ここ最近、「格安SIMサービス」の話題をよく耳にする。市場ではどんなサービスが人気で、どこまで便利に使えるのだろうか。本稿では、3,000円前後で使える格安SIMサービスの情報をいくつかまとめてみた。そこから見えてくる共通項はあるだろうか。

スマホとセットのサービス

月額3,000円前後で利用できる格安SIMサービスには、スマートフォンとセットで販売されているものが多い。これから紹介するプランは、いずれもLTEによる高速通信と090/080で始まる電話番号での音声発信が可能だ。例えばBIGLOBEがSIMを提供するサービスでは、TCL mobile Limited社のAndroid 4.3スマートフォン「ALCATEL(アルカテル) OneTouch IDOL 2S」が利用できる。月額3,218円(税込、以下同)の運用コストで、月に2GBまでLTE通信が利用可能。端末代金は34,464円で、これを毎月1,436円×24か月支払う仕組みになっている。21.6円/30秒で音声通話が可能。イオンで販売している。

いわゆる”イオンスマホ”と呼ばれる、イオンが販売する格安SIMサービス。5インチのスマートフォンALCATELが提供される

So-netがSIMを提供するサービスでは、ZTE社のAndroid 4.4スマートフォン「Blade Vec 4GS」が利用できる。月額2,678円で、月に1.5GBまでLTE通信が利用できる。端末代金は32,160円で、これを毎月1,340円×24か月支払う仕組み。21.6円/30秒で音声通話が可能。

So-netでは、ZTEの5インチスマートフォンBlade Vec 4GSが利用可能だ

日本通信(b-mobile)がSIMを提供するサービスでは、LGエレクトロニクス社のAndroid 4.4スマートフォン「LG G2 mini」が利用できる。月額3,217円で、月に1GBまでLTE通信が利用できる(通信容量は1、2、3、7GBから選択することも可)。端末代金は36,806円で、これを毎月1,533円×24か月支払う仕組み。21.6円/30秒で音声通話が可能。Amazonで販売する。

日本通信のプランでは、4.7インチのLG製スマートフォンLG G2 miniが利用できる

U-NEXTがSIMを提供するサービスでは、Huawei社のAndroid 4.3スマートフォン「Ascend(アセンド)G6」が利用できる。月額3,479円で、月に3GBまでLTE通信が利用できる。端末代金は32,184円で、これを毎月1,341円×24か月支払う仕組み。21.6円/30秒で音声通話が可能。

Huawei製のAscend G6」が利用できるU-mobileのプラン

BIGLOBEがSIMを提供するサービスでは、シャープ社のAndroid 4.2スマートフォン「AQUOS PHONE SH90B」が利用できる。月額3,434円で、月に1GBまでLTE通信が利用できる(通信容量は1GB~7GBから選択することも可)。21.6円/30秒で音声通話が可能。

BIGLOBEでは、シャープの4.8型AQUOS PHONE(SH90B)のほか、LGの4.7型LG G2 miniが利用できるプランも用意している

mineoがSIMを提供するサービスでは、京セラ社のAndroid 4.2.2スマートフォン「DIGNO M(KYL22)」が利用できる。月額3,877円で、月に1GBまでLTE通信が利用できる(通信容量は1GB~3GBから選択することも可)。端末代金は51,840円で、これを毎月2,160円×24か月支払う仕組み。21.6円/30秒で音声通話が可能。KDDI(au)のLTE回線のみを利用するサービスのため、3G回線では通信できない。

mineoでは、京セラのDIGNOのほかにシャープのAQUOS SERIEが利用できるプランも用意している

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3,000円前後で使える格安SIMサービス、筆者であれば、どんな使い方をするだろうか? 考えてみた

本稿では、月額3,000円前後で利用できる格安SIMサービスをいくつか紹介した。日本全国に広がりつつある対応エリアで下り最大150Mbps/ 上り最大50MbpsのLTE通信が利用でき、090/080で始まる電話番号で音声発信も可能、さらにはMNPのポートインに対応し、端末の割賦払いにも対応する。こんなサービスが月額3,000円で提供されているわけで、大手キャリアにとっては脅威の存在である。

デメリットも考えてみたい。例えば大手キャリアが提供するサービス(キャリアメールや、ドコモの「iコンシェル」、auの「au WALLET」など)は利用できない。トラブルが起こったとき、大手キャリアであれば街中にあるショップに入店してすぐに話を聞いてもらえるが、格安SIMサービスではそういうわけにもいかない。導入の手続きや設定が難しそう、という人もいるだろう。SIMカードとスマホがセットのプランでは、利用できる端末の選択肢も少ない。また大手キャリアの提供する「通話定額プラン」には対応していないので、音声通話を頻繁に利用する人にとっては、かえって割高になる可能性もある。こうしたデメリットには充分注意する必要がある。

筆者であれば、どんな使い方をするだろうか。格安SIMカードのプランを契約すれば、2台目の端末(タブレットなど)の運用コストが下げられる。これは魅力的だ。また、最近では同じスマートフォンを2年間使い続けることが困難に思えてきた。好きなタイミングで、様々な端末を試してみたい。そこで、2台目のスマートフォンを格安SIMサービスで契約してみようかと考えている。マイナビニュースでも度々報じている通り、総務省では端末のSIMロックの解除を義務付ける方針を示している。今後、国内市場にSIMフリー端末が普及すれば、対応する端末やサービスの選択肢も一気に拡がることだろう。

最近スマートフォンに興味を示している自宅の両親には、格安SIMカードとスマートフォンがセットになったプランを提案してみたい。これならSIMカードと端末を別々に用意する煩雑さがなく、SIMカードの利用環境を自分で設定する難しさ(APNの設定など)からも解放される。うちの両親にも導入できるのではないだろうか。自宅ではWi-Fiが使えるので、1GBのプランでも充分に用が足りることだろう。であれば月額3,000円程度で運用できるはず。両親のようなスマホ初心者は「使いこなせないかも知れないのに、高額な月額料金は払いたくない」と考えがちだ。でも格安SIMサービスを利用すれば、利用料金を気にする必要がなくなる。導入の敷居がグンと下がるに違いない。