近大マグロが量産開始 - 世界進出への準備進む

「近大マグロ」のブランドマーク

寿司の定番といえばマグロ。現在、乱獲によってその数を減らしており、漁獲制限が設けられるなど保護の対象となっており、このままでは食べることができなくなってしまうのではないかと危惧されている。こうした状況の中、2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学(近大)が今年7月、豊田通商と連携してクロマグロ稚魚の生産事業や海外での事業化に本格的に進出すると発表した。

同大学のクロマグロ稚魚の年間生産量は現在約40万匹で、2020年に合計70万~80万匹までに拡大する計画だという。これはクロマグロの国内消費量の1割に相当する。豊田通商は近大と2010年からクロマグロ中間育成事業の業務提携を進めており、引き続き近大が研究・技術開発を、豊田通商が量産化の役割を担う。

豊田通商が養成したクロマグロは11月、近畿大学によって「近大マグロ」として認定を受けたことによって、近大以外の施設でも養殖できることが示されたほか、年間供給量は現在の80t(2000尾)から1.5倍の120t(3000尾)となり、2020年には240t(6000尾)まで引き上げることが可能となった。

「近大マグロ」の品質は高い評価を得ており、「近畿大学水産研究所」銀座店は12月に開店一周年を迎え、海外展開に向けた取り組みも進められるなど順調な展開を見せている。

若田光一氏が日本人で初めてISSの船長に就任!

宇宙関連では「はやぶさ2」の打ち上げのほか、若田光一宇宙飛行士が日本人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めたことも話題となった。

若田氏は昨年11月にソユーズでISSに出発し、今年3月から2カ月間、ISSの第39代船長を務めた。188日間の宇宙滞在は1回の飛行で日本人最長、通算の滞在日数も348日間にのぼり、日本人最長となった。

帰国後の記者会見で「有人宇宙開発活動における日本への信頼感が高まったこと」が船長を任された一因だったと語った同氏。今後は、次の日本人船長の実現と、有人飛行へのさらなる日本技術の活用をサポートしていくという。

現在、油井亀美也氏、大西卓哉氏、金井宣茂氏が宇宙に出発するための準備・訓練を続けており、その中でも油井氏は第44/45次長期滞在クルーとして2015年5月にソユーズでISSへ出発することとなる。

エボラ出血熱が急速に拡大 - 富士フイルムのアビガンが効果示す

今年の6月頃から西アフリカで急速な広がりを見せたエボラ出血熱。世界各国から援助が提供されたが、感染の拡大をとめることはできず、世界保健機関によれば12月時点で7千人以上の死者を出している。

効果的な治療薬がみつからない中、9月、富士フイルムは、同社グループ会社である富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」がエボラ出血熱に罹患したフランス人女性看護師に投与され効果を示したと発表し、世界中で話題となった。

その後、「アビガン錠」はノロウイルスに対しても効果を発揮するということが英ケンブリッジ大学の研究によって明らかとなり、ウイルスの増殖を抑制するという作用機序によって治療だけでなく感染予防にも効果的である可能性が示唆された。

今年も各地で異常気象が多発

2月には都心に26年ぶりとなる大雪が降り、6月には東京都三鷹市などで直径約2cmのひょうが降り積るなど、2014年も年間を通じて異常気象が発生した。広島市北部では8月に発生した記録的豪雨が大規模な土砂災害を引き起こし甚大な被害をもたらしたほか、12月には徳島で大雪が発生し人命が失われた。

従来の想定を超える異常気象が立て続けに発生する状況の中、今年、日本は陸域観測技術衛星「だいち2号」を5月に、静止気象衛星「ひまわり8号」を10月に打ち上げた。

「だいち2号」は打ち上げ後の検証期間中に発生した広島での土砂災害や、9月に発生した御嶽山の噴火後の状況把握に利用されるなど活躍している。「ひまわり8号」は「ひまわり7号」とくらべて観測時間が3分の1、解像度が2倍に向上するなど観測能力が大幅に向上しており、天気予報だけでなく異常気象の監視・予測にも利用される予定となっている。その観測データはアジア・太平洋30カ国に提供され、各国の災害対策に活用されるという。

IoTの活用が本格化 - ゲノム医療やPepperの開発など具体的な取り組みが始まる

スマートメーターやウェアラブル器機などのIoTデバイスによって身の回りのものがインターネットへつながるようになり、多くの企業がそこから得られるビッグデータを新しいサービスの開発や顧客管理に利用している。また、企業だけでなく国立がん研究センターなどの高度医療研究機関も、医療情報の収集・解析による次世代のゲノム医療の構築を目指す取り組みを開始しており、産業界以外でもIoT/ICTを活用した事業モデルの構築が本格化している。

ソフトバンクのPepper (ソフトバンクのホームページより)

ビッグデータの収集・分析が焦点となる中で、IBMの「Watsonコグニティブ・システム」を利用したさまざまな取り組みが注目を浴びている。コグニティブ・テクノロジーは、膨大なデータを分析して、課題に応じた支援を即座に提供するというもの。今年3月には米The New York Genome Centerが同システムを利用したゲノム医療を促進する取り組みの開始を発表したほか、ソフトバンクのパーソナルロボットPepperの人工知能の開発にも利用されている。

このように、IoTデバイスによってより効率的に収集したデータをWatsonのような高度なシステムを用いて解析し、その結果を新しいサービスの創出などに利用することは、将来的にヒトとモノの交流を深め、私たちのライフスタイルに大きな影響を与える可能がある。今後、IoT社会に向かっていく中で、企業や団体はその活用方法をより具体的に問われることとなるだろう。