色の再現力は良好! 広い視野角も高評価

次に行った撮影は、3色の椅子や植物などを含め、奥行きを出した撮影。前回よりもカラフルな写真となり、色の違いが良くわかる。ここでの清水さんの目的は、さまざまな発色を確認することだ。さて、撮影した写真を見たプロカメラマンの感想はいかがだろうか。

3色の椅子などの小物を含めた撮影の様子。さまざまな淡い色が含まれており、発色を確認できる

── 2度目の撮影でのご感想はいかがですか?

清水氏 まずこれは撮影中に感じたことですが、視野角は本当に広いですね。一度目の撮影とセッティングを変え、ディスプレイの位置も変わったので実感しました。両方ともIPS液晶ですから視野角は十分にあるはずなんですが、「ProLite XB3070WQS」は斜めから見ていてもしっかりと色が感じられます。それと、パネルから表示画面までが近い印象があります。「ColorEdge CG243W」ですと表示画面が奥にあると言うか、ちょっとのっぺりして見えると言うか、遠い感じがしました。

セッティングが変わったので、液晶画面は少々見辛い位置に移動となったが、逆に視野角の広さがよくわかったようだ

ともにIPSパネルを搭載しているにも関わらず、視野角の印象は大きく違うようだ。AH-IPSは厳密にはIPS方式に準じた「AFFS方式」を採用したもので、開口率、透過率が改善されている。その効果により、広い視野角が得られているのだろう

── チェック項目になっていた色の再現性はどうでしょうか

清水氏 3色の椅子があって、光りが入った床があって、奥に植物や時計などがあるという色々な要素が入った写真になりますと、色の違いがハッキリしますね。鮮やかというか、乱暴な言い方をすると彩度が強めに出ている印象があります。

清水氏 一般のユーザーさんからすると良く見える発色というか、ちょっと色が強調されて見えます。実際に見ている椅子と、「ColorEdge CG243W」の色、そして「ProLite XB3070WQS」を見比べると分かると思うのですが、この椅子はかなり淡い色なんですよ。こういった表現があっているかはわかりませんが、「ProLite XB3070WQS」は色のエッジが立っているように感じました。明るめに撮っているということもありますが、植物の緑もずいぶん印象が違いますよね。ただしこれは特性としての話であって、色のトーンは死んでいませんし、グラデーションもきれいに出ています。またこちらの写真では、肌のトーンの出方もすばらしいです。

実際に撮影した写真。3色の椅子と植物の色の再現性がポイントとなる。「ProLite XB3070WQS」では実際よりも鮮やかな発色で映し出される ※原寸大画像を見る(/中央/)

「ProLite XB3070WQS」はプロの現場で"使える"のか?

清水氏 価格が10万円ほどということであまり期待していなかったのですが、想像していたよりもはるかに良くできたディスプレイだと思いました。一番の魅力はやっぱりサイズと解像度ですね。ここまで大きいと視野に収まらないので、編集時はともかく撮影時は使いにくいのではないかと思っていたのですが、思っていた以上にメリットがあります。撮影しながらのチェックをワンステップ・ツーステップ省くことができますし、モデルさんも確認しやすいと思います。さきほど話したサムネイルの件もそうですが、横表示のままでもA4より大きく表示できますから、実際に紙面に掲載するイメージで見てもらえるのがいいですね。

また階調表現も立派だと思いました。白と黒はしっかりと情報を保ったまま表示してくれます。一方モノトーンは粘り強く階調を残してくれますが、色によっては若干トーンが飛んでしまう場合があるようです。写真によっては肌の色がちょっと不自然に見えてしまうものがあったのは残念ですね。発色は特有のクセを感じますが、色の再現力は良好だと思います。キャリブレーションを行って追い込んでいけば、自然な発色に近づけることができるのではないでしょうか。全体的な感想としては、かなり魅力的に感じています。このレベルのディスプレイがこの価格で手に入るようになったことに驚きました。こういった大型ディスプレイが一枚あれば、撮影環境がかなり変わると思います。かなり心が動かされました。

カメラマンからもモデルからも高い満足度が得られた「ProLite XB3070WQS」。大型ディスプレイを利用した確認は、現場で大きな力となりそうだ

── 長時間の撮影、ありがとうございました。

iiyamaが満を持して発表したプロフェッショナル向け大型ディスプレイ「ProLite XB3070WQS」。iiyamaらしいコストパフォーマンスに優れた製品ながら、その品質はプロカメラマンの眼からみても確かなものなようだ。30型・WQXGAというサイズや解像度自体が持つメリットはもちろんのこと、階調表現についても見劣りするものではない。また色の再現力も確かなスペックを備えているようだ。標準設定のままでは発色が若干鮮やかになってしまうようだが、この点はソフトウェアキャリブレーションなどを行って追い込んでいくべき項目となるだろう。iiyamaが放つ新たな選択肢の実力は、プロの現場でもきっと大きな力となるはずだ。