キヤノン「PowerShot G7 X」は、1型の大型CMOSセンサーを搭載した高級コンパクトデジタルカメラだ。今春発売した「PowerShot G1 X Mark II」の下位モデルにあたり、明るいレンズの魅力を受け継ぎながら、気軽に持ち運べる薄型軽量ボディを実現。機動力と多機能を両立したカメラに仕上がっている。その実写レビューをお伝えする。

「PowerShot G7 X」

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まずは外観から見てみてみよう。ボディは、グリップ部の膨らみがないソリッドな薄型形状を採用する。レンズ部以外の凹凸を抑えたフラットなシルエットラインは、既存の薄型モデル「PowerShot S200」を思わせる。マットブラック仕上げの高品位な外装や、ダイヤル類に施されたスピンカット処理についてはPowerShot G1 X Mark IIから受け継いだもの。SシリーズのシンプルさとGシリーズの高級感が融合したデザインといっていい。

【左】手のひらに収まる薄型軽量デザイン 【右】レンズバリアは電源に連動した内蔵式となる

ボディサイズはPowerShot S200に比べるとやや大きいが、それでも手のひらにすっぽりと隠れ、胸ポケットにも無理なく収まる。バッテリを含めた使用時重量は約304g。手に取ると、薄型ボディにメカがぎっしりと詰め込まれたような凝縮感と適度な重みが伝わってくる。

【左】開放値の明るい光学4.2倍ズームを装備。フィルター類の装着には対応していない 【右】ポップアップ式の小型ストロボを内蔵。外部ストロボ用のホットシューはない

天面の電源ボタンを押すとレンズがせり出し、約1.3秒で素早く撮影スタンバイの状態になる。レンズには、35mm判換算で24~100mm相当の焦点距離を持つ光学4.2倍ズームを搭載。1型という比較的大きなセンサーサイズと薄型軽量デザインを両立しつつ、さらに一般用途に使いやすいこのズーム域をカバーしていることに驚く。しかも開放値は、ワイド側F1.8、テレ側F2.8と明るい。これらの数値を見ただけで、もう何でも撮れそうな気がしてくる。

【左】ボタンの付け根に見える赤ラインがデザインのアクセントになっている 【右】CIPA準拠の電池寿命は約210枚。旅行などでは予備バッテリが欠かせない