米国Autodesk社が開発するCADソフトウェアAutoCAD。1980年代から設計部門を中心に世界に広がり続け、現在では2次元CAD分野では欠かすことのできない存在となっている。しかし、AutoCADのライセンスは非常に高価であり、全ての設計者にライセンスを配布することは難しい。また、導入した場合でも定期的なバージョンアップに対応していくと、コスト面で非常に大きな負担となる場合もある。

このようなライセンスコストの問題に対処する手段として存在するものが、「互換ソフトウェア」である。今回、数あるAutoCAD LT互換ソフトウェアの中で全世界80カ国45万ライセンスの導入実績を持つ「ZWCAD+」の販売元であるCHAM-Japan(*)の東京支店長である孔祖偉氏と、ZWCAD 事業部長である石田佳弘氏に話を伺い、互換ソフトウェアの可能性について解説いただいた。

CHAM-Japan 東京支店 支店長 孔祖偉氏

CHAM-Japan ZWCAD 事業部長 石田佳弘氏

「ZWCAD+ 2015」の画面。画面はクラシックメニュー(同社 Webサイトより)

※Concentration Heat and Momentum Ltd(略称:CHAM社)1974年英国インペリアル・カレッジのD.B.スポルティング教授が、汎用熱流体解析ソフトウェアの開発・販売を目的として設立。1994年に日本における販売・ユーザサポートを目的とした東京支店を開設。本社は英国ロンドン。

CAD環境構築に立ちはだかるコストの壁

現在の設計業務においてCAD環境は欠かせない。特に2次元CADの分野で圧倒的なシェアを誇るAutoCADは、できることであれば設計者全員が利用できる環境を整えたいところだ。しかしAutoCADは非常に高価なソフトであり、全ての設計者が利用できるようにライセンスを揃えることは、コストの面で非常にハードルが高い。また、必要なライセンス数を揃えたとしてもバージョンアップに伴うコストが発生する。

「AutoCADユーザーの中には、古いバージョンのまま使用しているユーザも少なくありません。自社内で完結する場合は影響が少ないかもしれませんが、取引先との間でファイルのやり取りが発生する場合、新しいバージョンで保存したファイルは、旧バージョンのAutoCADでは開かない場合があり、これは大きな問題となることが多いのが現状です。スムーズに業務を進めるためには定期的なアップグレードが必要となりますが、その費用は決して安いものではありません。」(孔氏)

CADソフトのニーズは着実に拡がっている。しかしながら、せっかく導入したのにコスト問題がボトルネックになってしまい、理想的なシステムを構築できない場合もあるのだ。

ZWCAD+の価格表(2014年12月現在)。ZWCAD+ ラインナップの価格。5ライセンス以上の複数台導入の場合には、一台のPCにライセンスキーを装着することで、ローカルエリアネットワーク内のすべてのPCで起動可能となるネットワークライセンスも用意されている

上手に互換ソフトウェアを活用してコストダウンを実現

業界をリードする高機能のCADソフトウェアであるAutoCAD。最新バージョンである2015では、生産性を向上させるため の新機能がいくつも追加されている。「勿論、それらの新機能が役立つ場面もあるでしょう。しかし、それらの機能を必要と しないユーザーが数多く存在するのも事実です」(石田氏)。その具体的な例として石田氏は、とある土地取引コンサルティング企業の事例を挙げた。

その企業では、クライアントとのデータ互換のために営業部門にもAutoCADを導入していた。そのお陰で、営業自身が図面ファ イルを閲覧・印刷することが可能となり、クライアントとのコミュニケーションがスムーズに進むようになった。その反面、ライセンス数が増えたことによる保守サポートのコスト増が大きな負担となっていた。だが本来、設計業務がほとんどない営業部門にまで、最新の機能を持つソフトウェアを導入する必要はないはず。そこで、その企業では営業部門のCADソフトウェアを「ZWCAD+」に変更し、保守サポート費の大幅なコストダウンを実現した。このように近年では、役割に応じてAutoCADと互換ソフトウェアを使い分けコストダウンを計るケースが増えている。そして、それを裏付けるかのように「ZWCAD+」の日本国内出荷ライセンス数も急増しているとのことだ。

「ZWCAD+」ライセンス出荷推移。国内については、「2014年末には10,000ライセンスを超える見込み」(石田氏)

「特に、この3~4年は毎年30~40%の伸び率で出荷ライセンス数が増えています」(石田氏)。なお、日本国内における知名度が増す一方で、同社には互換性ソフトであるが故の著作権に関する問い合わせも増えている。ただ孔氏によると「すべて自社開発によるソフトであり、著作権などの法律的問題は、全てクリアになっているので、安心してご利用ください」とのことだ。

コンプライアンスやセキュリティの観点から見れば、違法コピーやサポートの切れたソフトウェアを利用するよりも、互換ソフトウェアを利用する方が遥かに安全である。コストや業務内容に応じて互換ソフトウェアを使い分ける手法は、これから更に広がっていくことだろう。

より便利に使いやすく。独自の進化を目指す「ZWCAD+」

現在の2次元CADにおいて、AutoCADのファイル形式であるDWG形式との互換性は最も重要なポイントである。「そこは、やはり追求していかなくてはならない部分です」と孔氏は語る。だがそれと同時に、「ZWCAD+ 自身が、より使いやすく便利な2次元CADソフトウェアとして進化していくことも目指したい」とのことだ。

使いやすさを追求する場合、必ずしも新しいものが良いとは限らない。例えば、AutoCADも2009年版より導入したリボンUI。確かに直感的で分かりやすいUIではあるが、20 年以上の歴史を持つ日本国内のAutoCADには、以前のメニュー形式のUIの方が使いやすいというユーザーも数多い。

「現状、ZWCAD+はユーザーの方からのご要望が多いこともあり、これまで通り「クラシックメニュー」と「リボンメニュー」の両方を採用していますがユーザーの方々の声を聞きながら柔軟に変化させていくつもりです。互換ソフトウェアであっても、全てが同じである必要はないと考えています。どちらがより使いやすいのか、それを重視して判断していきます」(孔氏)

今後、「ZWCAD+」はクラウドやモバイルへの対応にも力を注ぐ予定とのことである。なお、モバイル対応に関しては、既にiOS/Androidに対応した「ZWCAD Touch」がリリースされており、共に無料にてダウンロード可能だ。また「ZWCAD+」本体については、30日間の無料体験が可能となっているので、興味のある方は一度試してみると良いだろう。

左は閲覧だけでなく編集作業もできてしまう「ZWCAD Touch」。音声メモを入れたりするなど、広く外回りの営業先や工事の現場でも使い安いように考慮されている点が特徴だ。ZWCAD+ 2015に実装されているのGoogle Earthインポート機能。Google Earthのデータを手軽に取り込める。