日本AMDは2014年11月19日から21日にパシフィコ横浜で開催された、組込み総合技術展「Embedded Technology 2014(ET2014)」に出展。2014年に発表した組み込み向けプロセッサ第2世代「R」シリーズや、「G」シリーズを使ったデモを中心に、同社の組み込み向けソリューションを展示した。
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AMDが組込み総合技術展にブースを構えるのは3回目。今回はソリューション中心の展示とあって、来場者の滞在時間も長めだったという |
AMDでは、従来のPC向けビジネスを中核としつつも、組み込み市場をはじめとする成長市場にリソースを集中する戦略を取り始めている。今回は組み込み市場の中でも、デジタルサイネージやゲーミング、画像処理といったAMDが特に重要だととらえている分野にフォーカスして、強みを打ち出している。また、実際の展示に関しては、プロセッサ単体ではなく、パートナー企業各社のソリューションを軸に、APUやGPUを取り巻くエコシステムをアピールする姿勢を見せた。
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第2世代「R」シリーズ(開発コード名:Bald Eagle)による4K表示 |
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5枚のディスプレイによるサラウンド表示。こちらはディスクリートGPUとの組み合わせで表示 |
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ブースでまず目に飛び込んできたのが、デジタルサイネージを意識したマルチディスプレイのソリューションだ。フルHD(1,920×1,080ドット)ディスプレイを4枚使った4K表示のデモでは、第2世代「R」シリーズ(開発コード名:Bald Eagle)を使用して、H.264のデコードを行っていた。また、ブースの上には5枚のディスプレイを使ったデモも紹介。こちらはBald Eagleと組み込み向けのディスクリートGPUを使って表示していた。
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「愛真田心」の3Dモデルをリアルタイムレンダリング。これもAPU(Bald Eagle)のみで処理している |
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AMDの強みであるグラフィックスを生かせる分野として、欠かせないのがゲームだ。Bald Eagleの発表に合わせて2014年5月に開催した記者説明会では、組み込みビジネスとして、カジノの機器やアーケードゲーム機、特に日本ではパチンコやパチスロといった遊戯機器も重要なターゲットであることが説明された。
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モデルデータの概要 |
103体のモデルを別々に描画しながら30fpsをキープしている |
デモではBald Eagleを使って、AMDの非公式応援キャラクター「愛真田心」の3Dモデルをリアルタイムでレンダリング。1,280×720/30fpsの背景ムービーの上で、103体におよぶ3Dモデルの描画処理を行う。3Dモデルの外見は同じなので、一見分かりにくいが103体それぞれで別々に処理を行っている。
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Unity 5の動作デモ。60fpsで動作していた |
デモ用のボード。さすがにディスクリートGPUが必要になる |
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ブースにはGIGABYTE製の小型ゲーム機用のサンプル基板も展示していた |
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ゲーム関連ではUnity 5の動作デモも披露。こちらもAPUはBald Eagleだが、Radeon R7 260X相当のグラフィックスカードも合わせて使用している。
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ロスレスウェーブレット変換のデモ |
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実装の概要 |
テスト結果。説明員によると特にパフォーマンスチューニングは行っていないそうだが、それでもこのぐらいの差が生じる |
グラフィックス性能が必要な分野として、画像処理も挙げられる。OpenCLを使った、JPEG2000のロスレスウェーブレット変換のデモでは、CPUによる処理(C言語)とGPUによる処理(OpenCL)を比較。負荷が高い処理では10倍以上の差となったという。
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会場では実際にロボットの動きを検出するデモも用意していたそうなのだが、照明で光の具合が変わってしまうので事例の紹介に留まったとのことだ |
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画像処理では、カメラで撮影した映像から背景抽出処理を行い、ロボットの動きを検出するという事例も紹介。CPUによる処理(C言語)とGPUによる処理(OpenCL)を比較していたが、OpenCLを使用した場合、5分の1から20分の1の処理時間になるという。
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産業機器など組み込み向けのセキュリティソリューション |
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TPM向けソリューションのミドルウェアやライブラリの紹介。チップ側だけではなく、ソフトウェアスタックも重要なポイントだ |
組み込み向けプロセッサ「Gシリーズ」(GX-415GA)とSTマイクロ製TPM 1.2チップを組み合わせている |
このほか、会場では組み込み向けプロセッサ「Gシリーズ」(GX-415GA)とSTマイクロ製TPM 1.2チップを組み合わせたボードと、ミドルウェアやライブラリを組み合わせたセキュリティソリューションを紹介した。
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「Gizmo 2」。SoCには組み込み向けプロセッサ「Gシリーズ」の「AMD GX-210HA」を採用する。 |
また、非営利の開発ボード・コミュニティ「GizmoSphere」が発表した開発者向けボード「Gizmo 2」でMentor Embedded Linuxを動作させるデモを展示。「Gizmo 2」は"x86版Raspberry Pi"ともいえるボードで、DIYで物作りを行う「Maker」をターゲットとする。
現状、日本国内ではGizmosphereおよびElement14といったコミュニティを通じての購入となるが、要望が大きければ販路の拡大など、検討したいとのことだった。
