今やビジネスホテルは「無料」がキーワードである。客室のインターネットに大浴場、ドリンクサービスなど利用者のハートをつかむための様々な無料サービスが展開されているが、その代表格はやはり「無料朝食」だ。今回は東京都に隣接する埼玉県のビジネスホテル無料朝食に注目してみた。

おかずは煮物やシューマイ、ソーセージなど種類も豊富!(写真は「ABホテル深谷」)

なお、ここでは各都市での独立系・小規模チェーンのビジネスホテルで無料朝食サービスを展開しているホテルに注目したい。もちろん「無料朝食」といっても宿泊料金に転嫁されているわけだが、別途料金が発生する「有料朝食」との対比で無料という表現を各ホテルが用いているので、本文でも便宜的に「無料朝食」と表現させてもらう。

ヘルシーな朝食をちょっと早めの時間に

埼玉県全体では、全国チェーンを除いたビジネスホテルで無料朝食を提供するホテルは僅少であるが、その中でも埼玉県西部で6店舗チェーン展開する「デイリーホテルチェーン」は無料朝食がウリのホテル。早速「デイリーホテル 志木店」へ出向いてみた。

一般的に7時からが多いビジネスホテルの朝食開始時間であるが、こちらでは6時45分から。朝の忙しい中でこの15分は貴重である。メニューは煮物やサラダを中心としたヘルシーな内容となっているが、卵はゆで卵・生卵の2種類あるのがうれしい。

朝食ブッフェでは納豆パックがそのまま置かれているのをよく見かけるが、こちらでは小鉢で供されている。刻んだ長ネギが取り放題となっているのも珍しい。刻み長ネギは納豆だけではなく、味噌汁にも使えそうだ。

その他、漬け物や味付け海苔などの朝食必須アイテムはもちろん、パンやコーヒーも提供されている。新座市にある同チェーンの「デイリーイン254」へも出向いたが、こちらの無料朝食も同様で利用者にも人気のようだった。

「デイリーホテル 志木店」のモーニング。卵はゆで卵・生卵の両方用意

充実したおかずにパンの種類もいろいろ

一方、他の地方で展開する人気ホテルチェーンが越境して進出、その充実した無料朝食が人気を博しているという。そんな注目のホテル「ABホテル深谷」へ出向いてみた。

ABホテルチェーンは東海地方を中心に展開する人気ビジネスホテルチェーンだが、6月17日に東海地方以外では初となる店舗を埼玉県深谷市にオープンした。深谷駅至近の利便性高い立地だ。

ABホテルチェーンで供される無料朝食の充実は素晴らしく、各店舗で利用させていただいたが、利用者の高い支持を受けている。深谷も同様であった。煮物、シューマイ、焼き魚、ソーセージにスクランブルエッグ、パンも6種類と「これが本当に無料?」とうなってしまう内容だ。ビジネスホテルの無料朝食でよく見かける人気メニュー「スパゲティナポリタン」もある。

「ABホテル深谷」のモーニング。おかずを少しずついろいろ選べるのがいい

どちらのチェーンも全国規模の有名ホテルチェーンに対抗すべく、無料朝食も提供しようという意気込みがうれしい。ところで、様々なビジネスホテルで朝食を食べていると、会場で見かけるのが朝のニュースなどを放映する大画面テレビ。これもまた、ひとり黙々と食すことが多いビジネスホテル朝食会場での重要なアイテムと言えるだろう。

※記事中の情報は2014年10月取材時のもの

筆者プロフィール : 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」