コンクリ打ちっぱなしの建物がまさかの「立ち食いそば店」!!??

「俺を満足させるそばがない……」。そう思っている読者は少なくないだろう。そもそもそばは高い店ほど量が少なかったり、敷居が高かったりするもの。ラーメンやうどんにはリーズナブルなガッツリ系があるのに、なぜそばという麺だけがーーーー!

おや? どこかからそばつゆのよき香りがするぞ、と鼻を頼りにふと顔を上げると、一面コンクリートで囲われた変わった建物が。看板やのれんすら見当たらないが、コ、コレは、み…せ…なのか?? でも間違いなくココから香ってくるということで迷わず突入した。

一見しただけでは「立ち食いそば店」には全く見えないデザイン性の高い建物。最寄駅は「虎ノ門駅」「新橋駅」などでそれぞれ徒歩10分程度。店内には大理石のテーブル1つだけ

あの「島耕作」も愛したそば!!

「『港屋』は"世の中にないお店"というコンセプトで2002年にオープンした立ち食いそば店なんです。この店のこだわりは『唯一無二』『オリジナル』『オンリーワン』。とにかく港屋でしか絶対に体験できない味を提供することなんですよ。そばはもちろん、ゴマやネギ、刻みのりまでココでしか味わえない素材を揃えています」。そう説明してくれたのは店主の菊地氏。

虎ノ門駅や新橋駅から徒歩10分程度の場所にある同店。店内には大理石のテーブルがドーンと中央に鎮座し、内装もシックでモダン。店主の言う通り、まさにこれまでになかったデザインクオリティ。立ち食いそば店らしい点は、平日のお昼時にサラリーマンで混み合うということのみ。いわゆる店近辺のサラリーマンが足繁く通う"サラめし"として、完全に大ヒットを飛ばしているそうだ。

実はこの「港屋」は、会長までに上り詰めてサラリーマン道を究めた男を描いた「島耕作」シリーズにも登場しているのだ。作中の中では島耕作が、大勢の中でウマそうにそばをすすりながら大事な打ち合わせを行うなどの描写がされているということもあり、サラリーマンにとってはまさにゲンが良いと言える一杯だろう。

しかし、これほどまでにサラリーマンの心を捉えた「港屋」の逸品とはいかなるものだろうか。

ラー油入りの「港屋特製のつゆ」が絶品すぎ

早速、店主オススメであり一番人気ともいう「冷めたい肉そば」(870円・税込)をオーダー。豪快に刻み海苔も盛りつけられていてボリューム感もイイ具合だが、そばつゆは見慣れぬ赤みが!?

「冷めたい肉そば」(870円・税込)」

刻みのりをかきわけると、その下にはゴマがたっぷり

ラー油の入った港屋特製のつゆ。完食後にはそば湯でも楽しめるぞ

「港屋の『冷たい肉そば』はラー油入りの特製つゆに絡ませて食べていただくんです」。

なんと! そもそもそばとは香りを楽しむ食べ物と聞いたことがあるが、港屋ではさらに風味の強いゴマやネギ、ラー油にくぐらせて食すのだ。ズルルルルッと口に運んでみると、コシがすごい。噛めば噛むほど味わい深い。さらにゴマの風味とやわらかい肉の旨味、そして鼻を突き抜けていくラー油の辛味が口内を駆け巡る。

「テーブル上の『卵』『揚げ玉』『特製唐辛子』はセルフサービスなので、お好みで味の調整をしてくださいね」とのこと。太っ腹なサービスに甘えて、卵を投入してみる。ラー油のピリ辛感がマイルドになってこれまた美味。サラリーマンたちの胃袋を満足させられるのも納得だ。

サービスの揚げ玉。少しずつ入れて自分にベストな味を見つけよう

「これからも、一生懸命がんばっていらっしゃるサラリーマンの方々の助けになれたら嬉しいですね。港屋の一切に『これでいいや』という仕事は一つもありませんから、こだわりのそばを用意してお待ちしています! 」。

店主の菊地氏ももともとはスーツをまとっていたサラリーマンだからこそたどり着いた境地なのだろう。話している最中にも、腕時計に何度も目をやるサラリーマンが満足を求めて来店してきた。

まさにそば業界の風雲児! 新たなる次元に到達したそばを食したければ、「港屋」に赴くべし!!

(文 A4studio牛嶋健・東賢志)