11月5日、米Lytroのライトフィールドカメラ「LYTRO ILLUM (ライトロ イルム)」の国内発売概要が代理店である加賀ハイテックから発表された。都内で開催された発表会では、Lytro社による技術解説や実機のタッチ&トライが行われた。

LYTRO ILLUMは、撮影後にもフォーカスポイントや絞り値が変更できるユニークなカメラ、いやソフトも含めたカメラシステムだ。米国や欧州ではすでに発売されており、国内でも12月上旬に税別200,000円前後で購入できるようになる。

LYTRO ILLUM

リフォーカスがLYTRO ILLUMの面白さ

発表会で示された、そのしくみを紹介する前に、まずはLYTRO ILLUMで撮影された作品に触れて見ていただきたい。

LYTRO ILLUMを使った作品のひとつ。任意の場所をクリックするとフォーカス位置が変わる。任意の2点間をドラッグすると被写界深度が変わる

この作品には手前(A)と奥(B)に2匹のイソギンチャクが写っている。手前のイソギンチャクAをクリックしてピントを合わせると、奥のイソギンチャクBがボケる。奥のBにフォーカスポイントを変えると、手前のAがボケる。AをクリックしながらBに向かってドラッグすると、AからBまでピントが合った写真になる。この「リフォーカス」こそが「ライトフィールド (Light Field)」技術の面白さだ。

LYTRO ILLUMではLYTROボタンを押すと、液晶モニターにオレンジ(遠)とブルー(近)のヒストグラムが表示され、撮影可能な被写界深度を把握できる

光線の情報を記録する技術「ライトフィールド」

Lytro社の副社長 ジェフ・ハンセン氏は発表会で、ライトフィールドカメラをCamera 3.0:第三世代のカメラと位置づけた。アナログカメラからデジタルカメラに移行したように、デジタルカメラからライトフィールドの時代を迎えようとしているというのだ。

ライトフィールドカメラを第三世代のカメラとした、Lytro社の副社長 ジェフ・ハンセン氏

一般的なCCDセンサーやCMOSセンサーが光の強弱(明暗)と色を認識してデータ化するのに対し、ライトフィールドではマイクロレンズアレイと呼ばれるセンサーの集合体によって「あらゆる光線の方向を記録する」(ハンセン氏)という。その鍵を握るのは「ライトフィールドセンサー」と、それを解析する「ライトフィールドエンジン」、実際にオペレートするためのアプリケーション「LYTRO DESKTOP」である。

ライトフィールドセンサーと受光部の拡大図。平面ではなく、多方向に向いている

ライトフィールドセンサーのスペックは「画素」ではなく「レイ(光線)」で表現される。LYTRO ILLUMでは、4,000万レイのセンサーを搭載している。当然、写真としての1画素=1レイではなく、LYTRO ILLUMの撮影データは2,450×1,634ドット(約400万画素)となっている。ちなみに、ファイル形式はLight Field RAW(.lfr)だ。

LYTRO ILLUMでは、ライトフィールドエンジン 2.0を動作させるために、高性能なスマートフォンで採用例の多いプロセッサー「Qualcomm Snapdragon 800」と、Android OSを搭載している。

4,000万レイのライトフィールドセンサーを搭載

ライトフィールドエンジン 2.0により被写界深度の情報をリアルタイムで液晶に表示する