今年7月、セイコーホールディングスグループ内の事業統合により、企業として新たなスタートを切ったセイコーソリューションズ。企業規模は拡大し、顧客へのさらなるサービス向上や製品開発力の強化を実現した。同社はロードバランサ市場における有力な国産メーカーとして、これまで約10年にわたってユーザーの信頼を獲得し続けてきた。そのロードバランサ市場における最新動向やトレンド、製品選びにおける最新のポイントは何か。同社の担当者に話を聞いた。

セイコーソリューションズ株式会社 ネットワークソリューション統括部 NS営業部 NS営業2課長 米沢 茂氏

ロードバランサ市場における重要な国産メーカーであり、この9月に製品ラインナップを一新、中小規模システム用のエントリーモデルの新製品を発表してマーケットに強いインパクトを与えたセイコーソリューションズ。同社のネットワークソリューション統括部 NS営業部 NS営業2課長、米沢 茂氏は、ネットワーク環境の見直しや機器のリプレースにあたり、どのような基準や考え方でロードバランサを選択すべきかについて次のように話す。

「第1に使いやすさで決めること。第2に価格対機能や価格対性能のバランスで選ぶこと。第3にサポートや保守、トラブル発生時の対応品質を考慮すること。これらの3点が現在のロードバランサの製品選定のポイントです」(米沢氏)

米沢氏が語る3つのポイントは、一見するとあらゆる機器選定に共通する常識的な内容のように思える。しかし、ここにロードバランサ特有の事情を加味すると、この基本とも思える基準を守って選択することは、意外に見落とされがちであることがわかる。

「ロードバランサは、サーバ製品などとは違い発売している国内メーカーはそれほど多くありません。よって購入する上で、海外メーカーの製品を選択せざるを得ないといった状況がよくあります。しかし、海外メーカーの製品を利用するにあたっては、設定方法や使いやすさ、日々の運用方法が日本企業の現場に十分マッチしていないケースが少なくありません。担当者が苦労したり、迷ったりすることなく使える製品を選ぶことがきわめて重要なのですが、実際にはGUIが日本語で表記されていない、あるいは設定項目が1画面に集約されていないなど、シンプルな管理ができない製品で苦労するケースが数多く見受けられます」(米沢氏)

セイコーソリューションズは企業の現場に最適な製品を提供すべく、ユーザーに直接ヒアリングをし、顧客ニーズに基づいて開発された製品を展開している。「調査してみると、お客様の多くは製品の一部の機能を重点的に利用し、大部分の機能はほとんど使用していないことがわかりました。このことから、多機能で高価であることよりも、主要な機能に絞り込んだうえで価格を抑えた製品を選ぶ方が、結果的に費用対効果で優れることがわかります」と米沢氏は説明する。このアプローチは要件への価格・機能の適切性を重視する意味で、「ジャストスペック」や「ジャストプライス」と表現される。

近年は20~30万円などでそれなりのスペックのサーバを購入できるようになったが、ロードバランサは依然として数百万円が標準であった。そのため、ネットワーク構築の予算を検討する際に、どうしてもロードバランサの費用が突出してしまうため、価格に見合った機能と性能を選ぶことが非常に重要なのである。

トータルコスト削減やサポートも重要な観点

セイコーソリューションズ株式会社 ネットワークソリューション統括部 NS営業部 NS営業2課 海野 俊氏

セイコーソリューションズ ネットワークソリューション統括部 NS営業部 NS営業2課の海野 俊氏は、スペックについて「中小規模のシステムであれば、1Gbps程度のスループットがあれば十分なケースが多い」と話す。

構築するシステムの規模に最適なスペックを選択することで、不必要な投資をカットできる。このように価格と性能のバランスで検討することが「ジャストスペック」「ジャストプライス」の考え方だ。システムに必要なパフォーマンスを正確に見極めることは、結果的にコスト削減へとつながるのだ。

第3の基準である保守やサポートについては、なんといっても国産メーカーが断然有利だ。万が一のトラブルが生じた場合、開発拠点を国内に持つメーカーならば、調査・原因究明、そして対策までをスピーディに実現しやすい。未知のトラブルの場合には、製品開発者が直接状況を検証するといったケースもあるだろう。

海外メーカー製品でも、販売代理店などが把握している既知の問題であれば対策に難はない。しかし、製品の仕様や設計などの根本に関わる場合、メーカーの本国へ問い合わせて回答を待つ必要がある。だが時間をかけた割には成果がなく、「そもそもの製品仕様のため、解決不可能」といった結果になることも珍しくない。一方で、国内に開発拠点があるメーカーならば、問題特定後に次期製品の改良点としてフィードバックされる可能性が高い。こうしたことは当然、そのメーカーへの信頼にもつながる。

セキュリティやログ解析などの機能も重要

ここまで米沢氏が語る製品選定のガイドラインとして、「(1)運用の簡便性」「(2)価格対機能のバランス(ジャストスペック、ジャストプライス)」「(3)対応品質」について解説してきた。さらにここからは、これからのロードバランサ選びで忘れてはいけない機能面でのポイントを掘り下げていこう。

セイコーソリューションズ株式会社 ネットワークソリューション統括部 NS営業技術部 NS営業技術2課 奥ノ坊 彰氏

セイコーソリューションズ株式会社 ネットワークソリューション統括部 NS営業技術部 NS営業技術2課 宮脇 信久氏

セイコーソリューションズ ネットワークソリューション統括部 NS営業技術部 NS営業技術2課の奥ノ坊 彰氏は、近年のユーザーが重視している機能は「セキュリティ」を筆頭に、「管理機能・ログ解析機能」「負荷分散」「冗長構成や可用性」であると説明する。

さらに同課の宮脇 信久氏は、「ショッピングサイトやeコマースの分野などのお客様は、SSLを標準搭載していることを製品選定のポイントにすることが多い」と話す。パフォーマンスを犠牲にすることなく、セキュリティを強化できることが重要なのである。使用したい暗号化スイートをユーザーが自由に設定できるなど、利用にあたっての柔軟性も選定時のポイントだろう。

また、近年重視されている「ログ解析機能」はトラブル発生時にログを速やかに取得し、解析できることを指す。ログ取得に要する時間を短縮することで、障害対応の迅速化が実現する。

米沢氏はロードバランサ選定のまとめとして、次のように解説する。「製品の保守切れなど機器を単体で交換するような特殊な事情を除けば、ロードバランサの選定はネットワークやシステム全体の見直しの一環として行われます。ロードバランサの予算は、システムの規模に適切なパフォーマンスとコストのバランスで見極めるのがよいでしょう」

このように俯瞰的な視点でロードバランサを選択することが、今後はより重要だと言える。

セイコーソリューションズ株式会社

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