スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「モバイルバッテリーの『現実的な意味での容量」』についてです。

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スマートフォンの内蔵バッテリーには、さまざまな制約があります。ほとんどのモデルがリチウムイオン電池を採用していますから、新素材が実用化されないかぎり容量が同じ場合の電力に大きな差は生まれず、液晶パネルやチップ類の省エネルギー化を進めるか、OS/アプリレベルでの効率化を図らなければなりません。

そこで人気を集めているのが、モバイルバッテリーです。こちらも大半がリチウムイオン電池を採用しており、USBやLightningなどのコネクタを装備することで、スマートフォンに電力を供給します。ケーブルを格納できるなど利便性を高めた製品が多数発売されており、形状や色のバリエーションも豊富です。利用しているスマートフォンにあうものを選択すれば、外出時のバッテリー切れに備えることができます。

モバイルバッテリーを選ぶときの重要なポイントが「容量」です。単位は「mAh(ミリアンペア)」、大きいほうが有利ですが、スマートフォン内蔵のバッテリーと単純比較はできません。それは、モバイルバッテリーからスマートフォンに電力を供給するときの「変換ロス」にあります。

現在市販されているモバイルバッテリーの多くは、電圧が3.7Vです。電圧は採用されているバッテリーの素材(リチウムイオン)により決定され、複数の電池を用意すれば整数倍にすることが可能です。たとえば、3.7Vの電池を2本直列にした7.4Vのモバイルバッテリーも存在します。

スマートフォンのバッテリーも3.7Vですから、充電する際には機器制御の都合で4V程度の電圧が必要です。しかし必要な電圧より若干高めのほうが効率がいいため、5Vに昇圧してから給電することになります。その際生じる変換ロスは30%前後とされるため、スペック欄にある「○○○○mAh」という数値に0.7をかけたものが、現実的な意味でのモバイルバッテリーの容量です。それをスマートフォンの内蔵バッテリー容量と比較すれば、モバイルバッテリーで何回充電できるか見当がつきます。

カタログにある容量に7掛けした数値が、現実的な意味でのモバイルバッテリーの容量です(写真はイメージです)

(記事提供: AndroWire編集部)