9月1日から国土交通省の告示により航空機内での電子機器の利用制限が緩和された。ただし、緩和されたとはいえ、地上にいる時のように携帯を使えるというわけではない。そこで、国内線での新しい電子機器の利用と運用についてまとめてみたい。

日本国内の低コスト航空会社(LCC)で使われている機種、エアバスA320(写真)とボーイング737-800も規制が緩和されている

飛行フェーズごとに覚えるのが正解

従来、たとえば携帯電話は出発時のドアクローズと同時に電源をオフにし、到着時のドアオープン時にオンにする、巡航時は電波を発しない機器なら使える、など、搭乗ゲートで電源をオフにしなければならないなど一部例外もあったが、ルールは分かりやすかった。それが、今回のルール改訂によりちょっと分かりにくくなっているので、気をつけたい。

機内での電子機器利用の可否を覚えるのに一番よいのは、時系列に沿うことだ。つまり、搭乗、ドアクローズ、離陸時、巡航時、着陸時、地上走行時、ドアオープンと飛行フェーズによって覚えるということである。

「機内モード」なら常時利用可

まず、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末はドアクローズ後も電波を発しない状態、つまり通話やメールの送受信などがオフになっている状態であれば使える。もちろん「機内モード」に設定していればOKだ。ゲーム機やトランシーバもこれに準じる。

ただし、ノートパソコンのような大型の電子機器は、緊急時の脱出の妨げになったり、大きく揺れた際に手から離れて機内空間を飛んでしまい「凶器」になる危険性があるなどの安全上の問題で、離着陸時にはこれまで通り荷物棚に収納しなければならない。

離発着時の大型機器はNG

また、デジタルカメラやビデオカメラ、DVD/CDプレーヤーなども、作動時に電波を発しない状態にあるなら常時使えるようになったが、一眼レフなど大型のデジタルカメラはノートパソコンなどと同じ安全上の理由から、収納を指示される可能性もある。

もちろん上空を巡航している時間帯で電波を発しない状態であれば、これらの電子機器は常時利用可能だ。ちなみに、最近増えている機内インターネットサービス(Wi-Fiサービス)は電波を発しない「機内モード」に設定して、Wi-Fi機能をオンにした状態で使うことになる。

JALの機内インターネットサービス「JAL SKY Wi-Fi」も「機内モード」で利用可能

着陸後はメール送受信OK

そして今回大きく変わったのが、着陸後は電波を発する状態にあっても使えるようになったことだ。つまり、着陸後はメールの送受信ができる。厳密に言えば、着陸し滑走路から外れ誘導路に入った時から利用可能だ。ただし、通話はマナー上の問題で機内では常時禁止している。

マナーといえば、スターフライヤーが「喫煙との誤解を招く恐れがあるから」との理由で電子たばこを常時使用禁止にしている。スターフライヤーは航空機マニアなどが愛用するVHFスキャナー受信機も常時使用禁止にしているが、航空会社によって多少の運用の違うが見られるので、こだわりのある人は事前に確認した方がいいだろう。

最後に機種によるルールの違いについて触れておこう。ゲーム機などのWi-Fi接続やワイヤレスマウスなどのBluetooth接続のように電子同士をつなぐ無線通信は、以下の機種では利用できない。

ボーイング737-400/500
767の一部機材
ボンバルディアDHC-8-Q100/300
サーブ340B

なお、緊急時などに安全上の理由で電子機器の使用が機長より全面的に禁止される場合もある。その際は、たとえ仕事などの急ぎの連絡中でも素直に従わなくてはならない。また、国際線の場合は、航空会社およびその国籍によってルールが異なるので、慣れるまでは都度確認するといいだろう。

筆者プロフィール : 緒方信一郎

航空・旅行ジャーナリスト。旅行業界誌・旅行雑誌の記者・編集者として活動し独立。25年以上にわたり航空・旅行をテーマに雑誌や新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなど様々なメディアで執筆・コメント・解説を行う。著書に『業界のプロが本音で教える 絶対トクする!海外旅行の新常識』など。