香港の代表的な朝ごはんのお粥だが、最近はあまり家で作らないという人も多いそう。なぜなら作るのに時間がかかるため、「朝から料理に時間をかけてられない!」というのがその理由。それほど手がこんでいるというお粥。朝というよりむしろ夜ご飯や夜食に食べる人も多く、かなりのボリュームがあるという。中でもミシュランもおすすめする驚きの濃厚粥は、なんとも具だくさんなのだ!

レバーがのった「心肝寶貝」は、「靠得住●粥(●は「青見」で一字)」の看板お粥

濃厚な"魚のスープ"が人気の秘密

2011年からずっと継続してミシュランにオススメされているお粥屋が、「靠得住●粥(●は「青見」で一字)」という店。ここの目玉は、6種類の魚を4時間かけて仕込むという魚のスープだ。6種類の詳細は秘密だそうだが、骨の旨みが出る大きな魚から身の味が濃い小さな魚まで、バランスよくダシをとっている。

この店をオープンしたきっかけは、社長が釣りに行った後に友人たちと麻雀をし、釣った魚で作ったスープのお粥が絶品すぎて、友人に開業を勧められたことが始まりだという。オープンした2000年当時は魚だけのスープで作ったお粥は少なかったため、たちまち人気になった。魚のスープは肉よりも鮮度が必要で、味を保つのが難しい。しかしその分、健康にもいいのだ。

香港に4店舗あり、本店の湾仔店は繁華街から一本入った路地にある。夕飯時には地元の人が押し寄せ、あっという間に満席に。社長は日本の築地のラーメン店でアルバイト経験がある日本通で、メニューに日本語の説明もある

高級"黄"豚レバーは半端ないとろけっぷり

魚のスープだからといって、具も魚とは限らないのが香港のお粥の底力。この濃厚なスープのお粥に大きな具がトッピングされる。一番人気の「心肝寶貝」(豚モツレバーとホタテのお粥、59香港ドル=約900円)は、北海道産の刺身用生ホタテに豚レバーの中でも高ランクの「黄沙豬潤」という脂が黄色いレバーを使用している。

生ホタテもお粥並みに柔らかいが、さらに豚レバーはレバ刺しかと思うくらいのキメの細かさだ。全体的にどろっとしたパンチのある食感だが、ダシは魚ベースのため、まろやかで食べやすい。夕食時、あっという間に満員になるのもうなずける。

魚のスープをじっくりと味わいたいなら、香港粥の定番・いろいろ入ったお粥「●灣艇仔粥(●は草冠に力が3つ)」(牛肉・魚スライス・野菜入りのお粥、35香港ドル=約530円)がオススメだ。白身魚やイカなどの海鮮、牛ひき肉に豚の皮やガチョウのローストの肉系など、香港ならではのよくばり具材。野菜も入っていて、さっぱりとしたネギとレタスの味が日本人にはうれしい。お粥同様に人気のちまきや魚の皮など副菜も合わせれば、大満足の夕ご飯が楽しめそうだ。

伝統的なお粥「艇仔粥」。上に散らされたピーナッツも定番

揚げパンなどの副菜も人気。香港伝統の魚の皮は新鮮さが命。コリコリ感がやみつきに

靠得住●粥(●は「青見」で一字) Trusty Congee King

※1香港ドル=15.2円で換算。記事中の価格・情報は2014年10月取材時のもの