テンプレートをカスタマイズしていく方式で、洗練されたセンスあるWebサイトを簡単に作成できるソフトとして、Web制作者の間で認知され、高い評価を獲得してきた、デジタルステージの「BiND for WebLiFE」。この夏から新たにクラウド版サービス「BiNDクラウド」の提供が開始になった。前回のレビューでは、主にインストール版との違いを紹介したが、今回はクラウド版ならではの魅力に迫ってみたい。

“エントリーコース”会員なら初年度は無料

クラウドで提供されることになったことの利点として、まずは何よりその手軽さだ。ネットワークサービスとして、パソコンのHDDにインストールする必要がないというのは、その作業の手間がないということ。さらに、HDDの空き容量を気にせずに使うことができ、前回のレビューでも言及したが、ネット接続やその他の動作環境を満たしていれば、どのパソコンからでも編集が可能で、複数人での共同作業もできるというのがうれしい。

利用は無料のアカウント登録から。登録と同時に、100MBのホームページ公開容量が提供される。“エントリーコース”の会員として初年度は無料で利用ができる。2年目以降は月額480円となるが、それ以外にもプロコースやビジネスコースがあり、いきなり有料のコースから始めるのではなく、まずは無料でエントリーコースをお試し感覚的に使ってみてから、必要なコースへと段階的に移行、変更を検討できるのがいい。最初からパッケージを購入することにためらいを感じている人には、無料で試せるがゆえ、導入リスクが少なくて済み、自分に必要な機能や条件に柔軟でスピーディーに移行できるのもメリットだ。

無料登録画面。各項目を入力後、送信すると本登録用のメールが届く

本登録終了後、BiNDクラウドを利用するにはまずはログイン

日本生まれのツールならではの強みも

しかも、基本的な機能や操作インタフェースはパッケージ版とほぼ同じ。プロコース / ビジネスコースと無料版の主な違いは、ライセンス数や容量、ショッピングカートの商品数など、公開・運営のためのサーバーの機能や外部サービスとの連携といった機能拡張の部分が中心なので、サイトの制作機能そのものにはあまり差が出ないはずだ。

一方、同様のクラウド型のWeb作成サービスは他にもあるが、日本生まれのサービスということもあり、日本語によるウェブの表現力が充実しているのも特筆すべき点のひとつ。日本語のWebフォントはもちろん、行間設定といった細かな部分にまで日本語で表現、表示するための環境が整っているのは日本発のサービスならではの強みと言えるだろう。ちなみに、日本語Webフォントは、エントリーコースが7書体、プロコース/ビジネスコースでは316書体も用意されている。日本語書体がここまで提供しているウェブ作成サービスはおそらく他に例がないだろう。一般的な手書き風や毛筆体のフォントはもちろん、“コミックレゲエ”や“ラグランパンチ”といった太文字系のインパクトある書体や、“筑紫ファミリー”と呼ばれる温かみのある書体群、“マティスファミリー”と呼ばれる細字系のクラシカルで洗練された印象のある書体群など、プロのデザイナーが用いるような書体が豊富に揃い、書体の設定ひとつでこれほどサイトの雰囲気が一変するものかと試すだけでも楽しい。その上、字間やCSSの設定にも対応しており、通常のクラウドで提供されるウェブ作成サービスの常識を覆すほどの充実ぶりだ。

TYPE for WebLiFE」の操作画面。豊富なフォントを見本とともに一覧することができ、書体のカテゴリーや太さから絞り込める。各フォントを選択すると、和欧文・数字のサンプルが確認できる

デザイン性の高い日本語フォントを多数提供するフォントワークスの“筑紫ゴシック”を使用してBiNDクラウドで編集したサイトの一例

またパッケージ版のBiNDでも提供されている画像ソフトの「SiGN Pro」。使い勝手のいいグラフィック機能としてパッケージ版でも好評の連携ソフトだが、もちろんクラウド版でも使い勝手のよさや機能性がそのままに提供されている。グラフィック系ソフトとしては、ロゴやタイトル、バナー、ボタンの作成に特化したソフトだが、画像や文字にシャドウを付けたり、カラーを変調したり、モザイクを掛けたりといった凝ったエフェクト機能を多数提供。しかも、それらがブラウザー上でスライドバーを動かしながらの直感的な操作で、プレビューを見ながら編集でき、高度なフォトレタッチソフト顔負けの仕様となっている。

ログイン後に表示されるコントロールパネル。ソフトを起動できるほか、メンテナンスなどの情報も一覧できるポータル的な画面だ

コントロールパネルから「BiNDクラウドを起動」ボタンひとつで編集用のサービス画面に。パッケージ版とほぼ同様の仕様となっている

有料のプロコース、ビジネスコースでは、これ以外にも独自ドメインがそれぞれ5ドメインまで40ドメインまで利用できるほか、ショッピングカートの登録点数がそれぞれ1,000点、無制限となる。ホームページの公開容量はそれぞれ5GB、40GB、ビジネスコースではライセンス数が20ユーザーまで拡張される。WordPressのテーマやFacebookページのカスタマイズにも対応する。

テンプレートを選択後に編集。ブロックを選択してカスタマイズを行う編集方法は通常のBiND同様

豊富な選択肢の中から日本語Webフォントを選べる。書体はエントリーコースが7種類、プロコース、ビジネスコースなら316種類も用意されている

気になる価格は?

各コースの想定されるユーザー層としては、プロコースが個人事業者や小規模なショップオーナー向け、ビジネスコースが複数人でホームページを運営する企業向けといったイメージだ。その前段階として、気軽に試せる無料のエントリーコースが用意されていると考えるのがいいかもしれない。 サービスの利用料金は、エントリーコースが初年度は無料、2年目以降月額480円。プロコースの年契約が2万9,760円、月額2,980円。ビジネスコースの年契約が9万8,000円、月契約が月額9,800円。現在、初年度の年契約が割引になるキャンペーンを実施中。プロコースは年2万3,760円、ビジネスコースは年8万6,400円とよりリーズナブルに導入が可能だ。

思い立った時に、ネットで登録するだけですぐにWeb制作が始められるBiNDクラウド。これからサイト運営を始めてみようと考えている人は、ぜひ無料版から気軽にトライしてみてほしい。