お笑い芸人としてバラエティ番組で活躍しながら、情報番組『スッキリ!!』コメンテーターとしての面も見せる、加藤浩次さん。その加藤さんが、台本もカンペもなくゲストに挑む番組が『加藤浩次の本気対談! コージ魂!!』(BS日テレ)だ。樹木希林、倉本聰、新海誠などジャンルを超えた"一流"の人間と対峙する加藤さん。このたび、番組を書籍にした『一流の理由(わけ)』(宝島社/税抜き1,200円)が発売されるときいて、話を伺ってきた。「一流の人」とはどんな人なのか、そして加藤さんが大切にする「コミュニケーション」とは…!?

「一流の人」のポイントは?

加藤浩次(かとう こうじ)
1969年4月26日生まれ。北海道小樽市出身。1989年、お笑いコンビ「極楽とんぼ」として山本圭一とコンビを組みデビュー。現在はお笑い芸人以外にも、司会者、俳優、声優と幅広い分野において活躍している。

――『コージ魂』には毎回すごい方たちが出ていますが、普通の方と一流の方と、違うポイントはありますか?

どんな分野の方でも、楽しそうですね。(番組で)楽しくなさそうにしていたのは、内田裕也さんくらいですね(笑)。でも最終的には裕也さんも楽しそうにしてくださったので、一緒だなと思いました(笑)。

――自分の分野に対して楽しく取り組んでいることが、共通するポイントなんですね

そうですね。そういう方たちって、年齢がまったく関係なくなりますね。びっくりするほど若く見える時があります。楽しそうにしゃべっているので。

――印象に残ってる方はいらっしゃいますか?

樹木希林さんです。かっこいいですね。

――例えば真似したいな、と思ったところは

いやいや、真似なんかできないです! やっぱり自分のやり方を作るしかないですね。何かを感じて自分なりの方法をみつけるという。「この人はこうなんだ。それで、自分は?」とならないと。少し真似して自分が良くなるなんて、都合のいい話はないと思いますよ。

――それはやはりいろんな話をきいてくことを通じて気づいていくことでしたか

そう思うようにはなりましたね。ハウツー本で成功する人はいないですから。読んでも成功しない訳じゃなくて、読んでそのままやっても成功しない。本を読んで、自分なりのやり方を見つけた人は成功する、というのに近いかもしれないですね。

――加藤さんのやり方はいかがですか?

僕はもうシンプルなんですけどね。人に悪意を持たずに、嘘をつかない、くらいでしょうか(笑)

人はいろんな面を持っている…!?

――TVに出てる方って「嘘ついてるんじゃ」などと思われがちですが…

いっぱいいますよ(笑)

――ついていなくても、「嘘だろう」と言われることもありますか。

うーん、いち意見としてなるほど、と思いますね。ある特番などで、一切"やらせ"もなくスタッフが頑張っているのに、やらせだと言われてしまったり。しっかり作っているから「できすぎだろ」「やらせだろ」という発想になるのだろうなと思います。でも、そう思う人はしょうがないですよね。それは勝手ですから。

――加藤さんの今までのバラエティのイメージと、『コージ魂!!』や『スッキリ!!』などで見せる面に少し違いがあるのかなと思うのですが、何か切り替えていますか?

これはよく聞かれますね。両方、自分の中にあるものなんですよ。僕はTVで「凶暴な人間」として世に出していただいたじゃないですか(笑)。でもそれだけだったらもう、捕まってますよ!(笑) 人間はひとつの部分だけでできているわけではないでしょう。いろいろやっていくうちに、「自分にこんな面があったんだ」と、思うこともありませんか? 自分が意識していなくてもね。

――加藤さんは、最初はその中で凶暴な面をクローズアップされて世の中に…

そうですね。みんなが喜んでくれたので、「これをやっていけばいいんだ」と思っていた時代ですよね(笑)。どんどんやっていけば大丈夫なんだって。それで、怖いですからね、「暴れるのを求めているんでしょ?」とすぐにやってしまう。そうしたら意外と違って、あとから怒られたりしたこともあります(笑)。

――別の面を発見するきっかけは何かあったのでしょうか?

それはね、「引っ張り出してもらった」と思ってますね。自分にも別の面があることはわかっていたんですけど、どう仕事に生かしていけばいいのか、僕はわからなかったですね。例えば、ふだんの会話の中からスタッフの方に見つけていただいたりとか。「この本を読んだ」「この映画を観た」という何気ない会話から引っ張り上げてもらったり。

――「自分はこうだ」と主張する方が大事だと思ってしまいがちですが…

「自分はこうだ」なんて自分が1番わからないんですよ。自分のことなんか、僕もわからないですもん。何なんだろうと思います。死ぬ前に見つかればいいと思いますけどね。「あ、俺ってこうだったんだ」ってことが、死ぬまでに。それまでは、はたから見ている人に「どうですか」と聞いていきたいです。

――今後また全然別の面が出てきたり

本当に引っ張り出してもらいたいですね。カランカランだったら出ないですけど(笑)。でも、そこに気づけるかどうかが大切だと思います。「俺はこうなんだ」と思っているうちは、絶対に気づけないですから。周りの人が「これどう?」と言っても、「いや俺は違うから」と言ってしまって、「わかってないやつ」という扱いにしちゃうんですよね…。「意外にいいかも」と思考を変えたら広がるのに、もったいないなと思いますよね。