クリストファー・ノーラン監督最新作『インターステラー』が11月22日、ついに公開を迎えた。壮大な宇宙を舞台に、人類の存亡を懸けたミッションに挑む人間たちのドラマ、そして、父娘の愛と絆を感動的に描いた本作で、主人公クーパー演じるマシュー・マコノヒー、クーパーと共に旅するアメリアを演じるアン・ハサウェイと並び、女優のジェシカ・チャステインが、物語の鍵を握る女性科学者を演じている。

そしてこのたび、ジェシカ・チャステインが「爆発があちこちで起きる単なる超大作じゃないの。とてもエモーショナルな映画なの」と本作の魅力を語り、撮影秘話も告白。「大ファンだった」というノーラン監督の作品に初めて出演した彼女は、「クリスはいつも、なにか反応できる状況を作り出してくれる」と、実際の環境を追及する監督のやり方は、演じる役者にとってとても大切なことだと語った。

『インターステラー』で女性科学者役を演じるジェシカ・チャステイン

――最初に脚本を読んだ時、自身の役にどんな印象を持ちましたか?

このキャラクターをとても気に入ったわ。彼女は宇宙物理学者で、地球が直面している農業の危機から、私たちを救おうとしているの。私が気に入っているのは、ストーリーを通して彼女が経験するエモーショナルな旅なの。彼女が子供の時、トラウマになるようなことが起きるわ。それで彼女は、物理や数字、公式の影に隠れるの。でも自分の仕事を通して、彼女は実際、なにかスピリチャルなものを学んでいく。愛は決して消えないというのを学ぶことになるの。そしてそのことがきっかけで、自分が子供の時に持っていたアイディアに気づくわけ。とても怒っていて、傷ついていて、弱々しくて、サボテンみたいな人を演じるのは面白いと思ったわ。そして最後に彼女は、花のように開花するの。

――今回、初めてクリストファー・ノーラン監督と仕事をしたわけですが、実際に彼と仕事をしてどうでしたか?

私は彼の作品の大ファンだったわ。彼が今までに手がけたすべての作品が大好きだった。『メメント』のような小さな作品も、もちろん『インセプション』も、その間の作品もすべてね。私が理解していなかったのは、、、なぜなら、これは私が今までにやった一番大きな作品なの。演技のシーンが、スペシャル・エフェクトやそのためのテクニックによって、端に追いやれることになるかどうかもわからなかった。それが私が心配していたことだったの。でもそれは完全に誤っていたわ。私が現場に行ったら、キャラクター同士の関係が、彼(クリス)にとって、とても重要なのがわかったの。

――ノーラン監督は、現場で実際に撮影できるエフェクト(特撮)をかなりやるそうですね。

砂ぼこりとかはそうだった。そういったことは普通、後から足したりするけど、そこで使われていたものはすべて彼らが作り出したの。彼らは厚紙から、体で分解できるもの(砂ぼこり)を作ったの。

――そういったことは、演技をする上で役立ちましたか?

役立つわ。間違いなく、そういったことが起きた方がいい。私が聞いた話では、『タイタニック』でジェームズ・キャメロンは、水を冷たくさせたかったの。水を暖かくしたくなかったの。なぜなら水に触れた瞬間にそれがわかるからね。息づかいとかから。私は自分の回りにある環境に反応する方が好き。役者として私は、常に真実を探しているの。その状況での真実をね。もしグリーンスクリーンとか、砂ぼこりがぶつかってくるフリをしながらなにかを演じていたら、それらは、私のキャラクターが本当にすべきことの邪魔になるわ。

――たくさんのVFX(視覚効果)が詰まったSF超大作でも、ノーラン監督は、できる限りそれらがリアルに感じられるように気を配っているんですね。

私たちがヘアとメイクのテストをしている時、ロボットのタース(TARS)役のビル・アーウィンもそこにいたの。昨日、マシュー・マコノヒーが言っていたわ。「ビルはほかのどの役者よりもずっとその場にいた」ってね。シーンの中で、ただそこに(タースが)立っていたり、置いてあったりする場合でも、ビルはそこにいたの。その背後でずっとそれを演じていた。私がタースと関わるシーンはなかったけど、クリスはいつも、なにか反応できる状況を作り出してくれるわ。

――本作では、宇宙船の人たちとビデオスクリーンを通してやりとりする場面があります。直接彼らに話しかけるわけではないあのシーンを演じるのは、どれくらいチャレンジでしたか?

カメラに向かって話しかけるの。でもそういったことは、彼女のフィーリングを演じる上で役立ったわ。役者としては、他の人たちと演技をするのが好きだけど、この女性は、置いてきぼりにされた人なの。完全に置いてかれた人なの。私はクリスとの仕事で、それを初日に撮影したの。私は最初とても驚かされた。「このシーンから始めるの?」って感じでね。

――とても大事なシーンですよね。

そうなの。とても鍵となるシーンなの。でも彼がそうしてくれてよかったわ。なぜなら(まだその時は)どこか居心地が悪くて、どうしていいかわからない感じで、それはまさにこのキャラクターがそこで感じているべきものだったの。1人でカメラを見ているというのはね。分かるでしょ?とても小さな部屋で、クリスと数人の人たちだけでそれを撮影したわ。すべての役者たちが、自分の過去やなにか個人的な経験から(シーン内の)感情を探るように、私も昔の感情を思い起こしながら、この映画の撮影を始めたの。

(C) Kaori Suzuki
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