ジェットコースターにはいろいろな怖さがある。スピードを感じる「速さ」、高所からの落差を感じる「高さ」などはよく話題になるが、今回はちょっと斜め上の情報「斜度」をテーマにしたランキングを紹介しよう。

斜度121度の「高飛車」は"ドS"なジェットコースター

斜度があるということは「どれだけ前のめりになって落ちるか」ということ。ジェットコースターの一番前に乗れば、それだけ恐怖の絶景を見ることができるはず。ちなみに、人間が体感できる急斜面に「スキージャンプのジャンプ台」があるが、あの斜度ですら35度ぐらいしかない。これから紹介するジェットコースターの斜度は、人間が普通に立てる限界を優に超えているものばかりだ。

1位: 斜度121度「高飛車」- 富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)
断トツの斜度を誇っているジェットコースターが「高飛車」。斜度が121度、つまりアルファベットの「R」のように、いったんえぐれるようなコースをたどりながら進んでいく。しかも、落ちる寸前の場所で一時停止して強制待機させられるので、しばらく落ちる瞬間までの恐怖を待つことになる。今から落ちるコースがばっちり確認できるのに落ちることも許されない……名前の通りの高飛車で、"ドS"なジェットコースターと言える。
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2位: 斜度90度「ドドンパ」- 富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)
「ドドンパ」は斜めなだけでなく、日本一速いジェットコースターでもある。出発からたった1.8秒で最高時速172kmになり、垂直にそびえる52mのタワー状のコースを一気に昇降。太陽に向かって打ち上げられるように上昇し、顔を真下に向けて高速落下するコースの最高斜度は90度。他では味わうことができない超高速&正面落下な体験だ。言ってみれば、その場に頭の中だけ置き去りにされて身体だけが疾走していく、そんな感覚も味わえる。
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超高速&正面落下を体験できる斜度90度の「ドドンパ」

3位: 斜度89度「ザターン」- スペースワールド(福岡県北九州市)
まるでロケットで宇宙に飛んで行き、そのまま戻ってくるかのようなコースのジェットコースター。高さ65mまで急加速で昇り、斜度89度ほぼ垂直に落ちていく。これだけ長い距離をほぼ垂直落下するジェットコースターは、日本ではほかにない。また、この「ザターン」は"乗れば元気になれる宇宙の病院設備"という設定になっていて、細かい設定などでも病院の演出を楽しむことができる。さらに、頂上ではスペースワールドのパークが見渡せて見晴らしは最高……もちろん、余裕があればだが。
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"乗れば元気になれる宇宙の病院設備"な斜度89度の「ザターン」(写真提供: スペースワールド)

他にもこんな斜めなジェットコースターが全国にはある。

斜度93度「ツイストコースター ロビン」- よみうりランド(東京都稲城市)
現在運休中のためランキング外にしているが、よみうりランドには「ツイストコースター ロビン」というジェットコースターがある。鳥が森の中を自由に飛び回るかのように設計されているコースでは、最初に93度の斜度で落ちたり、外に放り出されるような感覚になる逆カントと呼ばれるカーブがあったり、さまざまな工夫が凝らされている。システム調整中のため、再開の日を期待したい。
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斜度85度「ウルトラツイスター」- ナガシマスパーランド(三重県桑名市)ほか
「ウルトラツイスター」は日本に4種類設置されているジェットコースター。ルスツリゾート(北海道虻田郡)、ナガシマスパーランド(三重県桑名市)、鷲羽山ハイランド(岡山県倉敷市)、グリーンランド(熊本県荒尾市)にある。約85度の角度で落下をし、きりもみ回転しながら進むほかでは類を見ない珍しいタイプだ。
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ジェットコースターで怖いのは前? 後ろ?

「スリルを味わいたいけどジェットコースターに慣れてない」という人は、できれば一番前の席をキープしよう。これには「斜度」が大きく関係している。一番前に座ると斜度を見た目で感じ、視覚的に斜めに落ちていくコースが確認できるので、スリルが味わえる席と言える。

一方、本当に怖いのは一番後ろの席。例えば、通常のジェットコースターだと乗ってすぐにコースの最も高い頂上までガタゴトとゆっくり上って行く。しかし、頂上まで上ったからといって、一番前の席はいきなり落ちるわけではない。

ジェットコースターは何両もくっついているため、先頭車両が傾斜を落ち始めていても後続の車両はまだ坂を上りきっていない。つまり、一番前の席だと、まだ全体としてスピードが出ていない中で坂を下り始めることになる。

そのため、頂上から落ちる時やループ回転する時などに、スピードや重力が一番マックスな状態を体験できるのが一番後ろの席なのだ。特に、斜度が増すほどこの傾向は顕著になる。しかしご安心を! 先に紹介した1位~3位のジェットコースターは、車体が1両になっていたり急スピード発進で落下までの時間差が少なくされていたりなどと、どの席でも同じような恐怖を感じられる工夫がされている。だから、「後ろに座れなかった!」と残念がらなくても大丈夫なのだ。

筆者プロフィール : 遊園地ドットコム

1996年から日本全国の遊園地・テーマパーク情報を掲載。東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオなどをはじめ、全国のパークガイドや割引情報、「ジェットコースターの歴史」や「お化け屋敷の作り方」「テーマパークでダイエット」など、アトラクションにまつわる様々な特集記事を掲載中。 「遊園地ドットコム」