冬場の手荒れ、気になりませんか

12月に入り、底冷えする日が増えてきた。寒さが厳しいシーズンになると、気になってくるのが手荒れだ。ただ、なぜ冬場になると手荒れが起きやすいのだろうか。手荒れ対策の一環として、まずそのメカニズムを理解しておくことが大切となってくる。

そこで、南青山スキンナビクリニックの服部英子院長に手荒れについて伺ってみた。

肌を維持する「恒常性」とは

まずは、手荒れに代表される「肌荒れ」の仕組みから説明していこう。服部院長は、「皮膚は人間を包む袋のようなもの」と表現し、その「袋」の最も外側は、「角層」と呼ばれる薄さ0.02mm程度の組織で守られているという。

「健康な肌では、皮膚表面の汗腺や皮脂腺から汗や皮脂を出すことで(生物が外界の条件が変わっても、体の状態や機能を一定に保つ働きの)『ホメオスタシス』(恒常性維持)を行います。また、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)も順調です。しかしながら、何らかの要因(外的な刺激など)で赤みやかゆみ、かさつきなどが発生することを『肌荒れ』と呼んでいます」。

例えば、「ホメオスタシス」の一例である皮脂は、肌に分泌されると皮脂膜となって肌を乾燥から防ぎ、手荒れのリスクからわれわれを守ってくれる。ただ、指先には、肌の他の部位に比べて皮脂などを分泌する皮脂腺が少ない。すなわち、他の部位に比べて「健康な肌」の状態を維持しにくいというわけだ。

「さらにこれからの季節は、気温の低下で汗をかく機会が減少するなど、肌の恒常性を維持することが難しい条件が増えてきますので注意が必要です」と服部院長は警鐘を鳴らす。元来、肌が荒れやすい「手」という部位に、気温が低くて乾いた空気の日々が続く冬の気候が重なることで、「冬場の手荒れ問題」が出てくるというわけだ。

肌荒れでも診察をためらう必要はない

ただ、一口に手荒れと言っても、その症状の程度はさまざまだ。「指先がカサカサする」程度ならば軽微の部類に入るが、「手肌全体がごわごわし、ひび割れて出血する」ような状態になると、症状は深刻と言ってよい。

「手荒れは医学的に言うと、『進行性指掌角皮症(しんこうせいししょうかくひしょう)』という病気です。『たかが手荒れで受診するなんて……』などと思わず、『症状が重いのではないだろうか? 』と感じたら、どうぞお気軽に皮膚科にご相談いただければと思います」。

仕事や家事、勉強などの普段の生活シーンに注目してみると、私たちの日常はほとんど手を使っている場合が多い。手は体の部位で最も刺激にさらされる環境にあると言えるが、裏を返せば手を守ることが快適な日常生活にもつながるのではないだろうか。

では、どのようにしたら手荒れリスクを低減することができるのだろうか。その対応策は、次回以降で紹介していこう。

写真と本文は関係ありません

記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、 日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。