変換効率を比較する

ジャストシステムは2010年からiOS用のATOKを搭載したアプリ「ATOK Pad」や「Tweet ATOK」を販売しているが、このATOKはモバイル用にスリム化されたものだ。ATOK for iOSでは最新のパソコン用変換エンジン「ATOK EV Engine」を元にチューニングされたものを搭載しており、誤入力に対する推測変換などの機能も備えているという。実際にどの程度の変換精度なのだろうか。

テストしてみたところ、確かに高精度だが、iOS標準も健闘しているという印象だ。

ATOK for iPhoneの発表時にデモで使われた例文では、iOS標準の変換機能やATOK Padよりも正確に変換してくれる。誤入力の例として「うろ覚え」を「うるおぼえ」、「雰囲気」を「ふいんき」と入力しても、正しく変換してくれた。数年前の例文では、iOS標準の機能でも正しく変換できてしまうが、ATOK Padは正しく変換できていない

むしろ気になったのは、濁点や小文字を省略したかたちで入力した場合の変換精度だ。

たとえば「六本木」と変換したい場合、小文字や濁点を入力せず「ろつほんき」と入力しても、iOS標準(左)では「六本木」に変換してくれるのに、ATOK for iOS(中)は変換できない。この点はATOK Pad(右)のほうが期待通りに変換してくれる

ATOKは元々、文を最後まで一気に入力して変換するほうが正確に変換できるが、携帯電話では省入力のための推測変換が独自に進化している。前述のとおり、ATOK for iOSのインターフェースは入力中の文章が非常に見にくいので、長文一括変換では、せっかくの長所を生かすのが難しい。単文節変換や、推測変換をもっと強化した方がいいのではないだろうか。

完成度はもう一息、今後の進化に大いに期待

ATOKというビッグタイトルの移植はどうしても過度の期待を集めてしまうが、現バージョンでは変換効率の高さは評価できるものの、荒削りなインターフェースや長文入力が前提な変換エンジンなどは、スマートフォンやタブレットとはうまく噛み合っていない。まだまだ発展途上という印象だ。

しかし、将来性の高さは感じられる。今後は単文節変換の効率向上や推測変換の強化など、スマートフォンユーザーのニーズをうまく汲み取り、「iOS史上最高の日本語環境」というコンセプトに相応しいATOKへと進化してほしい。