さて、だいぶ時間が経過してしまったが、「Renesas DevCon 2014」のレポート第2弾は、同社の作田久雄会長と鶴丸哲哉社長へのインタビューの結果をお届けしたい。このインタビューは複数の媒体のラウンドテーブル形式で、したがって似たような質問やその回答が重複することになった。そこで、ちょっと整理する形でインタビューの内容をお届けしたいと思う。ちなみにインタビューは主に作田会長がお返事をなさったので、特に断りが無い限り発言は作田会長のものである。

ルネサス エレクトロニクスの代表取締役会長兼CEOを務める作田久男氏

ルネサス エレクトロニクスの代表取締役社長兼COOを務める鶴丸哲哉氏

ビジネスの方向性

そもそもDevConの開催趣旨であるが、作田会長によれば「財務的な面に関しては、決算発表やIRなどでお話をさせていただいている。その際に多少はビジネスの話もさせて頂いているが、これは口だけの話になってしまっている。なので、こういう機会に『ルネサス エレクトロニクスはこちらの方向で頑張っているんだ』ということをお顧客にご理解いただきたい」としている。

さて、その上でまずビジネスの方向性である。如何にして、今後2桁%利益の確保と売り上げの拡大を図るのか、という問に対して

「それは、ルネサスの持つ価値を、適正に評価して頂く事だと判断している。これは事あるごとに申し上げているが、今のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は粗利率だと考えている。当面、2016年度には45%まで引き上げようというのが目標。今年度が41%くらいになると見ており、2017年の45%は多分可能だと判断している。」

とした。その粗利率について

「粗利率の改善に関して言えば、為替の影響も大きい。2012年、13年度と比べると6ポイントくらい粗利率は改善しているが、このうち3ポイント位は為替によるもの。加えて構造改革の中で、もちろんこれ(構造改革)をずっとやったら会社が死んでしまうが、ただある程度これをやることで製造コストが下がる。工場の不要な設備の廃棄なり、過剰な人員の削減なりで実現する形だ。こうした製造コストは変動費なので、これが下がればもちろん粗利率は高くなる。

もう1つ、私から見るとルネサスが過去苦しかったのは、安く売り過ぎていた。ただ、一度安く売ってしまったものを、今更高くするのは不可能なので、ごめんなさいを言ってその商売をやめるしかない。社員に言っているのは、『本当の顧客の信頼と期待は粗利率に現れる』、と。適正という言葉が正しいかどうかは判らないが、自分たちが期待する粗利率はやはり稼がないといけない。それは暴利でもなんでもなく、自分たちに対する期待と信頼を評価して頂くと言うことである。そのあたりが、少しずつ利いてくると考えている。

実際、国内はともかく海外では粗利マイナスのビジネスも過去には存在した。変動費さえも確保できていない。勿論これは色々事情はあるのだが、私からすれば『どんな事情があろうと、粗利マイナスの商売を何故続けられるのか』と。もちろん粗利なので、工場の何がしかの人件費や償却費を吸収している可能性はあるが、ただそれは経営ではないと考えている。

なので、粗利が極端に少ないとか、粗利はそこそこ頂いているものの、将来を考えると、設備の維持・メンテナンス費が非常にかかるので利益を上げてゆくのが難しい、というものをEOLにする。これを事業のプロダクトミックスと呼んでいるが、これが2016年度までには相当利いてくるとだろうと思っている。これにより、これからは今後は儲けがでるものだけに集中する、という方向に持ってゆきたい。これが計算通りに進めば、粗利率を45%までは上げられると考えている」

と説明した。つまるところ、不採算製品のEOL(End Of Life)が重要なポイントになると作田会長は見ている訳だが、このEOLに関して作田会長は

「EOLに関して計画があり、現時点のところ大きな齟齬は発生していない。ここで『齟齬』と言うのは『お客様との約束』ということである。EOLでご迷惑を掛けるにあたり、お客様の方からは『ではEOLまでにこれだけは用意しろ』と言われることになる。それに対して『では用意をするので注文書を下さい』と申し上げるところまでは合意が取れている。

ただ、実際にはお客様はマージンを考え、本当に必要な数量よりも多少上乗せして発注せざるを得ないが、お客様の立場からすれば『それはルネサスがEOLするからだ』という事になる。ただ、だからといってEOLをしないわけにはいかない。そこで、本当に必要な数量に上乗せしたバッファとなる過剰分をどういう割合で負担するか。この議論がほぼ決着がつきつつありある。例えばある商品の先の見通しを確実に見極めた上で、10年後までに1000万個は絶対に必要という見積もりが出たら、実際にはバッファを含めて1100万個を製造するとする。その際に、その100万個の負担をどうするか? あるいはそのバッファ分を完成品として持つのか、ウェハのレベルで持つのか、色々な持ち方があるわけで、そういう細かい話がほぼ終わりつつある」とした。

ちなみに営業利益率については、「営業利益率そのものは経営の責任である。先程も述べた通り、粗利は顧客がルネサスをどのように評価しているかという表れであり、そこから利益を出すのがマネジメントの責任となる。もし粗利ゼロだったら、どんなに頑張っても利益は出ないからだ。ただ、例えば粗利30%でもちゃんと利益を出しておられる会社もあるし、40%でも赤字の会社があるわけで、なので粗利から如何に利益を出すのか、が経営の責任だと考えている」とした。ただし、「これからはR&Dに集中ということをやっていくので、今後はある粗利以下のものは販売しないつもりである。それが45%とは言わないが、しかしながらあるターゲットを持って、それが可能なように開発間口をを狭めてやってゆこうと考えている」としている。