iPadをレジスターにすることを考える

デバイスそのものに対する期待もあるが、現在のモバイル化の流れと新しいiPhoneやiPadが作り出すワークスタイルや日常生活の革新に対しても、筆者は期待を寄せている。特に注目しているのが、小売の分野だ。ユーザーからすれば、ショッピング体験がどのように変わるのかに注目が集まる。

Appleはクレジットカード決済を、iPhoneに内蔵されたNFCとTouch IDを用いて行う「Apple Pay」を提案した。1分以上かかる場合もあるクレジットカード決済を、5秒に短縮することができ、米国で生活する筆者にとっても非常に期待できるサービスだ。

NFCとTouch IDで決済するApple Pay

新型iPhoneはユーザー側がApple Payに対応するためのスマートフォンとなるが、店舗側がApple Payに対応するためにiPadを利用し始めたらどうだろう。

もちろんこれは新型iPadにNFCが搭載される前提の話だが、NFCリーダーを置かなくても、iPadをレジスターとして用意することによって、店舗のiPadにiPhone 6をかざせば、Apple Payでの支払いが完了するというソリューションを組むことができるようになる。今回のiPadのアップデートで今すぐに実現できるとは限らないが、決済に参入したAppleにとって、非常に面白い市場になるはずだ。

米国の小売店でも、この動きを後押ししている。アンソロポロジーやフリーピープルなどのブランドを持つアーバンアウトフィッターズは、2012年に、キャッシュレジスターを全米の400店舗から順次撤去し、iPadとiPod touchによる決済方式へと移行させている。

またSquareのように、プラスティックカードでの決済をiPadに対応させるソリューションも複数出てきた。Apple Payに対応するiPadの登場は、新しい決済の体験にとって、大きな影響を与える可能性があるだろう。