第二次世界大戦末期を舞台とするブラッド・ピット主演最新作『フューリー』が11月28日に公開を迎える。最後の抵抗を繰り広げるドイツ軍に"フューリー"(=激しい怒り)と命名された戦車で立ち向かった、米軍兵士5人の想像を絶する一日の出来事を映し出す本作で、注目の若手俳優ローガン・ラーマンが、物語の鍵を握る重要な役どころを演じている。

ローガン演じるのは、戦闘経験ゼロにも関わらず、ブラピ演じる指揮官ウォーダディーが率いる戦車部隊に配属される新兵ノーマン。ウォーダディーの下、もがきながら成長していく人物で、デヴィッド・エアー監督も「ノーマンとウォーダディーの関係こそが、この映画の真髄。戦場が舞台だが、本質的には父と息子の物語だ」と明かしている。ローガン自身、「特別な作品になった」という本作。大ファンだったというブラピとの共演も大きな経験になったと語る。

ローガン・ラーマン:1992年1月19日生まれ。アメリカ出身。『パトリオット』で映画デビューし、子役として活躍。その後、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』と『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海』で主演を務めるほか、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』や『ノア 約束の舟』に出演

――来日会見で、本作について「特別な作品になった」とおっしゃっていましたが、特別だと感じたとはどういうところでしょうか?

年を重ねてきて複雑な役がくるようになり、まさに今回の役は挑戦しがいのある役でした。若い俳優に与えられる役というのは、同じようなもので、純粋無垢なものをずっと、というのがありますが、今回はまったく新しい分野でしたし、やりたいと情熱を感じました。そういう意味で、やりがいのある役だったと思います。

――完成した映画を見て、一番心を揺さぶられたシーンはどこですか?

映画全体を通して心を揺さぶられますが、ウォーダディーにドイツ兵を殺させられるという場面が、特に胸が熱くなりました。見るのもつらかったです。

――軍人を演じるにあたって、撮影前に厳しいブートキャンプに参加したそうですが、その中で5人で協力して行ったタスクはどのようなものがありましたか?

タスクは、無理難題をふっかけて、みんなをいらつかせることが目的でした。例えば、1個100ポンド(454キログラム)以上もする大きな樽が2つと、2台の自転車とロープがあって、2つの樽を10分で300ヤード(274メートル)離れたところまで、水をこぼさず、樽を地面に付けることなく運ぶというものがありました。どうやっていいかまったくわからないような難題で、結局できないんです。そうすると、フィールドを何周も回ってこないといけないとか、寝ているのにベッドをひっくり返されるとか、罰がありました。

――ブートキャンプを経験し、変わったと思うことはありますか?

ブートキャンプを通して5人が完全に家族のようになり、チームのようになったと思いますし、自分のキャラクターの視点、考え方が理解できたプロセスでした。そして、自分は今までも忍耐強い人物だと思っていましたが、より忍耐強くなりました。そういう意味では、メンタル的に強くなったと感じましたし、すごく有益なものだったと思います。

――本作では、大ファンだったというブラッド・ピットさんと共演を果たしました。彼のどういうところに惹かれていますか?

僕の大好きな作品がかなり彼の作品で、彼のことはずっと憧れていました。彼のキャリアで尊敬しているのは、最高の監督たちと組んでいることで、それは僕もぜひやりたいと思っています。そして、幅の広い役者さんというのも、目指すところです。

――今回、ブラピさんから何かアドバイスされたことはありますか?

彼は先輩風を吹かせたり、いろいろ言ったりするタイプではなく、非常に謙虚で心が広い俳優さんなんです。ですが、彼から言われたアドバイスで、『これからもいい監督と組んでいけよ』ということ、そして、『そういう人たちとの作業を大事にしろ』ということは守っていきたいと思います。

――本作は、戦場にいるような臨場感が味わえる戦争映画ですが、戦争を経験していないような人たちに、どのように感じてほしい、どのように戦争を知ってほしいと思いますか?

本作を見ると、戦う人たちに対するリスペクトが増すというか、彼らが何を見てどういうことをしているのかが理解できます。実際に戦争を体験できるような映画なので、精神的にも肉体的にもダメージを受け、戦争が人間の魂にどういう影響を及ぼすかということを知ってもらえると思います。

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