待望の新型iPadが10月24日に発売された。iPhone 6/6 Plusと同様にNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの携帯主要3キャリアが取り扱う同端末。通勤通学や待ち合わせなどで電子書籍や動画サービスを快適に活用するには、やはり通信速度の"速さ"と"つながりやすさ"が重要になる。

そこで本稿では、池袋、新宿、渋谷、東京、秋葉原の計5駅で通信速度を調べてみた。なお、この5駅はJR山手線で待ち合わせによく使われる駅として、筆者が独断で選んだ。

マイナビニュース編集部では、発売当日にドコモ、au、ソフトバンクの「iPad Air 2」を入手した。本稿では、山手線沿線で通信速度を計測した結果を紹介しよう

池袋駅で計測

3キャリアの「iPad Air 2」を持ち、筆者が最初に向かったのは巨大ターミナル駅であるJR池袋駅。早速データ通信速度を計測できる専用アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を使用し、各キャリアの下り/ 上り速度を計測した。3回ずつ通信速度を計測し、その平均値を実測値としている。また、3つの端末で同じYouTube動画を視聴することで、動画視聴が滞りなく楽しめるかも試してみた。

JR池袋駅ホームの中央改札口付近で、通信速度の計測と動画の再生を行った

調査は池袋駅ホームの中央改札前で行った。結果は次の通りだ。ドコモは下り20.43Mbps/ 上り4.79Mbps、auは下り16.84Mbps/上り8.37Mbps、ソフトバンクは下り25.72Mbps/ 上り12.33Mbps。

池袋駅で通信の強さを発揮したのはソフトバンクのiPadだった。上り下りともに安定した速度を記録。動画視聴も問題なく楽しめた。

新宿駅で計測

次に向かったのは、一日平均乗降者数世界一位の巨大ターミナル駅であるJR新宿駅。さすがに人が多い。この人の流れの中、新宿駅 東口 中央改札前で果敢にデータ計測を行った。動画視聴は、この人出の中では、集中するのもなかなか難しい。

新宿駅東口中央改札前で、通信速度の計測と動画の再生を行った

結果は次の通り。ドコモが下り45.44Mbps/ 上り7.87Mbps、auが下り47.54Mbps/上り9.25Mbps、ソフトバンクが下り54.57Mbps/ 上り14.05Mbpsだった。

3社とも下り平均40Mbpsを超えており、非常にパケットの流れがよい。動画の視聴も申し分ない。そんな中、新宿駅で通信の強さを発揮したのは、またもやソフトバンク。下り50Mbps~65Mbps相当の速度が出ており、動画視聴も問題なく楽しめた。上り速度についてもソフトバンクが14.05Mbpsでトップだった。

渋谷で計測

続いて、若者のメッカ渋谷駅で計測した。平日の昼下がりにも関わらず、乗降客は非常に多い。やりとりされるパケットも同じように混雑していることだろう。ここでも同様に、通信速度の計測と動画視聴を試した。

渋谷駅中央改札口で計測。同時に、YouTube動画を再生。データの読み込み速度を調べてみた

調査は渋谷駅 中央改札口前で行った。結果はドコモが下り4.08Mbps/ 上り1.38Mbps、auが下り30.15Mbps/上り2.61Mbps、ソフトバンクが下り41.66Mbps/ 上り22.8Mbps。渋谷駅でも通信の強さを発揮したのは、ソフトバンクだった。下りにおいては41.66Mbpsを記録し、他社と圧倒的な差をつけた。このほか、渋谷においては堅調に速度を出していたドコモが大幅に速度を落とした。動画に関しては、ドコモが出始めで少々つまずき、スムーズに再生できなかったが、auとソフトバンクは問題なく視聴できた。

JR東京駅で計測

JR東京駅でも計測。結果はいかに?

このままソフトバンクの完全勝利になってしまうのか。次は山手線のほぼ反対側のJR東京駅で計測。JR東京駅の八重洲中央口改札前でデータ通信速度を調査した。結果はドコモが下り27.03Mbps/ 上り9.99Mbps、auが下り21.35Mbps/上り6.1Mbps、ソフトバンクが下り26.88Mbps/ 上り11.25Mbpsだった。

ここでドコモが下り平均27.03Mbpsを超えて初のトップを獲得。上りに関しては、やはりソフトバンクが11.25Mbpsで最速だった。未だにソフトバンクを止められない状況だ。

JR秋葉原駅で計測

最後はJR秋葉原駅電気街改札前で。3社70Mbps台に

最後は秋葉原駅の電気街改札前で計測した。結果はドコモが下り70.34Mbps/ 上り2.89Mbps、auが下り69.89Mbps/上り7.39Mbps、ソフトバンクが下り79.25Mbps/ 上り19.93Mbpsだった。下りに関しては3社とも約70Mbpsとかなり高速な速度を記録した。

最終的には、秋葉原でもソフトバンクが平均79.25Mbpsでドコモを引き離した。上りに関しては、ソフトバンクが平均19.93Mbpsを超える速度を記録し、5駅すべてで勝利した。

勝利駅数はソフトバンクが圧勝! 上り下りともに安定した数値を記録

JR山手線沿線の5駅でざっくりと計測した結果、下り速度はソフトバンクが4勝、ドコモが1勝。上り速度はソフトバンクがすべての駅で勝利した。なお5駅の平均速度は、ドコモが下り33.46Mbps/ 上り5.38Mbps、auが下り37.15Mbps/上り6.74Mbps、ソフトバンクが下り45.62Mbps/ 上り16.078Mbpsとなった。平均値ではソフトバンクが他社を圧倒、続くドコモとauは僅差だった。

なぜこれほどの大差がついたのか? 考えられる要因のひとつは「バンド41」への対応が挙げられている。「バンド41」は、これまでの従来のiPadが対応していなかった周波数帯で、今回発売されたiPad Air2は新たに同帯域に対応。これにより、2.5GHz帯の周波数を使用した「TD-LTE」での通信が可能になっている。

3キャリアのうち、この新たに追加されたバンドを利用できるのはau(WiMAX 2+)とソフトバンク(SoftBank 4G)のみ。4つの2.1GHz、1.7GHz、900MHz、2.5GHz周波数帯(他社は3つの周波数帯)を利用した、112.5Mpbsと110Mbpsの2つの安定したネットワーク環境が、今回の3キャリアの中で最も早いダウンロード速度をもたらした要因であろう。加えて、ソフトバンクでは、スマートフォンユーザーから月間18億件(2014年5月現在)の通信ログを集めて電波の改善に活用している。こうした「つながりやすさ」への地道な取り組みも、今回の結果に反映したのかも知れない。今後の、3社のネットワークをめぐる争いにも注目していきたい。