システムキッチン・バスなど住宅設備機器の製造販売を行うトクラスが"人造大理石カウンター&シンク"を採用した賃貸住宅向けキッチン「トクラスキッチンBb コンパクトプラン」の提供を10月より開始している。同製品は、汚れ・キズ・衝撃・熱に強く、リニューアルやメンテナンスが簡単な賃貸住宅向けキッチンで、入居者にも賃貸オーナーにもメリットが大きいという。本稿では、マイナビニュースで実施した住まいのキッチンや食生活に関する意識調査の結果を踏まえながら、同社の提供するキッチンの特徴と狙いについて考えてみたい。

トクラスの提供する、賃貸住宅向けキッチンの人造大理石カウンター&シンク。その特徴と狙いについて考えてみた

自炊派が多数の単身者、調理スペースの狭さには不満?

まずは、賃貸住宅向けキッチンに対する居住者のニーズがどうなっているのかを見ていこう。マイナビニュースでは2014年10月25日から29日にかけて、全国の単身居住者(性別、年代問わず)を対象に、住まいのキッチンや食生活に関する意識調査を実施した。

同調査によると、単身居住者は積極的に自炊を行う傾向があり、6割近い人が夕食は「自炊が多い」と回答。自炊の頻度については「毎日」もしくは「隔日」が多かった。惣菜など調理済みの料理を自宅で食べる「中食派」と回答したのは28.9%だった。

約6割の単身居住者が、夕食は「自炊が多い」と回答

一方で、自宅で利用している調理機器については電子レンジという回答が多かった。このことから、自炊派の中には、本来であれば「中食派」にあたる回答者も一部含まれている可能性がある。いずれにせよ85%以上が自宅で何かしらの調理を行っていると考えることができる。

自宅で利用する調理器具を聞いたところ、「電子レンジ」が半数以上

このほか、キッチンに対する不満点についても聞いたところ、「調理スペースやシンクの狭さ」「コンロの口数や火力」が挙がった。既存のキッチンに不満を持ち、"もっと自炊をしたい"と考えているユーザーが多いようだ。また、コンロやシンクの汚れなど、掃除の際のストレスを不満点として挙げる人も多く、日頃の手入れを楽にしたいという居住者のニーズを読み取ることができる。なお、キッチンスペースの料理以外での用途は「何もモノを置かない」が約半数となったが、前述の通り、キッチンの狭さに不満を持っている人も多かったため、実際には「何も置けない」状況であることが推察される。

キッチンに対する意識は、賃貸オーナーと居住者でギャップが

マイナビニュースが実施した調査に加え、トクラスがクロス・マーケティングを通じて、賃貸オーナーを対象に実施した意識調査の結果についても紹介したい。

同調査によると、賃貸オーナーの悩みとして「物件の経年劣化」を挙げる声が多かった。また、物件の収益性を考える上で重視する点としては「退却時の修繕・リフォームコストの削減」という答えが最も多かったという。この結果から賃貸オーナーが、入居者のニーズを満たして空室率を改善することよりも、管理コストの削減や収益性の改善に重きを置いていることが伺える。

賃貸オーナーの悩みとしては「物件の経年劣化」を挙げる声が多かった。物件のメンテナンスには意識がいくが、入居者ニーズまで意識がいっていない

このほか、空室率改善に貢献するものとしては、バス・トイレ・洗面台を重要視している賃貸オーナーが多く、キッチンはそれほど重要視していないと考えられる。"単身居住者は自炊のニーズが高い"という、前述のマイナビニュースの調査結果を踏まえて考えると、賃貸オーナーと居住者ニーズにギャップが生じていることがわかるだろう。

空室率改善に貢献するものとしては、バス・トイレ・洗面台を重要視している賃貸オーナーが多かった

人造大理石カウンター&シンクが空き家の解消に一役!?

ここまで紹介した2つの調査結果から、単身居住者には「自炊をしたい」という潜在的ニーズがあるものの、賃貸オーナーは物件のキッチンをあまり重要視していないというのが、賃貸住宅におけるキッチンの現状だといえる。このようなギャップをキッチンメーカーはどのように受け止め、対策を行っているのだろうか。そこでトクラス 経営企画室 広報広告グループの鈴木氏に話を聞いてみた。

総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、賃貸住宅数が増加傾向(2,274万戸)にある一方で、空室率が18.9%に上るなど"空き家の増加"が問題になりつつある。トクラスでは、賃貸オーナーの頭を悩ますこの空室率を改善するため、差別化製品のひとつとして、"人造大理石カウンター&シンク"を搭載した賃貸住宅向けキッチン「トクラスキッチンBb コンパクトプラン」の提案に至ったのだという。「これは業界で初の試みとなります」と鈴木氏は説明する。

人造大理石のキッチンの魅力は、経年後や入居者の退去後に、磨いてリニューアルできる点にある。これにより、メンテナンスコストや退去後のリフォームコストを抑えることが可能だという。また、「単身者向けのコンロレスキッチンはコンロがないため、加熱機器のメンテナンス(クリーニング・故障による修理や交換)に煩わされる心配もありません。入居者にとっても、自由に加熱機器を選べる(IHヒーター/ガスコンロ、電子レンジのみなど)、調理スペースを広くとれるなどのメリットがあります」とのことだ。

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入居者は積極的に自炊に取り組みながらも、潜在的にキッチンスペースの狭さや汚れに対するストレスを抱えながら調理をしている。一方で、賃貸オーナー側は関心事が経年劣化やメンテナンスコストなど、収益性の改善に偏りがちで、入居者ニーズの把握と対応には重きを置いていないという現状にある。トクラスの賃貸住宅向けキッチンの新製品は、両者の認識のギャップを解消できる可能性を秘めていると言えそうだ。今後の取り組みにも注目していきたい。