吾による第31回江戸川乱歩賞受賞の『放課後』となった。

また、「サスペンスが好き」と答えた会員は全体の70%近くにも上り、月に1~2本サスペンスドラマや映画を見ているという。「いつから好きなのか」という項目については、「小学生の頃から」という回答が40.5%となった。どうやら、マイナビ会員には根っからのミステリー&サスペンス好きが多いようだ。

月何本サスペンスを見ますか?

いつから好きですか?

そもそも、「江戸川乱歩賞」とはいかなる賞なのか。

「江戸川乱歩賞」はその名の通り、大正から昭和にかけて活躍した推理作家・江戸川乱歩にちなんだ賞である。仮に江戸川乱歩を知らなくても、名探偵・明智小五郎や怪人二十面相を生み出した作家といえばピンとくる読者も多いだろう。

江戸川乱歩の寄付を基金として1954年に始まった「江戸川乱歩賞」は、毎年優れた推理小説に贈られており、今年で61回目を迎える。ちなみに『翳りゆく夏』第49回(2003年)の受賞作である。

さて、そんな江戸川乱歩賞で一番人気となった『放課後』と、今回WOWOWプライムで放送される『翳りゆく夏』はどんな作品だろうか。実際に小説を読んでみることにした。

第31回江戸川乱歩賞受賞作『放課後』とは

「放課後」はヒットメーカーとして知られる推理作家・東野圭吾によるデビュー作だ。発表されたのは1985年だが、その内容は今読んでもまったく古さを感じさせない。30年が経過した今でも人気ナンバーワンという事実がその証拠である。

物語の舞台は私立の女子校。主人公は同校に勤務する数学教師の前島。アーチェリー部の顧問をしていた前島は、最近になって何者かに命を狙われていると感じていた。そのことを校長に相談してみても、日和るばかりでまったく頼りにならない。そんな折、学内で殺人事件が発生する。殺されたのは生徒指導部の教諭・村橋。そして、殺害現場は完全な密室になっていた――。

本作はジャンルとしては推理小説に分類される作品だが、実際には青春小説としての側面も強い。いわば「青春推理小説」だ。主人公の前島は数学教師だが、教師になりたくてなったわけでもなく、仕事を「金をもらうための手段」と捉えており、どこか冷めている。そんな前島と、多感な時期である女子高生たちの空気感は対照的で、「学校」という空間のある種の特異さとリアリティをもって描き出している。

30年前の作品ということもあって、「ガリレオ」シリーズや「さまよう刃」といった比較的最近の人気作とは少し作風が異なるのも特徴的だ。どちらかといえば「人間ドラマ」よりは「推理小説」に寄っており、「アリバイ」「密室」「トリック」といった要素から、犯人を突き止めていく流れだ。いわゆる"どんでん返し"的なミステリーが好きな人には文句なしにオススメできるし、最近の社会派な東野圭吾作品を知っているファンには新鮮に思えるだろう。

学校を舞台にしているところも、古さを感じさせない理由だ。1985年はもう30年も前なので、社会情勢やテクノロジーの面から考えるとはるかに昔の時代である。しかし、考えてみれば「学校」だけは時代の影響をそれほど受けない場所だ。1985年当時の女子高生も、今の女子高生と同じように勉学や部活に励み、先生や友人との人間関係に悩み、日々を過ごしていた。トリックや密室といったロジカルな部分の骨組みだけでなく、そうした普遍的なものがしっかりと描かれているからこそ、本作は現代でも通用する人気作品になりえたのだ。