電子書店パピレスが運営し、コミックから小説、実用書、雑誌、グラビアと幅広いジャンルの電子書籍を取りそろえている「電子貸本 Renta!」。特にコミックは、少年漫画、少女漫画、ティーンズラブ、レディース、青年漫画、4コマ、萌え、サブカル、ボーイズラブなど最も豊富なラインナップを誇っているが、今回はその中からサブカルチャー漫画の10月の月間ランキング上位作品をピックアップして紹介していこう。

唄う骨

『唄う骨』戸田誠二(ぶんか社)

戸田誠二の「唄う骨」は、実在の昔話や伝統芸能をモチーフに、新たに再構成して綴られた物語。働き者の姉と美人が取り柄の妹の微妙な関係。些細なできごとを発端とした悲しい姉妹愛を描いた「唄う骨」。本当の母親になるべく奮闘する継母と、本当の甘え方を知らない娘の相容れない親子愛を描いた「くすねた銅貨」。かわいくて人気者のエリザベートと仕事ができる才女のイネス、2人の幼なじみがヒョンなことからライバルとなる、ズレてしまった友情を描く「ネスの木」。倫理的に許されない“趣味”を持った貴族と、そこに嫁いだ娘の結婚観を描く「アオカミ」、シンデレラの元となったストーリー「灰かぶり」をベースにした「ハイカぶり姫は誰だ?」。そのどれもがおどろおどろしく、悲惨なストーリー展開であるものの、本当の姉妹・親子とは? 友情とは何か? そして人間とは何か?を考えさせられるような構成で、グロテスクな表現や性的な描写はあれど、三たび読みたくなるような作品となっている。

東京都北区赤羽

『東京都北区赤羽』清野とおる(Bbmfマガジン)

東京都北区赤羽……まぎれもない実在の住所をタイトルにした清野とおるの「東京都北区赤羽」は、東京都民からも埼玉県民からも見放されたというポケット地帯を、これまた実在の漫画家である清野とおるが、“人に言えない”趣味である散歩と尾行によって、東京都北区赤羽がいかに素晴らしい街であるのか(?)を紹介していくドキュメンタリー。 “行くと必ずコントのようなことが起こる”不思議な居酒屋“ちから”、赤羽駅で突然出会った歌うホームレス“ペイティさん”、なじみとなった居酒屋“ちから”で飲み仲間となった“ジョージさん”、駅前の喫茶店で赤飯を配る“おばあちゃん”、コンビニ前でタバコとワンカップを片手にお布施を施される“ニセ和尚”……清野の興味は尽きない(赤羽住民の、この破壊力!)。ほのぼのと繰り広げられるスゴい話は、著者の手腕によるもの。ゆる~い絵も相まって、ホントに赤羽がスゴい街に思えてくるから不思議。“このマンガを読んだアナタは赤羽に行かずにはいられない衝動にかられるだろう”。

働く男の制服図鑑 THE COMIC

『働く男の制服図鑑 THE COMIC』桜遼 源一実 アラヤ ビーバーみかげ キッカワショウ 田野かかし 稲妻ぴか子 高橋ミサ せばす ボス子 Tee2BOOKS 月ヶ瀬ゆりの 天野瑰 月城おぼろ(フィールドワイ出版)

男性にも看護師やOL、CAなどの制服フェチがあるように、女性にも制服フェチはある。例えば宅配業者、建築業者のキビキビとした動作や、作業着からのぞく筋肉質な二の腕にトキメく人や、軍人、医師、中には僧侶に萌える人も……そんな作家たちが妄想する制服フェチな短編アンソロジー「制服図鑑シリーズ」の第二弾が「働く男の制服図鑑 THE COMIC」。本書では主に庶民の治安を守る職種(警察官・機動隊・警備員)の男性にスポットを当てている。それぞれの職務に燃える男たちの友情モノから軽いBLモノ、青年誌的な画風やギャグ作品もあり、オムニバス形式の多彩な内容となっている。いくつかの作品は人物設定もしっかりしており、続きを読んでみたくなる作品もあった。掲載作家陣は、源一実、アラヤ、ビーバーみかげ、キッカワショウ、田野かかし、稲妻ぴか子、高橋ミサ、せばす、ボス子、Tee2BOOKS、月ヶ瀬ゆりの、天野瑰、月城おぼろという豪華な布陣……お気に入りの作家がいたら一読してみることをオススメしたい。

1位はふみふみこの『ぼくらのへんたい』、5位は児嶋都の『怪奇大盛!!肉子ちゃん』、8位はヤマシタトモコの『ドントクライ、ガール』などがランクインしている。なお10月のサブカルチャー漫画ランキングは以下の通り。

順位 作品タイトル 著者/原作者名
1位 ぼくらのへんたい ふみふみこ
2位 女の穴 ふみふみこ
3位 唄う骨 戸田誠二
4位 東京都北区赤羽 清野とおる
5位 怪奇大盛!!肉子ちゃん 児嶋都
6位 MO’SOME STING ヤマシタトモコ
7位 濃縮メロンコリニスタ ニャロメロン
8位 ドントクライ、ガール ヤマシタトモコ
9位 はたらけ、ケンタウロス! えすとえむ
10位 青沼さん、BL漫画家をこっそりめざす。 青沼貴子