【レポート】

多様化するニーズに対応するために、トヨタが実行する性能開発工程の効率化

 

現在の自動車産業ではグローバル市場における対応が不可欠である。トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)では、各国ごとに異なる道路・交通事情、そして多様化するユーザーニーズに対処するために、多種多様な車種を開発し市場に送り込んできた。その結果、2010年に販売された車種数は、1990年の1.5倍へと増加した。

だがその一方で、この期間におけるトヨタの従業員数は、ほぼ横ばいである。開発車種数は増えても開発者の人数は増えない。このような状況下において多様化するニーズに対応するためには、より効率の良い性能開発が必須である。 この課題を解決するためにトヨタが用いた手段が、アルテアエンジニアリングが提供する機構解析ソリューション「MotionSolve」の導入による、バーチャル解析プロセスの充実だった。

販売車種数と従業員の推移

バーチャルプロセスの充実によりハードウェアプロセスのコストを削減

トヨタにおける車両性能の開発フローは、大きく分けて「検証ツールを用いたバーチャルプロセス」と「試作機、試作車を用いて実験を行うハードウェアプロセス」の2段階となる。当然だが、バーチャルプロセスと比較すると、試作としての実車を用意しなくてはならないハードウェアプロセスの方が手間もコストも掛かる。 そこでトヨタでは、バーチャルプロセスにおける分析検討を十分に行い、その上で試作による実車分析を行うことで、余計なハードウェアプロセスを減らし、工数と試作費の削減を行っている。そのバーチャルプロセスにおいて活用されているソフトウェアが「MotionSolve」である。

トヨタ自動車における車両性能開発フロー。上記図の「Design」~「Performance Prediction」においてMotionSolveを活用

「MotionSolve」では自動車から一般機械まで、様々な機構システムの運動や振動の解析が可能となる。トヨタの場合、例えばサスペンションについて路面からの振動を適正化する諸元の算出など、車両性能向上に必要な様々なシミュレーションに利用している。

不整路面を走行する際の、車体への荷重をシミュレーションにより測定(画像提供:アルテアエンジニアリング)

加振台テストをバーチャルで行い様々なパターンで車両への負荷を計測(画像提供:アルテアエンジニアリング)

分かりやすさと使いやすさから多くの気付きが生まれる

「MotionSolveが持つ最大の特徴は、ユーザーフレンドリーなインターフェースです」と語るのは、トヨタ自動車株式会社 車両技術開発 車両統合技術開発室 主任 若菜 明氏である。

インタビュー中の若菜 氏

若菜氏によると、MotionSolve導入前に利用していたソフトウェアはインターフェースが分かり難く、限られた一部の人しか利用することができなかった。

「しかし、アルテアの製品はインターフェースが非常に分かりやすくて使いやすい。チュートリアルも充実しているので、早い人であれば一週間もあれば使いこなせるようになります。

以前は、何かを試したいと思ったら、ツールを使える人にお願いするしかありませんでした。ですが、そこからは予測の範疇のものしか生まれてきません。 エンジニアが、自分で触って、調整して、試して、そこから生まれる気付きが新たな製品へと繋がる。MotionSolveであれば、それが実現できるのです」(若菜氏)

ユーザーのことを考えた使い易いUI

遊び心の中から魂を込めた製品を生み出す

「実車を用いた実験には手間もコストも掛かります。当然、全ての疑問や気付きに対して検証を行うことはできません。またバーチャルな検証であっても、ソフトウェアの扱いが難しければ、使える人に頼むことになるので、気軽に何でもとはいきません。 ですがMotionSolveのように扱いが簡単であれば、自分の手で検証ができるので、ちょっとした疑問や気付きでも気軽に試すことができます。そしてバーチャルな検証結果を積み上げておけば、実車で実験する際の精度と効率も高まります」(若菜氏)
実際、ある最適数値を求める検証にて、これまで10回の実験が必要だったものが、解析を積み上げた結果、2~3回で済んでしまったケースがあったとのことだ。 MotionSolveを使う日々の中で、若菜氏は次のような感想を抱いたそうである。

「自分が子供の頃、初めてパソコンを触った時は、楽しくて時間を忘れていろいろやっていた記憶があります。技術者には、あの感覚こそが大切です。人に任せてしまえば楽(らく)ができるかもしれません。ですが、それでは魂を込めることはできない。自分が楽(たの)しみながら、いろいろと試す。ものづくりには、そんな遊び心が必要だと思うのです。」

これからも良き相談相手として、アルテアのサポートに期待

若菜氏が今後のアルテアに期待することとして真っ先に挙げたものがサポート体制だった。

「MotionSolveのように分かりやすいインターフェースであっても、使っていると分からないこと、疑問に思うことは発生します。問い合わせをしても、そのレスポンスが遅ければ検証が止まってしまいます。

ですが、アルテアさんの場合は、質問に対するレスポンスが非常に早く、ユーザーが使い易い環境を整えているのがポイントです。今後も、私たちの良き相談相手としての協力を是非ともお願いしたい。そう願っています。」(若菜氏)

日本の自動車産業を代表する企業として、トヨタは多種多様な車種を市場に提供していくことだろう。アルテア製品とのコラボレーションによって、今後どのような新製品が生み出されるか、大いに期待したい。

アルテアエンジニアリング株式会社
1985年 米国ミシガンにて創立。日本支社設立は1996年。CAEソフトウェアである「HyperWorks」シリーズを中心に製品設計および開発を支援するためのプロダクトを提供。ソフトウェア販売の他に製品設計コンサルやカスタムソフト開発にも力を注ぐ。
アルテアエンジニアリング株式会社→webサイトはこちら



人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

A.B.C-Z・塚田僚一、キスマイ・千賀健永に謝罪!? - "ジャニマネレストラン"で10年越し事実発覚
[21:00 7/29] エンタメ
福島交通飯坂線、7000系に代わる新車両1000系導入へ - 3カ年計画で全車更新
[20:49 7/29] ホビー
東芝、4Kテレビ「REGZA Z20X」が業界初の"HLG方式のHDR"に対応
[20:43 7/29] スマホとデジタル家電
写真甲子園2016、島根県立大田高校が初優勝 - 「笑顔の写真は撮らない」
[20:39 7/29] スマホとデジタル家電
TVアニメ『ワンピース』、新章「ゾウ編」突入! 新キャラ&キャストを発表
[20:33 7/29] ホビー