外出先でタブレットやノートPCを利用する際、通信手段として選択肢になるのが「モバイルルータ」と「スマホのテザリング」だ。マイナビニュースが実施した座談会では、"スマホのバッテリーの持ちを気にする必要がないこと"や、"サービスによっては通信が使い放題"など、テザリングと比較したときのモバイルルータの様々なメリットが浮かび上がってきた。

そこで本稿では、主要各社が提供するモバイルルータの料金プランやサービス内容を比較し、もっともおすすめできるモバイルルータについて考察していきたい。

WiMAX/WiMAX 2+対応モバイルルータ

最初に取り上げるのは、UQコミュニケーションズが提供するWiMAX/WiMAX 2+に対応するモバイルルータ「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」(ファーウェイ製)だ。同端末では、下り最大110MbpsのWiMAX 2+、下り最大40MbpsのWiMAXに加え、KDDI(au)が提供する下り最大75Mbpsのau 4G LTEに対応している。

WiMAX/WiMAX 2+対応モバイルルータ「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」(ファーウェイ製)

WiMAXの特徴は、通信容量による速度制限がなく、下り最大40Mbpsの高速通信を使い放題で利用できることだ。また、下り最大110MbpsのWiMAX 2+についても、課金開始月から最大25カ月は速度制限がなく、使い放題で利用可能。なお、LTEとWiMAX 2+の通信量の合計が月間7GBを超えた場合、速度制限の対象となるが、その場合でもWiMAXは速度制限なく利用することが可能だ。

WiMAX 2+の利用エリアは、2014年7月末には東名阪に札幌、仙台、広島、福岡を加えた7大都市へと拡大し、2015年春には全国のエリア化が完成予定。また、au 4G LTEは2014年3月現在、人口カバー率99%となっている。

月額料金は、2年契約の「UQ Flatツープラス」が「おトク割」の適用により、3,696円(最大25カ月、以降は4,196円)。au 4G LTEを利用する場合には、LTEオプション料として1,005円がかかる。また、auのスマートフォンを利用している場合、「auスマートバリューmine」の対象となり、au利用料金から最大934円/月が割引される。

Hybrid 4G LTE対応モバイルルータ

次に紹介するのは、ソフトバンクモバイルが提供するHybrid 4G LTEに対応するモバイルルータ「Pocket WiFi 302ZT」(ZTE製)だ。同端末が対応するHybrid 4G LTEは、AXGP方式のSoftBank 4Gと、ソフトバンクのLTEに傘下のワイモバイルのLTEを加えたSoftBank 4G LTEを組み合わせた高速通信サービス。通信速度は、AXGPが下り最大165Mbps、LTEが下り最大112.5Mbpsとなっている。

ソフトバンクモバイルが提供する「Pocket WiFi 302ZT」

なお、AXGPの下り最大165Mbpsエリアは、キャリアアグリゲーションにより実現するもので、現在は東名阪などのごく一部の地域に限られており、その他のエリアでは下り速度は最大110Mbpsとなる。また、LTEの下り最大112.5Mbpsエリアも一部地域に限られ、その他のエリアでは下り最大75Mbpsまたは下り最大37.5Mbpsとなっている。

月額料金は、2年契約の「4G/LTEデータし放題フラット」の場合、特別キャンペーンの適用により、3,696円(2年間、3年目以降は4,196円)。なお、同プランでは、月間の通信量が7GBを超えた場合、通信速度が制限される。このほか、新料金プランの「スマ放題」を利用し、ソフトバンクのスマートフォンとモバイルルータで通信容量をシェアすることもできる。

なお、ワイモバイルも「Y!mobile」ブランドでモバイルルータの提供を行っている。最新機種は、「Pocket WiFi 305ZT」(ZTE製)で、型番は異なるが、端末自体はソフトバンクの302ZTと同様だ。月額料金は、2年契約の「Pocket WiFiプラン+」の場合、「おトク割」の適用により、3,696円(2年間、3年目以降は4,196円)。同プランでは、月間の通信量が7GBを超えた場合、通信速度が制限されるが、「CA対応Pocket WiFi使い放題キャンペーン」によって、速度制限時の解除料金(500円/500MB)が最大2年間無料となり、2年間は通信が使い放題となっている。

だが、同キャンペーンを利用する際は注意が必要だ。まず、速度制限がかかった際に、都度、自ら解除設定を行う必要がある。加えて、ワイモバイルが「ご利用料金プ ランによる低速化とは別途通信速度の制御を行う場合があります」(同社)として設定している通信速度の制御も問題だ。この通信制御は、前日までの3日間の 通信量が839万パケット(約1GB)以上となった場合、当日6時から翌日6時までの通信を制限するというもの。この2点を考慮すると、同キャンペーンは 「使い放題」とは言いがたい。

Xi対応モバイルルータ

NTTドコモが現在、販売しているモバイルルータの最新機種は、「Wi-Fi STATION L-02F」(LG製)だ。同端末は、ドコモが提供するLTEサービス「Xi」の800MHz/1.5GHz/1.7GHz/2GHzという4つの周波数帯に対応。通信速度は下り最大150Mbps。

NTTドコモが提供する「Wi-Fi STATION L-02F」(LG製)

なお、下り最大150Mbpsエリアは、1.7GHz帯LTEが提供されている東名阪の一部地域のみとなり、その他のエリアでは下り最大112.5Mbpsとなっている。また、LTEの人口カバー率は、2014年度末に99%に達する予定だという。

利用する際は、新料金プランの「カケホーダイ&パケあえる」でパケットパックの通信容量を選択して契約することになる。モバイルルータ単独で契約する場合、基本プランの「データプラン」(1,200円/月)、インターネット接続サービスの「spモード」(300円/月)に各パケットパックの料金を組み合わせ、月間5GBのプランの月額料金は6,500円、月間8GBの月額料金は8,200円。

なお、ドコモのスマートフォンとモバイルルータでパケットパックの通信容量をシェアすることも可能。また、いずれのプランでも、設定された通信容量を超過すると速度制限が行われる。

各社のモバイルルータを比較! 使い放題はWiMAXだけ

各社モバイルルータの対応ネットワークや通信速度、月額料金などを表にまとめると、以下のようになる。

主要各社のモバイルルータ最新機種の比較表(金額は税抜) ※拡大画像はこちら

各社の最大の違いは、通信速度制限だ。各社が制限を設けている中、WiMAXだけが使い放題となっている。具体的には、WiMAX対応モバイルルータの場合、下り最大110MbpsのWiMAX 2+を通信速度の制限なく2年間使い放題で利用できる(WiMAXは3年目以降もずっと使い放題で利用可能)。どれだけ使ったかを気にせず、安心して利用できるため、自宅の固定回線の代わりに導入することもできるだろう。

また、月額料金では、ドコモ以外は4社横並びで3,696円と手頃な価格になっているが、WiMAX対応モバイルルータの場合、auスマートフォンとのセット割引である「auスマートバリューmine」を利用でき、料金面でもメリットが大きい。なお、ソフトバンクやドコモでは、新料金プランを利用し、スマートフォンとモバイルルータで通信容量をシェアすることもできるが、その場合、通話定額が必須となるため、スマートフォン料金が割高になる可能性が高いと言える。

ちなみに、マイナビニュースの別稿では、モバイルルータと格安SIMを使ったテザリングの比較を行っているが、通信容量の上限や速度制限がないことや、追加料金が不要なことから、WiMAX対応モバイルルータを使うほうが優位という結論になっている。

そのほか、WiMAXは「オリコン顧客満足度ランキグ」「J.D.パワー顧客満足度」「RBB TODAYモバイルアワード」といった第三者機関による顧客満足度調査で、2年連続で三冠を達成するなど、ユーザーの満足度が高いことが魅力だ。

以上のことから、使い勝手や料金面、満足度などで総合的に判断すると、WiMAXに対応するモバイルルータが最もおすすめできるモバイルルータと言えるだろう。加えて、マイナビニュースの別稿で紹介した通り、WiMAXルータであれば、固定回線を契約せずにモバイルルータ1台で自宅のインターネット環境を構築することも可能だ。使い方次第で通信費用を大幅に削減するということも可能だ。冬のボーナスのタイミングでタブレット端末や2台目スマートフォンの購入を検討している、年末の大掃除や春先の引越しシーズンに自身のインターネット環境を見直そうと考えているという方も多いはず。そんな方は、本稿を参考に賢く買い物をしていただきたい。