英大手メディアのGuardianが恒例の「MediaGuardian 100」を発表した。上位3位を米Google、米Facebook、米AppleのCEOが占めるなど、ハイテク企業のメディアへの影響が色濃く反映された順位となった。一方で、これら米ハイテク大企業のプライバシー問題はかつてないほど大きくなっており、「矛盾の年」としてまとめている。

1位はGoogleの共同創業者兼CEOであるLarry Page氏。昨年の2位からのアップで、3回目の1位となる。検索やデジタル広告、モバイルなど重要な市場を独占しているGoogleだが、税金逃れはもちろん、忘れられる権利やデータプライバシーなど欧州で同社を取り巻く環境は穏やかではない。

2位はFacebookの共同創業者兼CEO、Mark Zuckerberg氏だ。2011年に1位になるなどランキングの常連だが、昨年はCOOのSheryl Sandbergに1位を譲った。

創業時に大学生だったZuckerberg氏も30歳になり、Facebookの時価総額はピークで2000億ドルに達した。2014年には世界広告市場の8%のシェアをとると予想されており、メディアに占める存在感は大きくなるばかり。

Zuckerberg氏は今年、2013年に立ち上げたインターネットを利用できない途上国の人にアクセスを提供するための非営利団体Internet.orgの活動を継続し、3月にはVRヘッドセットのOculus Riftを20億ドルで買収している。

3位はAppleでCEOを務めるTim Cook氏(54歳)。昨年6位からのトップ3入りとなる。今年は「Apple Watch」「Apple Pay」など新規分野進出となる製品発表はもちろん、自身が同性愛者であることを認めたのも大きなニュースとなった。

アイコン的存在だったSteve Jobs氏が2011年10月に逝去して以来、大きな穴を埋める難しいタスクを背負っているが2014年は「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の成功など、実り多い一年となった。

4位は英国で影響力の大きい英国国営協会(BBC)の会長、Tony Hall氏。

5位は米Amazonの創業者兼CEO、Jeff Bezos氏。前回7位からのランクアップとなる。初のスマートフォン「Fire Phone」は失敗となったが、成長への投資を止めない経営手腕が注目されている。第3四半期の業績は予想を下回る結果となったが、2013年にWashington Post買収を発表したことも順位アップの一因のようだ。

6位は米TwitterのCEO、Dick Costolo氏。昨年4位からダウンしたが、毎日2億8400万人のユーザーが送るツイートの総数は5億回、情報を入手したり広げる場としてメディアの役割を果たしている。今年は広告、米国での「Buy」ボタンによる電子商取引への拡大などに取り組んだ。

7位はメディア王ことRupert Murdoch氏で21st Century FoxおよびNews Corpのトップを務める。英国ではセレブや政治家の電話盗聴で傘下のタブロイド紙「News of the World」が閉鎖に追い込まれた。今年はTime Wornerの買収を試みたが断念している。

英国の新聞のランキングだけあって、英国企業や英国で活躍中の俳優などが多くランクされているが、興味深い顔をいくつか紹介しよう。

たとえば10位のTaylor Swift氏は24歳の女性ミュージシャンで、Spotify(スウェーデン)への楽曲提供を止めたことで大きな注目を浴びた。Spotifyでの売り上げは1曲再生される毎に0.006~0.0084ドル程度といわれており、「価値あるものは価格を伴う」とSwift氏は述べた。そのSpotifyのトップ、Daniel Ek氏は41位に選ばれている。

YouTubeにまつわる人物も数人ランクインしている。20位のPewDiePie(Felix Kjellberg)氏はスウェーデンのYou Tubeコメディアンで、90位のZoella氏もYou Tubeで活躍する美容・ファッション通。You Tubeの新しいCEO、Susan Wojcicki氏は47位で初登場となっている。

このほか、米Netflixの最高コンテンツ責任者であるTed Sarandos氏(21位)、米Buzz Feedの創業者兼CEOのJonah Peretti氏(30位)、米Snapchatの共同創業者兼CEO Evan Spiegel氏(31位)、eBayの創業者兼会長のPierre Omidyar氏(53位)、米MediumのCEOでTwitterの共同創業者でもあるEv Williams氏(57位)、米MicrosoftのCEOのSatya Nadella氏(59位)、米Yahoo!のCEOであるMarissa Mayer氏(63位)などの顔が並んでいる。