2015年はどのようなトレンドに注目しておくべきなのか? ビジネスマン向けのトレンド予測を、Incが「2015年に注目すべきトレンド(10 Trends for 2015 You'd Better Pay Attention To)」として紹介している。これによると、そろそろ社会で重要な役割を果たすようになった若い世代「ジェネレーションZ」を理解しておく必要があるという。

記事はFord Motor Companyが毎年作成しているトレンド予測レポートに基づくものだ。

ジェネレーションZに注目せよ

日本では、団塊の世代と団塊ジュニア世代が経済活動において重要な層といえるが、「ジェネレーションZ」と呼ばれる新しい世代目を向けてみよう。

1985年頃から1992年をジェネレーションZと指すのが日本だが、米国では1993年以降の日本より少し若い20歳前後の世代を指す。この世代の考え方や思考を理解してマーケティングや製品開発を行っていくべきというのが同記事の趣旨だ。

さまざまな切り口があるが、たとえば、「反逆的なイメージのブランドや企業にひかれる」という質問に対し、米国の35歳以下は46%、中国では57%が「はい」と回答したが、日本は42%にとどまった。また、「これまでと比べると、現代の人間は『失敗』を自慢するようになった」という設問に対して、日本では41%がそのように認めたが、米国は57%、ブラジルでは73%が「イエス」と回答している。

ここまで低い数字が並ぶ日本だが、教育において「教育よりも体験が重要」と回答した日本人は79%にのぼっており、中国(66%)と米国(66%)を上回っている。ほかにも、35歳以上の53%が「現代の子ども達は、同じ国の大人より、世界の同世代の子どもと共通点が多い」と思っているという。

持たない主義?

では、世界的に見たジェネレーションZの特徴はなにか。この世代はスマートフォンに慣れ親しんでおり、PCからモバイル端末、クラウドサービスまで幅広く使いこなしている世代といえる。

レポートによると、世界には20億人のジェネレーションZがおり、教科書をタブレットで読む学生は20%、研究課題にYouTubeやTwitterなどのソーシャルメディアを利用した経験がある人が52%と過半数を超えるなど、「技術を使いこなし、自発的な学生」が多いとのことだ。

レポートではこの世代の若者の傾向として、「買う」よりも「借りる」ことを好むとも指摘する。確かに日本でもマイカーへの憧れがなくなったなどと言われており、少し前の世代のように持ち家に対するこだわりも少ないのかもしれない。これはソーシャルメディアで育まれた「共有」という考え方とも関係ありそうだ。

家族感の違い

親世代の離婚率が高かったり、同性婚のニュースが珍しくなくなった現在、若者の家族感や地域への考え方も変化しているという。

「血のつながりがない良い隣人も家族の定義に入る」という考え方に米国の成人の76%が同意しており、日本の成人であっても「伝統的ではない付き合いを受け入れる」という考え方に77%が同意している。

ペットを家族と考える人も多く、米国ではペットの飼い主の54%が自身を「ペットの親」と思っているという。なお、日本では16歳以下の子どもの数よりペットの方が600万匹も多いのだとか。

プライバシーへの懸念は強い

プライバシーに対する考え方はどうか。

レポートによると、若者は企業が個人情報をどのように収集しているのか大人よりも懸念しており、自分たちの信頼を「悪用している」と考えたらサービスの乗り換えをいとわない傾向にあるという。実際にティーンエージャーの26%がプライバシーの懸念から偽りの情報をSNSに投稿したことがあるとのことだ。

一方で、便利さも重要視している。近くのショップからクーポンを受け取るためであれば、自分の位置情報を共有することをいとわないという人は35歳以上が42%であるのに対して、35歳以下では56%がOKしている。