上野動物園の東園にあるバードハウスの中でも、特に人気が高いのがボウシゲラという種類の鳥だ。ボウシゲラはキツツキの仲間としては世界最大級で、体長はおよそ50センチ。体重は350~500グラムが標準的なサイズとなっている。

上野動物園のボウシゲラ

体は全体的に薄い灰色で、クチバシから下あごにかけての部分がオレンジ色。クチバシはかなり長く、最も特徴的なのが両目の下のピンク色の斑紋で、まるでポッと頬を染めたような顔に見える。つぶらな黒い瞳とも相まって愛嬌のある表情に見えるため、とってもかわいらしいのだ(斑紋があるのはオスのみ)。

ボウシゲラがいるバードハウス内のケージを2階から

小首をかしげるような仕草も愛らしい

上野動物園にいるボウシゲラは、2006年に同園にやってきたこちらのオス1羽のみ。野生のものはマレーシアなど東南アジアや南アジアに広く分布している。主食は昆虫で、キツツキの仲間だけあって木の中にいる虫を舌で引っ張り出して食べているほか、飛んでいる小さな虫を捕らえて食べることもある。

また、ボウシゲラに限ったことではないが、木に穴をあけて巣をつくったり、仲間とコミュニケーションを取るために樹木をクチバシで叩くドラミングという行為もキツツキの仲間の特徴となっている。

ボウシゲラが突いて空けた木の穴

ところが、上野動物のボウシゲラは特に好奇心が強い個体のようで、木だけでなく同じ展示エリアにいる他の鳥用の巣箱を壊してしまったり、金網に貼られた来園者のための解説用ボードをボロボロにしてしまったりといったさまざまな「前科」も。「細い木をつつきすぎて枯らしてしまうこともあるくらいなんですよ」と飼育員さんが話す通り、かわいい顔に似合わず暴れん坊な一面もあるようだ。

この日は撮影のために飼育員さんがエサのミールワームを持ってやってくると、金網のギリギリ手前までやってきてくれた。普段も来園者がやってくると、こうして見やすい場所に来て愛嬌をふりまいているという。

エサを食べるときは、長いクチバシからさらに長い舌を伸ばして口の中に運んでいる。約20センチもの竹の筒のエサ入れの底にクチバシが届くのは、このボウシゲラだけなのだそう。

バードハウスの1階部分

上野動物園のバードハウスでは、ボウシゲラのほかにも数種類の鳥が一緒に展示されている。1階と2階の両方から眺めることが出来るので、1階にいない時は2階から、2階にいない時は1階からその姿を探してみよう。ボウシゲラを観察するおすすめの時間は午前中とのこと。

バードハウスの入り口

上野動物園のアクセスはJR上野駅・公園口から徒歩5分、または京成電鉄上野駅・正面口などから。開園時間は9時30分~17時(入園は16時まで)。月曜休園(祝日や振替休日の場合は開園、翌日が休園)。入園料は一般600円、65歳以上300円、中学生200円(小学生以下と都内在住・在学の中学生は無料)。