香港のチャーシューは日本のチャーシューとはちょっと違う。日本の場合は豚肉に焼き目をつけてから圧力鍋などで熱を加えるのが主流だが、香港では焼くのみだという。その後、まわりに蜜を塗って焼くため、「ハニーローストポーク(またはバーベキューポーク)」と言われる名称の通り、香ばしさとパリパリ感がたまらない一品に仕上げられている。

味噌と蜜の甘味とじゅわっと出てくる肉汁、そして外側のパリパリ感。全てが驚きの連続(写真は「單雙●焼味例牌」(●は手偏に并、130香港ドル=約2,000円)

庶民の愛するロースト肉の専門店

香港の地元民に愛される専門店のひとつに、店頭にチャーシューやローストダッグをつるしている「燒臘店」という焼きものの店がある。肉を炙(あぶ)ってローストしており、焼きものというより丸焼きに近い。その肉を単品で食べたりご飯にのせたり、また、定食やテイクアウトメニューとしても地元民に親しまれている。

メロンパンにチャーシューを入れてしまうほど、庶民にとってはなくてはならない焼きものだが、2015年版でミシュランの星がついた焼きものの店が「一樂燒鵝」だ。店頭にはガチョウの丸焼きが吊るされ、ローカル感満載の店だが、空席を見つけるのが大変なほどの混みよう。店名からすると焼き鳥屋を想像してしまうが、鶏だけでなくガチョウや豚の丸ごとなど、焼き肉(ロースト)ならなんでもござれ、なのだ。

「一樂燒鵝」は1957年創業の老舗。香港島の夜の街・ランカイフォンの真ん中に突如現れる

ジューシーな肉汁と蜜の甘さに食欲増進

お目当てのチャーシューは、赤身や脂身がほぼ半々の首まわりの肉を使うのだそう。肉はきれいに水で洗い、砂糖、塩、醤油などを合わせた秘伝のタレに漬け込み、冷蔵庫で一晩寝かす。こちらを取り出して、水あめの蜜や海鮮も入った天然の味噌を何度も塗りながら、1時間ほど丁寧に焼くのだ。

外側の蜜を焦がしたパリパリ感と、内側の生に限りなく近い絶妙な焼け具合の肉の柔らかさが、ありえないくらいバランスがいい。蜜と味噌というB級グルメの王道のようなまわりのタレが食欲を増進し、やみつきになること間違いなし!

1種類または2種類か肉の種類を選べる盛り合わせ「單雙●焼味例牌」(●は手偏に并)は、130香港ドル=約2,000円)で一皿約300gほどと1皿で2人分くらいの大ボリューム! 一方、チャーシューの量は少なめになるが、ご飯にのせた人気定番飯・叉焼丼「招牌密汁叉燒飯」(47香港ドル=約710円)もオススメだ。

店頭にはこちらも人気のガチョウの丸焼きがずらり。テイクアウトも可能だ

一樂燒鵝 Yat Lok(OpenRice掲載ページ)

※1香港ドル=15.2円で換算。記事中の価格・情報は2014年10月取材時のもの