開催中のCES 2015で、東芝が、1チップのBGAパッケージ型のPCIe SSD試作機「BGシリーズ」を公開した。16mm×20mmサイズ、厚さも1.65mmという極小のチップ一枚の中にコントローラとNANDフラッシュを実装しており、これだけで通常のSSDストレージとして動作する。モバイルノート向けストレージを想定しており、今年中の量産開始を目指す。

東芝の1チップSSD「BGシリーズ」

「BGシリーズ」は、一枚の小型チップの中にNANDフラッシュだけでなくICコントローラも内蔵するSSDで、フラッシュメモリを積層して実装することでこのサイズを実現しているという。試作機では最大256GBの容量が実現可能で、インタフェースはPCI Express 3.0のx1接続。NVM Express 1.1にも対応する。容量128GBまでなら厚さをさらに1.4mmまで減らせるそうで、同社によれば、「世界最小の1パッケージPCIe SSD」とのこと。

サイズは容量256GBで16mm×20mm×1.65mm、NANDのスタックが減らせる128GBでは厚さ1.4mm

開発中ということもあり実装するコントローラやフラッシュメモリ等の詳細は不明だが、同社スタッフは「中身は、基本的には東芝の現行2.5型SSDなどと同等のものが入っている」と述べている。コストの面では、ノートパソコンなどクライアント向けSSDとして開発している背景から、「通常のPCIe SSDの市場価格に見合うあたり」としていた。

基板上に直接実装するBGAパッケージでの提供だけでなく、M.2スロットを利用するM.2 2230モジュールにこれを実装した製品としての提供も検討している。ちなみに、SSDのM.2 2230モジュール対応はこれが初という。現行のM.2 SSDでは、市場ではM.2 2280モジュールを利用したものをよく見るが、M.2 2230はそれらに比べて基板がかなり短くコンパクトだ。

こちらはBGシリーズのBGAパッケージをM.2 2230モジュールに実装したM.2 SSD

同社ではシステム上のストレージ搭載エリアを、BGAパッケージの「BGシリーズ」の場合で、2.5型SATAケースに比べ95%、mSATAモジュールに比べ80%、M.2 2280モジュールに比べても82%減らせる説明。空いた空間は、バッテリスペースの拡張で駆動時間を増やしたり、ボディのダウンサイズに活かせるので、ノートパソコンのデザイン自由度の向上にに貢献できるとしている。

ストレージサイズを小さくした分で、ノートパソコンの設計の自由度が上げることができる

NFC内蔵のSDHCカードも

世界初という、NFC機能を内蔵したSDメモリーカードも公開。日本市場向けには来月には発売する計画だそうで、欧米やアジア向けも今四半期中にはじめるという。日本向けでは8GB/16GB/32GB容量のUHS-Iカードを投入する。価格はまだ検討中だそうだが、通常のSDカードより数百円だけ上乗せする程度。

世界初というNFC機能内蔵SDカード

専用アプリをNFC対応のAndroidスマートフォンにインストールし、このSDカードにかざすと、カード内に記録された内容をプレビューできるという機能を提供する。具体的には、スマートフォンのアプリ上からカードの空き容量や、記録された写真を最大16枚のサムネイルで見ることができる。

NFC対応のスマートフォンと連携して記録内容をプレビューできるという機能を提供する

これは写真を最大16枚抽出しスマートフォン画面にサムネイル表示しているところ

今度はメモリーカードの空き容量をスマートフォン画面に表示

写真16枚のサムネイルは、ユーザーの設定で撮影日時が最新の写真であったり、撮影枚数の多い日付からソートしたり、任意の写真を優先したりといった変更ができる。「目の前に複数枚のSDカード、どの写真がどのSDカードに入っていたかわからない。パソコン立ち上げるのも面倒……」という経験がある人には嬉しい製品だろう。

なお、最近はスマートフォで写真を撮ることも多く、microSD化してくれるとさらに使い勝手が良くなりそうだが、NFCのモジュール類のほか通信アンテナなどもすべて内蔵しているため、アンテナの配線の問題などで少し困難なのだそうだ。今回の製品への反応が好評であれば、microSDなどSD以外のバリエーションはもちろん検討するとしていた。