多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「なぜドコモの回線を利用するMVNOが多いの?」という質問に答えます。

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Android端末でも利用者増加中のMVNO(Mobile Virtual Network Operator)は、無線通信基盤を移動体通信事業者から借り受け、独自仕様をくわえて提供するネットワーク接続サービスの総称です。mineo(au/KDDI回線)やディズニー・モバイル(ソフトバンク回線)など一部を除けば、その多くはNTTドコモの回線を使用しています。

無線通信に使える電波の帯域には限りがあるため、移動体通信事業者として使用を許可されているのは数社です。MVNOはその許可を受けた事業者の設備を利用するため、一般の企業でも参入できます。しかし日本でMVNOを展開しようとすれば、通信可能エリアの広さや通信設備の充実度からいって、NTTドコモとau/KDDI、ソフトバンクのいずれかから回線を借り受けなければなりません。

なぜNTTドコモが選ばれるかですが、ひとつには電気通信事業法第30条第3項の規定があります。そこでは「一定のシェアを超える通信会社の禁止行為」を定めており、移動体通信事業者としてはNTTドコモがその対象とされています(総務省令で決定)。MVNOを事業として営みたい企業からの回線貸し出し依頼があれば、特別な理由がないかぎりこれを拒否できません。

接続料の低さも、NTTドコモが選ばれる理由と考えられます。3社が公開しているMVNO事業者向け資料によれば、au/KDDIとソフトバンクの回線使用料はNTTドコモの2倍以上あり(2014年春時点)、採算上からもNTTドコモが有利となっています。

もっとも、au/KDDIはMVNO事業会社「KDDIバリューイネイブラー」を設立し、サブブランドのような形でMVNOの活用を開始しました。ソフトバンクも、密接な関係にあるY!モバイルを同様のポジションに見立てている節があります。現在のところはNTTドコモの回線が圧倒的なMVNOですが、2台目需要などスマートフォンの裾野が広がる傾向もあるため、この状況は変化していくことでしょう。