10月18日、国産旅客機としては約50年ぶり、ジェット旅客機としては国内初となる三菱リージョナルジェット(MRJ)が公開された。これまで3度に渡る開発の遅延があったが、同日、三菱重工・名古屋航空宇宙システム製作所・小牧工場で開催されたロールアウト式典で報道陣や関係者の前にお披露目された。

公開されたMRJの初号機

ロールアウト時の出来は上々の印象

小型ナロウボディ(単通路)機で、その姿を一言でいうなら日本的なスマートさのあるデザイン。実物を目の当たりにして最初に感じるのは90席タイプにしてはやや大型だという点。客室を広くするために、客室(機体)下部の貨物スペースを削って機体後部に貨物スペースを造り、その分だけ胴体が長くなっているから、そう感じるのだろう。

今回は機内のお披露目はなかったが、モックアップ(実物大の模型)ではこのクラスの旅客機では長身の人が屈まなくてもよいくらいの高さを確保している。

式典のあいさつの中で、大宮英明・三菱重工業会長は「今回の航空機開発事業をはじめる際には、リスクを負う覚悟が必要だった。様々な困難にも直面してきたが、この日を迎えられたのはすべての関係者の協力のたまもの」だと語った。

座席後部の後ろの窓のないところは貨物室

航空機の製造はもちろん簡単なものではなく、旅客機事業に成功している国は数少ない。だからこそ、MRJ事業が軌道にのれば、日本の産業に大きな光を照らす。

公開された機体は他の機材のロールアウト式典と比較しても、とてもきれいに仕上がっていた。これから予定されている2015年の初飛行および様々なテストをし、必要な認可を得なければならない。

ともあれMRJは、お披露目された。いよいよ本格的な一歩を踏み出したのだ。なお、MRJに関する考察は、また追ってレポートする。

飛行機にもワイパーが。特に小さな虫が問題になることもあるアジアでは必須だ

機体側面に描かれた社名。"三菱"のロゴがまぶしい

金属より軽量で燃費効率を良くする炭素繊維複合材が使用された尾翼

マーキングは歌舞伎をイメージ

デザイン性も光る

初号機の機体番号「JA21MJ」

細部にまで形状やデザインへのこだわりが

エンジンはプラットニー・アンド・ホイットニー社のもの

プラットニー・アンド・ホイットニー社のPW1200Gを採用。もちろん低燃費

タイヤはブリヂストン社が供給

MRJの工場外観

筆者プロフィール : 緒方信一郎

航空・旅行ジャーナリスト。旅行業界誌・旅行雑誌の記者・編集者として活動し独立。25年以上にわたり航空・旅行をテーマに雑誌や新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなど様々なメディアで執筆・コメント・解説を行う。著書に『業界のプロが本音で教える 絶対トクする!海外旅行の新常識』など。