【レポート】

Microsoftのクラウド時代を支えるデータセンターの秘密 - 阿久津良和のWindows Weekly Report

 

日本マイクロソフトは12月16日、日本国内のデータセンターから法人向けOffice 365の提供を開始すると発表した。Microsoftは世界各国にデータセンターを展開しており、現在80拠点以上を数えるという。我々コンシューマーから見れば、データセンターの設置場所は国内外を意識するものではない。だが、日本マイクロソフト執行役専務エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏は、「官公庁や金融機関など、国内でデータを保持しなければならない法人向けの選択肢が拡大する」と、国内データセンターを活用するメリットをアピールした。

法人向けパブリッククラウドサービス「Microsoft Office 365」を国内データセンターから提供開始

国内提供のメリットを語る日本マイクロソフトの小原琢哉氏

ここでデータセンターの役割を思い返してみたい。そもそもデータセンターとは各種コンピューターを設置する施設を指す。我々が何気なくアクセスしているWebサーバーや、企業データを保持するファイルサーバーなどを運用するコンピューターがラックに設置されている。さらに身近なところでは、OneDriveのようなオンラインストレージの格納スペースもデータセンターを利用している。

現在Microsoftはデータセンターを自社建設するパターンと、各地域パートナーの借り受けるパターンの2通りで運用してきた。2014年2月から運用を開始した日本データセンター(東日本リージョン/西日本リージョン)は後者のパターンだと、日本マイクロソフト業務執行役員 プラットフォーム戦略本部長の越川慎司氏は説明する。

データセンターについて説明する日本マイクロソフトの越川慎司氏

Microsoftは各国にデータセンターを開設するにあたり、Microsoft AzureやOffice 365を開発・管理する製品グループのビジネス部門が、どの地域に需要があるかをあらかじめ調査。その結果を、どの地域に設備を設置すればよいか判断する設備部門「GFS(Global Foundation Services)」の総合的結論でデータセンターの設置に至るという。

Microsoftが世界中に展開するデータセンターの代表的な設置場所。来年にはインドも加わる

GFSの主な役割。データセンターの設計や運用、可視化や料金設定など多岐にわたる

GFSの役割は多岐にわたる。現在Microsoftはビジネス&コンシューマー向けサービスとして200を超えるクラウドサービスを展開中だが、そのインフラはもちろん、10万人以上のMicrosoft社員用のインフラを支えるのも役割のひとつ。その他にもデータセンターの建物やラックのデザインを担当する部門、ストレージ容量を総合的に管理する部門、ソフトウェアライセンスを発行するMOC(Microsoft Operation Center)、料金設定やセキュリティ、法令遵守もGFSの仕事だ。面白いのは自動化ツールを用いて各データセンターやサーバーの状態を監視する部門である。ここで運用していたツールをもとに同社の「System Center」が生まれたという。

1989年に設置したデータセンター。場所やスケールについては明らかにしていない

2009年設置のシカゴデータセンター。フットボール場約10個分の敷地を使用している

アイルランドのダブリンに設置したデータセンター。2009年とシカゴデータセンターと同じくコンテナ型だが、空冷システムを採用している

第4世代データセンターはコンテナ型を最適化し、PB(ペタバイト)単位の拡張性も可能にした

そして、なぜ日本にデータセンターを設置したか、という質問に対して越川氏は次のように説明した。第一に顧客需要とMicrosoftによる潤沢な投資能力、次に日本が太平洋を中心としたアジアのハブに位置している点。そして、自然災害に耐えうるデータセンター運用が可能になった点だという。

日本マイクロソフトが提唱する国内データセンターの優位性

さらにその背景には興味深い話があった。日本マイクロソフトがデータセンターを設しようとした際、米国のビジネス部門は色よい返事を出したが、GFSは先の東日本大震災など自然災害が多いことを理由に回答を渋っていたという。結果的に設置まで3年半の月日を要したが、一気に改善したのが、CEOにSatya Nadella氏が就任したタイミングだ。彼がサーバー部門の責任者であったことは有名ながらも、GFSの責任者であったことはあまり知られていない。同氏のリスクを取ってもコミットする姿勢が、日本リージョンの設立に一役買ったことになる。

この他にも日本リージョンに増設する施設の模型をもとに、データセンター全体の構造について説明が行われた。東日本に増設したデータセンターは、積層ゴムと呼ばれる"ゴムの柱"で支えて地上から浮いた構造になっているそうだ。地上からの震動をビルに伝えない構造になっているという。さらにオイルダンパーなど免震用システムを組み合わせ、ビル全体の"揺れ"を大幅に軽減。ちょうど東日本大震災時は今回増設したビル内で工事中だったが、現場の関係者は地震発生に気付かなかったそうだ。

埼玉県の東日本リージョン(左)と大阪府の西日本リージョン(右)に増設するデータセンターの模型

"ゴムの柱"の中には鋼を埋め込み、強靱(きょうじん)性と柔軟性を両立。震動を80%抑制できるという

仮にビル自体が半壊しても地下50メートルに設置した耐震通信トンネルを経由して、国内の別リージョンへデータを移すことが可能。また、ユーザーが許可を出せば緊急対応として海外リージョンへ逃がす選択肢もあるという。さらに緊急時に自動復旧などを可能にするレジリエントネットワークも強化し、Microsoft Azure機械学習をベースにしたモニタリングシステムと組み合わせて、トラブルが発生する前に機材を入れ替えるシステムの導入を予定している。

他のデータセンターにルート変更することで自動復旧を実現するレジリエントネットワークも、さらなる単純化で大規模障害発生時の対応を迅速にするという

Microsoft Azure機械学習を用いたモニタリングシステムは過去25年の波形変動をビッグデータとして活用し、障害発生の事前予知などに活かしている

越川氏は「我々は東日本大震災に関するデータを持っているからこそ、自然災害が多い日本でのデータセンター運用を可能にしている」と自社データセンターのシステムに自信をみせていた。以上、今後のIT社会・ネットワーク社会において重要な役割を担うデータセンターの現状を認識する一助として報告したい。

阿久津良和(Cactus)

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