歴代「レガシィ」シリーズの象徴といえば、つねに「ツーリングワゴン」だった。しかし6代目となる新型「レガシィ」では、旗頭であり、稼ぎ頭でもあったステーションワゴンタイプをラインナップから落とした。代替するのはワゴンとSUVを折衷させたクロスオーバータイプの「レガシィ アウトバック」だ。

スバル新型「レガシィ アウトバック Limited」に試乗

だがよく考えてみれば、背の低いミニバンの後部座席を収納し、ワゴン代わりに使用するユーザーが増えている現在、頑なにステーションワゴンにこだわるユーザーは少ないのかもしれない。車庫が全高1,550mmに制限される立体駐車場に限定される人なら話はわかるが、新型「レガシィ」シリーズの1,840mmという全幅は、どのみち立体駐車場に収められるケースのほうが少ないだろう。

新型「レガシィ アウトバック」は、ワゴンユーザーからの代替えも見越してか、オンロード走行にかなり力を入れた印象を受けた。水平対向の4気筒エンジンとCVTの組み合わせは、じつに素直なレスポンスで、スムーズに立ち上がる印象。もちろん腰高な分、ワインディングの走行に限界はあるが、極端に不満を感じることはないだろう。

大型化したボディサイズも、じつは先代と比べて最小回転半径は変わらず。全幅は大幅に広がったが、その分サイドミラーのサイズを工夫することで、ミラーtoミラーの幅は先代と変わっていない。車庫入れや縦列駐車は、慣れればそれほど難しくないはずだ。

一方、乗り心地のほうは、やや軸足をどこに置いているのかわからない面がある。オフロードにおいて、踏破性は圧倒的に優れているものの、揺れという面では「フォレスター」などのSUVには到底かなわない。オンロードも段差でハネたりはしないものの、振動はある程度拾う。とくに低速域での減衰力は、もう少し煮詰めてほしいと感じた。

カーナビやオーディオは完成度の高い仕上がり

アイテムという点では、新型のカーナビが優秀だ。「スマートフォンのような使い勝手」という触れ込みを聞いたとき、その良さが理解できなかったが、ピンチイン/アウトやタップが感覚的にできるのはじつにラクチン。初めてこのナビを使うときも、「レガシィ」を購入してずっとこのナビを使い続けてからも、機能・デザインともに高い満足感を味わえるはずだ。

個人的に興味のあった「harman / kardon(ハーマンカードン)」のオーディオは、幅広い音域を分厚く聴かせ、ジャンルの得手不得手も少ない完成度の高い仕上がりだ。ややドンシャリ傾向だが、メーカーと共同開発された純正オーディオらしいクオリティの高さが味わえる。肝心のラゲージはVDA法で559リットルという容量で、開口部も広く、後席も7:3の分割可倒式と使いやすい。タイヤハウスのせり出しも比較的小さめだ。

「レガシィ アウトバック」では、「力強いスタイリング」と「ゆったりくつろげる快適な車内空間」を実現したという

「荷物車」としても十分に活用できるサイズで、どうしてもワゴンというユーザーも納得の行く使い勝手と言えるだろう。