コーニングインターナショナルは10月2日、東京・赤坂の同社東京オフィス内において記者説明会を開催し、光ファイバー新製品「Corning Fibrance Light-Diffusing Fiber」の法人向け国内販売を開始すると発表した。

光ファイバー新製品「Corning Fibrance Light-Diffusing Fiber」。柔軟性のあるガラスでできており、手に巻き付けてもOK

発光する光ファイバー「Fibrance Light-Diffusing Fiber」

説明会では、コーニングの事業や研究開発を紹介するビデオも上映された

米コーニング社は、剛性の高いカバーガラス「ゴリラガラス」の開発・製造などで、一般にもなじみの深い企業。1851年の創立以来、特殊ガラスやセラミックなどの材料科学分野における世界的なリーディングカンパニーとして製品を開発している。

その日本法人コーニングインターナショナルでは、液晶ディスプレイ用ガラス基板を除くコーニンググループ製品を取り扱っている。

今回の「Fibrance Light-Diffusing Fiber」は、同社が通信用光ファイバーの製造で培った技術を基に開発したもの。製品自体は今年の5月に発表されており、6月に開催された世界的な照明器具の展示会「LIGHTFAIR2014」でも製品が展示された。

光ファイバー新製品「Fibrance Light-Diffusing Fiber」を紹介するコーニング インターナショナル材料事業部シニアセールスマネージャーの香川康之氏

発光で製品のあり方を変える

通常、光ファイバーは光を使った信号で情報伝達するため、中心部を通る光を外部に漏らさない構造になっているが、Fibrance Light-Diffusing Fiberはあえて光をファイバーのサイドから拡散させている。

この仕組みにより、光を通すと光ファイバー自体があざやかに発光して見える。光の伝送ではなく照明として使用することを目的として開発された製品だ。

光ファイバー新製品「Fibrance Light-Diffusing Fiber」

会場では、レーザーポインターにファイバーをつなげて発光させていた

製品は、細くて柔軟性のあるガラス素材でできており、手に巻き付けたりして曲げても折れることはない。また、樹脂などと異なり経時変化によって素材が黄ばんだりすることもないため、長期にわたって光の見え方が変わりにくいのもポイント。ファイバーの両端につなげる光源の色を変えることで混色も実現でき、多様な色合いを表現することが可能だ。さらに水の中に浸しても問題なく発光させることができる。

異なる色の光を使うことで、多様な色合いを表現できる

ペットボトルの水に光ファイバーを浸しているところ。水の中でも使用することができる

コーニングでは、こうした特性を生かしてさまざまな製品のイルミネーションに活用できるとしており、説明会では実際に同社が試作したプロトタイプも紹介された。

そのうち、自転車用ヘルメットやスポーツジャケットは、製品にファイバーを組み込んで光らせることで夜間の視認性を高めている。またヘッドセットは、バンドのエッジを光らせてファッション性を追求したものになっていた。そのほかにも、アイデア次第で照明や建築、自動車、家電、アパレルなど幅広い分野での応用が考えられるという。

試作品のヘッドセット。バンドのエッジ部にファイバーをあしらって発光させている

今回日本国内で販売される製品は、1mで90%の光を拡散させるタイプのほか、5mまたは10mで90%の光を拡散させるタイプがあり、使用場所の照明の強さや利用シーンにあわせて選ぶことが可能。価格など製品に関する相談は、コーニングインターナショナルが個別に受け付ける。