千葉県・幕張メッセで18日より開催中の「東京ゲームショウ2014」。その基調講演が初日、二部構成で行われた。第一部は「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」と題したパネル座談会。第二部はGoogleのGoole Playアジア太平洋地域ディレクターを務めるChris Yerga氏による「Googleが切り開く新しいゲームの世界」と題した講演だ。激変するゲーム業界の現状を基調講演から読み解いていこう。

多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋

左から日経BP社取締役の浅見直樹氏、エイリム代表取締役COOの高橋英士氏、コロプラ 代表取締役社長の馬場功淳氏、セガネットワークス代表取締役社長CEOの里見治紀氏、バンダイナムコゲームス取締役の浅沼誠氏、King Chief Marketing OfficerのAlex Dale氏、コンピュータエンターテインメント協会会長の鵜之澤伸氏

第一部のパネル座談会「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム= 成功の道筋」には、エイリム代表取締役COOの高橋英士氏、セガネットワークス代表取締役社長CEOの里見治紀氏、コロプラ代表取締役社長の馬場功淳氏、バンダイナムコゲームス取締役の浅沼誠氏、King Chief Marketing OfficerのAlex Dale氏、コンピュータエンターテインメント協会会長の鵜之澤伸氏が登壇した。また、モデレーターは日経BP社 取締役の浅見 直樹氏が務めた。

浅見氏によると、そもそも東京ゲームショウの基調講演が座談会形式になるのは非常に稀なことだという。ではなぜ座談会形式なのか。それには、「今年のゲーム業界の主役は全員である」というメッセージが込められている。

「スマートフォン市場が急成長し、新規プレーヤーが続々参入している今、メディアとしては家庭用ゲーム機 VS スマートフォンという対立構造を描きたくなるが、そうではない。両方の産業でエンターテインメントを描くことで、次なる産業が育つ」(日経BP 浅見氏)

浅見氏が述べるように、スマートフォンの登場で激変するゲーム業界。では、今年1年はゲーム業界としてどんな年だったのか。ソフトバンクがスーパーセルを買収したり、KADOKAWAとドワンゴが統合したり、『プレイステーション4』が中国市場に参入したりと、大きなニュースはいくつもあったが、登壇者が特に気になったのはどの話題なのか。

今年注目のニューストピックス

「やはりスマートフォン。それも、直近でホットなのは動画」と語るのは、エイリムの高橋氏だ。「動画をスマホで見るスタイルが、メディアの地殻変動を起こす。それはゲーム実況という形で広がっており、弊社としても動画に対してプロモーションの観点でアプローチしたい」(エイリム 高橋氏)

一方で、エイリムと同じく、スマートフォン市場で存在感を示すコロプラの馬場氏は、「ソフトバンクのスーパーセル買収が、やはり今でも一番のホットトピック」と語る。というのも、「最近、『白猫プロジェクト』をリリースしたが、出先で遊んでいたら通信制限を受けてしまった。動画も通信容量を食うし、キャリアの通信制限との折り合いをどうつけていくかが焦点」だという。その意味で、ゲーム会社を買収したソフトバンクに注目しているというわけだ。

各社の率直な思いが語られた

実は世界的に見て、日本市場は非常に魅力的なのだと語るのは、「キャンディークラッシュ」で知られるKingのDale氏。氏は日本市場を「非常に重要」と評価しており、その理由として「キャンディークラッシュ」のDL数が世界で5番目に多いこと、そして「日本のゲーム文化には学ぶことが多い」からだという。

しかし、日本のスマートフォンゲームはまだまだ世界で成功しているとはいえないのが実態。この日、例示された世界各国のApp Storeランキングを見ても、日本のコンテンツが上位にランクインしている国はほとんどない。この現状を、各社はどう見るのか。

日本のゲームは世界で苦戦している

「課金に関しては日本が一番。非常にドメスティック。日本企業が世界でランキングされていないのは、まだランクインできる余地があると考えればチャンスでもある。逆に日本以外のコンテンツが日本に入ってくる可能性もあり、どう対抗し、また共存していくかが重要だ」(バンダイナムコゲームス 浅沼氏)

「海外で受けるのは、シンプルで競わせる要素があり、運用に波のないコンテンツ。現在7タイトルほど開発を進めているが、そのうち2つはそういうものを目指して作っているので、世界でユーザーを増やしていきたい。もっとも望むのは日本で一番になることだが、それだけだと閉じこもってしまう。海外比率は4~5割まで増やしたい」(コロプラ 馬場氏)

現状をむしろチャンスととらえ、海外展開への意欲を語る各社。しかし、海外展開においてはローカライズという高い壁があると馬場氏は語る。

「ローカライズではなく、カルチャライズしなければならない。そもそもそのゲームは面白いのか? コロプラの場合、内容が日本に寄りすぎているきらいがある」(コロプラ 馬場氏)

こうした課題に対し、様々なやり方で現地ユーザーとのギャップを埋めようとしているのがセガネットワークスだ。

「セガネットワークスは多面的にやっており、日本のスタジオではまず日本向けに作るが、欧米スタジオでは欧米向けに作っている。その国で当たったら、海外へ持っていくというやり方。海外へ出ても、現地のスタジオでローカライズすることもあれば、現地のパートナーと一緒にやることもある」(セガネットワークス 里見氏)

まだまだ課題は多いものの、各社とも海外については魅力的な市場と見ているようだ。今後の各社の動向に注目したい。