ほんの数秒で第一印象が形成されてしまう

仕事でも、合コンでも、初めて人と会うときって緊張しますよね。

念入りに服を選び、化粧も気をつけ、笑顔を心がけて話したつもりなのに、第一印象がよくなかった。そんな経験、誰しも一度や二度はあるはずです。それはたいてい、相手と初めて会った瞬間からほんの数秒で、第一印象が形成されてしまうからなんです。

このことは、一般的にはアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した、ひとの第一印象は初めて会った時の数秒で決まり、その印象の大部分は視覚情報から形成されるという「メラビアンの法則」で知られていると思います。

具体的には、見た目・表情・しぐさ・視線などの視覚情報が55% 、声の質・話す速さ・声の大きさ・口調などの聴覚情報が38%、言葉そのものの意味や話の内容などの言語情報が7%といわれています。

メラビアン以降、印象に関する研究は盛んにおこなわれてきました。その結果、第一印象の形成にかかる時間や要因については、さまざまにいわれてきましたが、共通していえることは、初対面のほんの数秒で決まるということです。

最悪だった第一印象を改善することはできるのか

ところで、そんな第一印象を最悪にしてしまった場合、当然ながら相手から好意や好感をもたれることはなく、その後の人間関係に大きな影を落としてしまいます。では、いったいどうすれば、最悪だった第一印象を改善することができるのでしょうか。

第一印象が最悪だった相手でも、仕事などでは付き合っていかなくてはいけませんよね。当然、何度か会う機会があるときがあると思います。そのときをチャンスとして、第一印象を改善しましょう。

外見上の魅力と類似性に気をつける

その方法は、外見上の魅力と類似性に気をつけるということです。当然人は、美人や男前な人が好きですよね。「美は善か」と問うと哲学的になりますが、心理学的には善といえます。というのも、心理学的には人は外見が魅力的な人に対して、好意を示してしまうからです。

服や化粧を入念に気をつけ、自分自身の外見をより魅力的に見せてください。そして、常に笑顔を絶やさないこと。まず、これが大事になってきます。

そして、相手との類似性を強調すること。これも心理学的には、人は自分と似ている誰かに対して好意を示すからなんです。共通の趣味を見つけて会話をする、同じ服や小物を持ってみる、相手が飲み物を手に取ると自分も手に取るなど、態度や行動の類似性を強調することで、好意を引き出すことができるんです。

とにかく言えることは、第一印象を改善することは不可能ではないということ、ただし第一印象が形成されたときのように、数秒で改善されることはなく、かなりの時間が必要なことは覚悟しておいてください。

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著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。