LINEで友だち登録した顧客に割引クーポンやメッセージ配信ができるビジネスアカウント「LINE@」が好調だ。2014年5月、無料プランや自店舗のスマートフォン向けサイトが作れる新機能を追加したところ、直近4カ月で約7万店舗が新規に登録。2014年9月現在で累計10万アカウントを突破した。

LINE@は2012年末にスタートしたLINEの法人向けプランで、当時は月額5000円から始められる手軽さが売りとなっていた。LINE@がリリースされる以前、法人向けには「公式アカウント」と呼ぶ、初期費用込みで3カ月(12週間)1000万円からの高額プランしかなく、LINEをビジネス用途で使おうと思った場合、飲食店やアパレル店が「試しに使ってみよう」とするにはハードルが高い状態だった。

それを、実店舗を持つオーナー向けに安価でシンプルに使えるプランとして開設されたのがLINE@である。国内のさまざまな地域でビジネスを展開している飲食、アパレル、美容、宿泊施設などが、国内人口の約40%に当たる5200万人が使うLINEのプラットフォームを利用して、店舗の販売促進ができる。

LINE@の料金プラン。初期費用、月額料金ともに0円のスタンダードプランからスタートし、メッセージ配信の頻度を上げたい場合プロモーションプランに移行する仕組み。また、友だち数が1万を超えた場合には友だち数に応じて料金が変動する上位プランに変更する

主な機能は、友だち登録したユーザーへのテキストやスタンプによるメッセージ配信、チラシ画像や写真の紹介、クーポン配布、アンケート実施など。メールマガジンと比較すると、スマートフォンにプッシュ通知されるので同時にたくさんの人の目に触れ、開封率も高いといった特徴がある。

メッセージ配信の種類

メッセージ配信の特徴

そのほかLINEのタイムライン機能を使ってユーザーに告知を行い、コメントや「いいね」などのスタンプが付くコミュニケーション機能も備えている。2014年5月のアップデートでは、ユーザーがお店へLINEで問い合わせができる「お店トーク」機能や、スマートフォンに最適化された自店のWebサイトを作れる「お店ページ」機能も追加。LINE上から固定電話に低価格で通話できる「LINE電話」との連携も実現している。

タイムライン投稿

お店トーク

お店ページ

LINE電話との連携

LINE@をうまく使うコツは?

そんなLINE@だが、一部では「契約したのはいいが、うまく集客につなげられなかった」という声を聞くのも事実である。実際、キャンペーン時に無料で登録をして、3カ月後に有料になったタイミングで解約してしまう店舗もあったという。

そうした店舗、またこれからLINE@を検討する店舗などに向けて、LINEでは定期的にビジネスセミナーを開催している。ここでは9月10日行われた同セミナーの内容から、LINE@を使ってうまく店舗の売上アップにつなげるコツを紹介したい。

「人とお店をつなげる」LINE@

LINE@は、「人と店舗をつなげる」をコンセプトに設計されている。具体的には、LINE@で友だち登録したお店に行きたくなるような仕掛け――メッセージでセール情報を届けたり、雨の日にお得クーポン配信したりすることでリピーターが増え、売上アップにつながるというわけだ。

LINEではこの仕掛けを“売上の因数分解”にならって、以下のような数式で定義している。

 売上=客数×客単価

ここで着目したいのは、客数。つまり新規顧客+既存客数である。LINE@が得意とするのは、「新規の顧客をリピーターに変えていく」ことだという。

そもそも、お店に顧客が再来店する割合は約20~30%ほどだといわれている。では、残りの70~80%はなぜ来店しないのか? その理由は「何となく」や「特に理由はない」という場合が多く、「あまりおいしくなかった」「店員の態度が悪かった」といったケースは実はそこまで多くはない。

裏を返せば、顧客は何かきっかえさえあれば、再来店する。つまり、そのきっかけをLINE@で作れば再来店のサイクルを生み出せるというわけだ。