2014年12月17日、「Tokyo Work Design Week 2014」オーガナイザーの横石崇と「WIRED」編集長の若林恵が、「Rethink_Work」と題して、独立系ヴェンチャーキャピタルファンド「ANRI」創業者の佐俣アンリと、デジタルクリエイティヴ集団「バスキュール」プロデューサーの西村真里子をゲストに新しい働き方についてのトークセッションを実施した。Tokyo Work Design Week 2014は、“働き方の祭典”と称し2014年11月19日から7日間にわたって開催されたイベントで「デジタルテクノロジーの発展によって、若者の働き方はどう変わっていくのか」がテーマのひとつとなっていた。

トークセッションの様子(撮影:西田香織)

また、WIREDは以前から新しい働き方について着目しており、2013年3月に発売されたVOL.7では「未来の会社 これからの『働く』を考える」という特集を掲載。「メールも上司もいらない!? 未来の企業のための新ルール15」「シリコンヴァレーで大人気の空間設計事務所のデザイナーが語る、21世紀のオフィス」「シリコンヴァレー系 『ひらめくオフィス』のつくりかた:Studio O+Aの空間デザイン」「21世紀のナレッジワーカーの常識。『BYOD』と『ワーカー・アプリ』」「仕事の悩みをスマホで解決! 2013年注目のワーカー・アプリ15」「注目の社会起業家8組が語る『成功』の定義」といった内容で展開した。 

まず、若林さんはWIREDで「働き方」の特集を組んだことについて「9~17時で安定して働くというオフィスの姿が崩れてきている。“会社”というのを見直したいと考えた」と、そのきっかけについて語った。リクルートに入社し、その後ベンチャーキャピタルの仕事に転身した佐俣さんは「もともとベンチャーキャピタル大手に就職する予定だったのが、詳しくなりすぎて内定辞退しました。リクルートでは楽しく仕事できたのですが『やりたいことが合致していなかった』」と振り返る。IBMのSEとして活躍した西村さんは、転職を繰り返しながら2015年に独立を目指すという。転職を繰り返した理由のひとつとして“憧れの先輩がいなかった”ことを挙げている。

自分の「やりたいこと」に固執する必要はない

デジタルクリエイティヴ集団「バスキュール」プロデューサーの西村真里子(撮影:西田香織)

自分の「やりたいこと」が明確にある人が独立するのかというと、佐俣さんは「そんなにガチガチする必要はない」とし、西村さんも「世の中は変わっていくので、ひとつの職種に固執するよりかは“ミーハー”でよいから、いろいろな職種を体験するべき」と続けた。今は職種にこだわるべきではないというのが、2人の共通した意見だ。また、西村さんは「フリーならば今は得意分野を持ち寄ってユニオンを組む感じ」と最近の働き方のトレンドについて語り、両名とも「現在は肩書きにとらわれない時代であり、自分の強みを生かしながら働き方を選ぶ時代」と分析する。

一方、自分がフリーに向くのか企業人に向くのかといった議論も展開された。佐俣さんは「“世界戦争の兵隊”になりたいのか、“竹槍を持った村一揆の中心人物”になりたいのか」というユニークな持論を披露。フリーにせよ企業人にせよ「新しいものを世の中に生み出す」にあたり、“どこから”発信するのか、自分で選ぶことができる時代だという。西村さんも「何かをやりたいっていうよりも、“何か面白いこと”を生み出す人になりたい」と付け加えた。

両名によると「今は働き方にとらわれない時代」であり、重要なのは“客観視する力”と“セルフプロデュース能力”だという。クリエイターとして“自分がなりたいもの”が明確にある場合は別だが、今は自分が働く“場”を見直すことも大切だとした。

なお、同イベントはサンフランシスコ発の「Ploom」がサポート。この「Ploom」は、煙ではなくVapor(ベイパー:蒸気)を楽しむ新しいたばこのスタイルを提案する商品で、スタンフォード大学でともにデザインを学んでいた学生たちが卒業後、喫煙者と非喫煙者が共存して働くことを目指してたばこを「Rethink」してつくったものだという。