リコーは10月28日、画像インプットデバイス「RICOH THETA(リコー・シータ) m15」を発表した。同日、東京の日本科学未来館にて報道関係者向けに発表会を開催。従来モデルからの進化点などについて説明が行われた。

左からリコーイメージング・代表取締役社長の赤羽昇氏、アプリ開発も行うタレントの松嶋初音さん、リコー・新規事業開発センター 所長の大谷渉氏、リコー・リコー技術研究所 フォトニクス研究センター 製品開発室の寺尾典之氏

RICOH THETA m15は2つの魚眼レンズを背中合わせのように配置することで、360度(全天球)の静止画、動画を撮影可能なカメラデバイス。2013年9月にドイツで発表2013年11月に日本で発売された従来モデルの「RICOH THETA」からの進化点として、新たに動画撮影への対応や、最大で従来比2倍となる通信速度の強化が図られた。


映像の力で世界の見え方を変えていく

リコーの新規事業への取り組みとしてRICOH THETAのコンセプトなどを紹介する大谷氏

発表会では、リコー・新規事業開発センター 所長の大谷渉氏が登壇。従来モデルも含めた製品の開発経緯やコンセプトについて説明した。

大谷氏はまず、既存事業から外に踏み出すための新規事業開発としてRICOH THETAの開発がスタートしたことに言及。リコーの事業領域は大きく分けて、半導体やサーマルメディアを扱う「インダストリー」、プリンターや複合機、MDS(マネージド・ドキュメント・サービス)などを扱う「ビジネス領域」、デジタルカメラを扱う「コンシューマー」の3つがある。

大谷氏は「映像の世界で何かやることがあるんじゃないか?と考えた」と、デジタルカメラ事業の枠の中で、既存のカメラとは一風変わった製品を開発する取り組みとしてRICOH THETAの開発が行われたことを紹介した。その上で、「映像の力をもってして世界の見え方を変えていく」というビジョンにたどりつき、そのためのコアバリューとして驚きのある映像とコミュニケーションを融合させるデバイスを開発しようということになったという。

【左】リコーの新規事業のねらい 【中】RICOH THETAに込めたビジョン・コアバリュー 【右】従来モデルは2013年にIFAで発表された

それを実現したのがまさしくRICOH THETAで、同製品のコンセプトは「1ショットで世界のすべてをキャプチャーしようというものだ」と大谷氏は説明。それにより、「場の雰囲気などを共有できる」と、コミュニケーションデバイスとしての全天球撮影のメリットを強調した。

大谷氏は、従来モデルの反応として「全天球」「360(度)」というキーワードが語られ、一定のインパクトを与えられたとの同社の認識を披露。購入者の96.2%が満足度調査に置いて「YES(満足した)」と回答したという。

なお、従来モデルにおいてMicrosoft PhotosynthやGoogleマップなどとコラボレーション実績が築けたことも紹介。今後の展開としては、さらにコラボレーションの展開を行い、RICOH THETAの普及を図るという。

【左】「世界のすべてをキャプチャー」がコンセプト 【中】従来モデルには購入者の96.2%が満足 【右】コラボレーション実績

RICOH THETA m15は、リコーイメージングより11月14日に発売される。価格はオープンで、推定市場価格は3万円台半ばだ(税別)。

従来モデルと外観上はほとんど変化はない

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