時計やデジタルカメラ、楽器など、自社製品の機能サポートあるいは販促を目的としたスマホ用アプリを数多くリリースしているカシオ。そのカシオが、また新しいiPhoneアプリを発表した。その名も「レジカメ」。「お買い物ダイアリー」との枕詞を掲げるそれは、特定の製品とはまったく関係のない、単独で使用するアプリだという。しかも、すべての機能が無料。その具体的内容と狙いについて、企画を担当したカシオ計算機デザインセンタースタッフにお話を伺った。

今回お話を伺ったカシオ計算機デザインセンターのお二人

家計簿で得られる成果は"楽しくない"

「レジカメは、インスタグラムのような写真アプリと家計簿アプリのいいところを組み合わせたような、そんなアプリです」。レジカメを企画したカシオ計算機デザインセンタープロダクトデザイン部の三崎直昭氏はそう語る。

三崎氏 「"お買い物ダイアリー"と銘打っている通り、自分の買った物や食べたものなどを撮影して、その金額を入力できるようになっています。そして、それをカテゴリーに分けて管理できる。そういった意味では家計簿的なのですが、このアプリはもっとユルい発想でつくられているんです」

読者諸氏も経験がおありのことと思うが、家計簿はなかなか続かないものだ。それは何故か。「買った物や使ったお金を毎日欠かさず入力しても、得られる成果が楽しくないから」ではないかと三崎氏は言う。

三崎氏 「家計簿を付けてわかることは、自分がどれだけ無駄遣いをしたかや、どんなものにお金を多く使ったかといった、反省材料みたいなものが多い(笑)。しかも、1カ月の生活で使ったお金をすべて入力しないと、正確さから意味がない。これを続けるのは大変です。そうではなくて、こんなものを買って嬉しかった、この料理は美味しかった、などの買い物の思い出を日記のように記録することができれば続けられるんじゃないかと思ったんです。しかも、写真があれば、後から見返しても楽しいですよね」

レジカメの利用イメージ。マイ通貨は日本円とドルとユーロの三種類、使用通貨は日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドル、人民元、台湾ドル、香港ドル、韓国ウォン、タイバーツ、シンガポールドル、ベトナムドン、インドネシアルピア

カシオ計算機デザインセンタープロダクトデザイン部 三崎直昭氏

このレジカメ、使い方はきわめて簡単。アプリを起動すると、画面上部にカメラのスルー映像、下部にはレジのようなテンキーが表示される。ここで買った物を撮影して、その金額と名前、ひとことコメントなどを入力。あとは、グルメ、スイーツ、ドリンク、ファッション、雑貨、プレゼントやおみやげ、音楽や映画、本や雑誌、スポーツ、旅、観光(入場料など)といったカテゴリーアイコンから最適なものを選ぶだけ。保存時にGPSの場所情報も一緒に保存される。

三崎氏 「記録が面倒だと続かないので、操作はなるべくシンプルにしました。また、海外への旅行や出張で使用することを考えて、金額入力の際にリアルタイム円換算が使えるようにしています」

使用できる通貨は、「マイ通貨」(普段使う通貨)として3種類、「使用通貨」(旅行先の現地通貨)として15種類。10分ごとに更新される為替レートをリアルタイムで参照するためインターネットへのアクセスが必要となる。この機能は、海外で買い物をするときにも役に立ちそうだ。

三崎氏 「自分の感覚と実際の為替レートがずれていると、(買った物が)思っていたより高かったなぁとか、帰国してから思ったりしますよね(笑)。この機能を使えば、日本円でいくらかがわかるので、海外でも安心して買い物ができますよ」

レジカメはまず日本国内向けでの公開を考えているため、現状の通貨はドルやユーロのほか、日本人の渡航先として人気のあるアジア圏を中心に絞り込んで設定されている。ただし、実際にはもっと多くの為替情報を取得しており、将来的には対応通貨を増やしていきたいそうだ。

お金を使って良かったと思えるアプリに

記録した内容は、Facebookのタイムラインに近い「リストビュー」、画像ビュワー風の「サムネイルビュー」、場所情報をもとに地図上に買った物の情報を表示する「マップビュー」で閲覧でき、それぞれワンタッチで切り替え可能だ。ちなみに、リストビューとサムネイルビューの右上には、その月に記録したものの合計金額が表示される。これも家計簿的な要素だ。

三崎氏 「レジカメはあくまでも"ダイアリー"なので、合計金額はさりげなく出しています。でも、ビューはカテゴリー別に絞り込んで表示できるので、『今月はこんなことにこのくらい使った』ということがわかるのは楽しいですよ。写真があると家計簿的な反省よりも、『お金は使ったけれど楽しかったな』と思えますし。レジカメは、お金を使って後悔するのではなくて、お金を使って『こんなものが買えた、良かった! 』と思えるアプリにしたかったんです」

画像と記録内容をタイムライン状に表示するリストビュー。ビューはワンタッチで切り替えられる

カテゴリーについてもさらに増やしていきたいとのこと。「より細分化して、たとえばラーメンのアイコンなんかがあっても楽しいですね。マップビューで表示すれば、簡単にラーメンマップが作れます」(三崎氏)。