社会人になったら、使いこなしてみたい文具…それが「万年筆」。入社時にプレゼントされたり、憧れて使いたいと思っているけど、なかなかふだんうまく使えていないという方も多いのではないだろうか。セーラー万年筆 西本さんにお話を伺った。

西本さんは現在、日本橋タカシマヤのセーラーフレンドリーショップに勤務、「ntさん@日本橋の万年筆屋さん(twitterID:@enu_tea)」としてTwitterアカウントも運営している。「ちょっとヘンだぞあの売場」をモットーにしているという西本さんが語る、万年筆の魅力とは?

セーラー万年筆 西本さん。「ntさん」の中の人だ

万年筆の魅力って?

西本さん:
万年筆の魅力はいくつかあります。例えば「筆圧がいらなくて、サラサラッと書ける」こと。ボールペンだと疲れてしまうような長文も、万年筆ならすらすらと書けますし、何よりも書いてて楽しいのが一番の魅力ですよね。字幅の種類が多いので、今こちらには極太から極細まであるんですが、字幅展開にあわせてどこで使うのか選んでもらうことができます。細字ですと手帳用に選ばれる方が多く、太字ですとクリエイターの方や創作をされている方は大きな紙にばーっと書いてアイディアをまとめたりされているようです。私も太字の万年筆をアイディアノートに使っているんですよ。

改めて一言で表すと…個性が出るということでしょうか。万年筆自体もそうですし、字もそうです。ちょっとデスクを離れた時に伝言メモなどが残っていると、「あ、この字はこの人だな」とわかりますよね。それが万年筆だと自然な感じで出るんです。上手にパーソナリティを表現できる筆記用具だと思います。

筆圧をかけずに線をかけるので、感情をダイレクトに表現できますし、線自体も丸っこいので柔らかい印象になりますよね。字と軸とインクで自分を表現できる、表現しやすいツールなのではないかと個人的には思っています。よく営業先で万年筆をポンッと出すと、それだけでネタが広がったりすると言われますね。商談の場面でお仕事以外のネタで盛り上がるのってすごく大事なことでしょう。

Twitterを見て、「自分の友達が万年筆屋」という気持ちで売り場に来てほしいと語る西本さん

万年筆どうしたらいいのかわからない

なるほど、どんどん万年筆がほしくなってくる…でも難しいイメージがあって、使いこなせるのか若干不安が。個人的にはフリクションが好きだし…。

西本さん:
売り場で相談されることはさまざまですが、初心者の方にはペンの持ち方やインクの通し方からしっかりとご案内させていただきます。万年筆は道具なので、ご自身の持ちやすい持ち方、握り方が1番なのですが、どうしても合わない持ち方もあったりしますので…。

特にお若い方は、ペン軸が立ちすぎてしまう傾向があります。ゲルペンなどは立たせて書くのが1番いいですが、それだと万年筆ではちょっとしんどいです。ペン先が割れてしまうし、ペン先のおいしい所を使えないので書き味も単純によくないんです。それで「万年筆、書きづらいな」と思われてしまっては悲しいですね。紙に対して大体45度くらいの角度で持ってくださいとお話していますが、ペン先に相手の顔が映るような感じで向いていれば、問題はないですね。

意外と寝かせる、万年筆の持ち方

言われたとおりに持ってみると、簡単にすらすら書けた! 見た目にも高級感が出て、まるで仕事ができる人になったような気がする。これも万年筆のひとつの効用かも!?