Q.ドラマ、映画、漫画、小説、テレビ番組などの作品で、あなたが就職活動や職業選択をする上で影響を受けたものを教えて下さい。

好きなドラマやマンガ、小説などから影響を受けたことはないだろうか。就職活動で会社や仕事を選ぼうという場面になれば、なおさら影響は大きくなる。今回は2015年卒業予定のマイナビ会員を対象に実施した「2015年卒 マイナビ大学生のライフスタイル調査」(回答者5,663名)から、文系男子が「就職活動や職業選択をする上で影響を受けた作品」を紹介する。調査期間は2013年12月13日~2014年1月13日。同質問に回答した文系男子274名の結果となる。

Q.ドラマ、映画、漫画、小説、テレビ番組などの作品で、あなたが就職活動や職業選択をする上で影響を受けたものを教えて下さい。

■半沢直樹(TBSのTVドラマ、及び池井戸潤『半沢直樹シリーズ』/文藝春秋)
・「良くも悪くも銀行で働くことに興味を持った」
・「銀行業に興味があったため、仕事の一部を知ることが出来たため」
・「ドラマの脚色はあるものの、企業で働く大変さや、企業の課題に前向きに立ち向かう大事を痛感した」
・「銀行は金の流れを作ることで日本の産業を支えており、それは社会貢献に有用」
・「こんな銀行員は本当にいるのかと思ったとき、興味を持った。職業については中身をよく知る必要があると考えたため」
・「銀行に入行するのはやめておこうと思った」

■ビジネス書・実用書など
・「『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)…ネットでよりよい人生にすべく調べて7つの習慣の概要を見つけ覚える後、漫画版を本屋で発見しはじめて内容に触れる。人間関係、自分の心のもちようなどおそらく一生参考になる本だと思う。まだ最近は就職活動や課題にSPIなどで忙しいが、漫画でない本家の『7つの習慣』は近いうち購入したいと熱望している」
・「『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(長谷部誠/幻冬舎)…メンタルマネジメントの大切さを学びました」
・「『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』(山田真哉/光文社)…会計や、経理に興味を持ち、いずれはそういう仕事をしたいなと思うようになった」

■TVドラマ
・「『GOOD LUCK!!』(TBS系列)…子供ながらに航空業界に興味を持った。現に今も全日空が第一志望です」
・「『アスコーマーチ! ~県立明日香工業高校行進曲~』(テレビ朝日系列)…工業高校を舞台に展開するドラマなのですが、ドラマ中で『つくる喜びを知って、壊れる悲しみを知る』という一言があり、これは全てのメーカーに共通する心理だと思い、深いと感じました」
・「『ハケンの品格』(日本テレビ系列)…物語の仕事現場が企画・営業職で、社員が協力し和気藹々とし面白い職種だと思ったためです。私もそのようなところで仕事ができたらやりがいも持つと思いました」
・「『パパとムスメの7日間』(TBS系列)…このドラマで商品企画の様子を初めて見て商品企画の道に進もうと思ったので」
・「『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系列)…IT企業のイメージがよくなった」
・「『相棒』(テレビ朝日系列)…警察官を目指すようになった」

■考え方が参考になったマンガ
・「『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志/集英社)…サラリーマンの生き方を学んだ。ぶれない信念や、まっすぐに、間違っていることを違うと言えること。周りに流されないこと」
・「『みそララ』(宮原るり/芳文社)…コピーライターを主人公にした漫画であり、自分の志望する業界と全く異なるものだが、仕事をどのように捉えていくのかということについて考えさせられた」
・「『進撃の巨人』(諫山創/講談社)…『何かを得ることができる人は、何かを犠牲にすることができる人だ』という言葉に感銘を受けた」

■職業の参考になったマンガ
・「『クロサギ』(原案:夏原武、作画:黒丸/小学館)…財産の運用はプロの知識なしにやるべきではないと学んだ。また、専門知識はそれを持っているだけで人生の役に立つと思った」
・「『ソムリエ』(原作:城アラキ、漫画:甲斐谷忍、監修:堀賢一/集英社)…まだ、お酒お飲んだことのない未成年だった私にワインの世界の入り口を示してくれて、これをきっかけにワインのみならずフランス語とお酒全般に興味をもつようになった。その結果、大学ではフランス語を専攻し、就職活動では商社や酒類メーカーを中心に見ている」
・「『バクマン。』(原作:大場つぐみ、作画:小畑健/集英社)…今まで漫画を集め、すでに1,000冊以上読んできまして、元々漫画が好きでしたが、バクマン。を読んだことがきっかけで現在漫画の担当編集者を目指しています」

■小説
・「『エネルギー』(黒木亮/講談社)…エネルギーに関連する業界の仕事がどのようなものか分かり、同時に魅力的に感じたので、同業界を志望するようになりました」
・「『さまよう刃』(東野圭吾/朝日新聞出版)…その内容により少年犯罪の現状の裁き方と限界、被害者やその家族への配慮などを考えさせられました。そして私が法学部に進学しようと思った理由の一つにもなりました」
・「『スロウハイツの神様』(辻村深月/講談社)…若手クリエイターが夢に向かって邁進する話。自分が勝負できる土俵にこだわって世界とつながろうとする姿勢が、私にもそのこだわりが崇高なものだと痛感させる。私も彼らのようなこだわりを持って世界とつながりたい」
・「『女子大生会計士の事件簿』(山田真哉/角川書店)…この本は公認会計士がその知識を使ってミステリーを解く小説で、私はこの本を読んで経営の楽しさ、簿記の楽しさを感じたから」

■映画
・「『アマルフィ 女神の報酬』…日本人が外国語を操り問題を解決していく姿がかっこいいから」
・「『おくりびと』…暗い職業のやりがいと真実に惹かれた」
・「『スティーブ・ジョブズ』…ITに関する考え方であったり、人との接し方などがとても参考になった」
・「『ディア・ドクター』…偽医者である主人公が僻地の医療に貢献したという話から、時には嘘をつくことが人の役に立つこともあると学んだ」
・「『風立ちぬ』…人生を賭けて取り組んだ製品への想いが素晴らしく伝わってきたから」

■就職活動の参考になった本
・「『何者』(朝井リョウ/新潮社)…就活の話で、主人公と自分を重ねて読むことができた。就活を通して何かと他人を見下すことで自分を保つ主人公のようにはなりたくないと強く思った」
・「『銀のアンカー』(原作:三田紀房、作画:関達也/集英社)…就職活動に関しての漫画で、就職とはどのようなものか、主人公とともにイメージすることができた」
・「『採用基準』(伊賀泰代/ダイヤモンド社)…今、企業の方々がどのような人材を欲しがっているか理解できた」

■その他
・「UVERworldというアーティストのMC。ライブへ行くたびにボーカル自身が夢を叶えるために苦労してきた事などをつたてえくれるし、それがあり夢が叶ったことなどを身にしみるほど伝えてくれている」
・「『N・H・Kにようこそ!』(独立UHF局)…大学生である主人公がひきこもってしまう話です。悪い見本を見せてくれます。ただ、このアニメは話を盛り上げるためにご都合主義でかわいい女の子と知り合いますが、現実はその要素すら抜けてしまうと思うので、自分から歩んでいかなければならないなと思い知らされました」
・「『ルパン三世シリーズ』…自由気ままに生きるルパン三世の姿を見て、もっと自分のやりたいことをしていいんだと思えるようになった」

■総評

文系男子が影響を受けた作品として最も大きかったのが『半沢直樹』という結果に。2013年大ヒットを記録しただけあって、良くも悪くも銀行や金融業界に興味を持ったという人が多かったようだ。「銀行には絶対入りたくない」とネガティブな感想を持つ学生が多い中、「社会貢献になっている」「銀行に入りたくなった」という意見もあり、そういった人は入ってからも成功できそうだ。

また文系男子の特徴として、ビジネス系書籍や自己啓発、実用書などを読んで影響を受けている人が多かったこともあげられる。スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』といった自己啓発書の古典作から、スポーツ選手が書いたメンタルマネジメントの本まで、幅広いラインナップが回答にあがった。マンガを回答する人も見られたが、こちらは「考え方などに影響を与えたもの」と「職業観に影響を与えたもの」と2つに分けられた。『進撃の巨人』などの戦闘漫画もあり、現実的な仕事の話だけが影響を与えるわけではないことがよくわかる。

刑事ドラマを見て警察官を目指す人、パイロットのドラマを見て航空業界を目指す人など、『半沢直樹』意外のドラマも健闘。小説、映画などではじめて知った職業から仕事観が変わったと言う人も多かった。もし気になる職業があれば、いちどこういった作品に触れてみるのもいいかもしれない。

調査時期: 2013年12月13日~2014年1月13日
調査対象: マイナビ会員
調査数: 文系男子274名
調査方法: インターネットログイン式アンケート