2012年に映画『桐島、部活やめるってよ』に出演して以降、映画やドラマに引っ張りだこの女優・山本美月。今年に入って5本の出演映画が公開され、ドラマでは『僕のいた時間』『アオイホノオ』『地獄先生ぬ~べ~』に出演するなど、さまざまな顔を演じ分ける彼女が、動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」で配信中のドラマ『今日からヒットマン』では、ドSセクシーな殺し屋役という新境地に挑んだ。女性ファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍しながら女優へも進化した山本にとって、ターニングポイントとなった出来事、そして人物とは? 大学卒業、評判への関心、自分の人気、今年掲げた目標…それぞれの話から、等身大の彼女の姿が見えてくる。

『今日からヒットマン』でヒロインを演じた山本美月 撮影:大塚素久(SYASYA)

――いろんな作品でお見かけします。撮影時期が重なる作品もありますよね。

最近では『アオイホノオ』の時に舞台(『怪談・にせ皿屋敷』)もやらせていただいていましたね。『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』の時は『小野寺の弟・小野寺の姉』を撮っていたり。舞台は体力的に大変だったんですけど、ドラマや映画は重なっても大丈夫です。

――さて、『今日からヒットマン』は「ドSでセクシーすぎる」という役どころですが。

えっ、そんなこと書いてあるんですね(笑)。お話を頂いたときは「絶対に私じゃないでしょ」と思いました(笑)。原作とは少し違うんですけど、本当に私で良いのかな…と少し悩んだりもしましたが、監督さんからは原作のことは、ほとんど考えなくていいと言っていただいたので、ちなつを一生懸命演じさせていただきました。

――原作を読んで、次に脚本?

事務所さんから原作の漫画を1巻だけを渡されて、その先は知らないんです。原作のちなつはもう少し若くて、色気がある感じでギャルっぽいキャラクターだと感じました。「峰不二子とアンジェリーナ・ジョリーを足して2で割ってほしい」と監督さんから指示していただきました。なることができたか分かりませんけど(笑)。

――ブログでは、「自分は色気がない」と書いてありましたね。

色気、全然ないです。でも、最近は色気を求められる役が増えてきたのかも(笑)。『地獄先生ぬ~べ~』の葉月いずなも、ちょっとお姉さんのような雰囲気が必要なので。

――意識的に色気を出すのは、難しそうですね。

どうすれば出せるんでしょうね。私もまだ勉強中ですが、今回はかっこよく歩いてみたり、相手のアゴを触ってみたり、妙にボディータッチを増やしたりを意識するようにしましたね。

――ガンアクションのシーンがありましたけど、映画『黒執事』を思い出しました。

同じプロデューサーさんなんです。構え方などは前回の経験が生かせたのかなと思います。アクションの練習をするのがすごく好きで。今回はあまり練習はしないと言われていたんですけど、お願いして何度かやらせていただきました。出来上がりは寄りの映像だったんですけど、もうちょっと引き画も見たかったなと思いました。

――撃たれる側との呼吸も大事ですよね。

本当にみなさんに助けていただきました。とても上手に撃たれてくださったので(笑)。役作りは、話し方に気をつけました。今までにいただいた他の役よりも、意識をして声のトーンを落とすよう心掛けました。台本を読みつつ、練習をしながら固めていきました。

――要潤さんと初めて共演してみていかがでしたか。

要さんはすごく明るい方ですね。場を和まそうと共演者の方のものまねをしてくださったり(笑)。エキストラさんの中に知り合いの方がいらっしゃったみたいで、すごく楽しそうに話をされていました。現場は、ほとんど男性だったのですが、私が横たわってほかの役者さんがセリフを言うシーンが終わると、「大丈夫? ツバ飛んでない?」って心配してくれました(笑)。

――メガホンを取ったのは、『白線流し』『ナースのお仕事』『救命病棟24時』など数々のヒットドラマを手がけてきた岩本仁志監督。どのような監督でしたか?

とてもフランクで話しやすくて、私の想像では実は怒ったら怖い方なのかなと(笑)。でも、怒られることもなく楽しく撮影することができました。監督さんのフランクさがあったからこそ、落ち着いて現場で感情を出すことができたんじゃないかなと思います。緊張感があるピリっとした監督さんだと、ちょっとドキドキしてしまうことも…でも、岩本さんはすごく和やかな雰囲気で楽しい現場でした。

――現場が明るいといえば、『アオイホノオ』の福田雄一監督はいかがでしたか。

福田さんも、とっても楽しいすてきな方ですね。映画(『女子ーズ』)でもご一緒させていただきましたけど、どちらも変わらず楽しい現場で。打ち上げで緊張しなかったのは初めてでした(笑)。皆さんの前であいさつするので、いつも緊張するんです。福田組の打ち上げはバーベキューだったんですよ! めずらしいですよね。居心地がとってもよかったです。スタッフさんやキャストのみんなでワイワイ盛り上がる自由な雰囲気が、とても楽しかったです。