11月19日に日本へ初飛来した最新鋭旅客機、エアバスA350XWB(エクストラ・ワイド・ボディ)が翌20日、関係者を集めてデモフライトを行った。搭乗の機会を得たので、早速その乗りご心地をレポートしよう。

A350XWB。エアバス社は中・大型の旅客機市場でアメリカのボーイン社とシェアを2分する世界最大の航空機メーカー。本社をフランス・トゥールーズに置く。今回のデモフライトはエアバス社のアジアツアーの一環として行われた

すぐに分かった"エクストラ"という名の由来

20日12時45分、東京国際空港(羽田空港)第1ターミナルのゲートからバスに乗りA350XWBが駐機されたエリアへ向かう。バスを降りて機体の下に降り立つ。関係者以外には乗ったことがない最新の旅客機にいよいよ搭乗する瞬間だ。取材とはいえ、ワクワクする気持ちを抑えられない。

機体前方に取り付けられたタラップを上って機内に入る。客室前方に設置されたビジネスクラスを抜けてエコノミークラスへ向かったのだが、機内に入ってまず感じたのは客室の広さ。300席クラスのワイドボディ(2通路)機では最大級の横幅を有し、エコノミークラスの両端席の肘掛から肘掛までの幅は同クラスで最大なのだ。機種名にエクストラ・ワイド・ボディと"エクストラ"の文字が付いている理由をすぐに納得した。

また、歩いていて分かるのが床がまったくのフラットで出っ張りがないこと。これは機内の配線をすべて床下に納める設計がもたらす恩恵である。

客室幅は最大5.61m。デモフライトに使われた「MSN005」の座席はビジネスとエコノミーの2クラスで合計265席だった

フルフラットになるビジネスクラスのモデル席

大きいのは窓だけじゃない!

指定された窓側の席に座ると、足元がすっきりしているのに気付く。その理由は従来機では座席の下にあったエンターテインメント用のボックス(箱型)が取り外されているためで、座席をより広く使えるようにとの配慮からだ。

そして、デモフライトの当日はあいにくの雨だったのだが、多くの外光が入り込み機内は明るかった。「いままで開発されたどのエアバス機よりも窓が大きく、総2階建ての大型旅客機A380よりも広い窓枠を確保」(エアバス)し、より光が入りやすくなっているのだ。

荷物を入れようと頭上の棚を空けると、ここにも広いスペースが確保されていた。両端の手荷物棚には機内持ち込み可能な範囲で最大のキャスター付きのスーツケースが5個も収納できるといい、中央側の手荷物棚でも同サイズのスーツケース3個と中型のバック2個が入る。

荷物棚を閉めると上に向かって急角度の流線型となり天井が広くなっている。前述した客室幅の広さや大型の窓からより多くの光が入り込むなどの工夫と合わさり、より開放的な機内設計になっているのが分かる。

エコノミークラスでは大型のスクリーンとテーブルを設備。写真は座席メーカーのひとつであるRECARO社製のシートだ。エンターテインメント用のボックスがなく、足元がすっきりしている

エアバス社の旅客機史上、最大の大きさとなる客室窓。手荷物棚には、キャリー付きのスーツケースを5個収納できるだけの広さを確保している